「情シス」の業務負荷を軽減してくれる次世代ツール、チャットボット!
2018/06/04
この記事の目次
【ブーム到来?】
最近、ビジネスでも注目度が急激に高まっている「ボット(BOT)」サービス。普段の生活では、以前から「Siri」や「Alexa」、「Googleアシスタント」、「Cortana」などお馴染みですが、業務効率化などに生かせる業務ツールとして期待を集めています。ITやAIの展示会でもたくさんのサービスが紹介されているので、導入を検討している情シスも多いことでしょう。
さて、Siriなどからボットの機能はイメージできるものの・・・、「会社でどう使う?」を考えると、結構複雑。できそうなことは多そうだけど、どんな分野にメリットを期待できるのかいまいち・・・、という人も少なくないのでは?
そこで今回は、情シスさんが楽できるツールのチャットボットについてご紹介したいと思います。できるだけわかりやすく書いていくので、“あんまり知らない”という人も、参考にしてみてください。
【おさらい】チャットボットとは、なんぞや?
チャットボットの大半はAIを利用したビジネスツールです。でも、厳密にいうと、「チャットボットとAIはその性質」が異なります。
AIは人工知能。人の知能活動をコンピュータで再現するテクノロジーで、「求められることに対し、自動でデータを検証して回答」を行います。対して、チャットボットは「人があらかじめ用意した答えをそのまま回答する」もの。つまり、「自動で答えを導きだすのがAI」で、「人の答えを伝えるのがチャットボット」です。まだあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、チャットボットを「人工“無能”」として、「人工知能」と明確に区別することもあります。
ただ、少し複雑なのが「人工知能と連携したチャットボット 」もあるということ。コマーシャルでもよく見かけるIBMの「Watson」などのようなAIプラットフォームと連携したサービスで、「AIチャットボット 」とよばれています。チャットボットのなかでも注目を集めていて、今後存在感を増していくことでしょう。
また、最近よく聞くようになったキーワードに「RPA」があります。チャットボットはこのRPAのひとつに分類されているので、覚えておきましょう。
以上、ここまでをまとめると、
・チャットボットは「人が用意した答えを代弁するテクノロジー」
・チャットボットは「AIと区別されている」
・チャットボット は「AIと連携することがある」
・チャットボット は「RPAのひとつ」
この4つをまず押さえておいてください。
【種類】チャットボットは「ルールベース型」と「機械学習型」がある
チャットボットは主に以下の2種類に分けられます。
【ルールベース型】チャットボットのスタンダード!
主なチャットボットのタイプです。特徴は、「人の用意した答えをそのまま伝える」こと。
たとえば、「こんにちは」というメッセージが来たら「こんにちは」と返す。これは人があらかじめそう設定したからで、チャットボットが「自分で考えて返答」しているのではありません。Siriが、スケジュールといえばスケジュールを、メモといえばメモ、天気予報といえば天気予報を表示してくれるのも、このルールベースの仕組みが使われています。
つまり、“そう指示しておけばそうする”のがルールベース型。どこまでも人のルールに従います。AIでは、“意に反することをするようになるかも”といったネガティブイメージをたまに聞くことがありますが、ルールベース型にその可能性はありません。
【機械学習型】自分で判断して最適な答えをだすあたらしいチャットボット!
冒頭の「チャットボットとは、なんぞや?」でも少し触れましたが、機械学習型は「AIプラットフォーム×チャットボット」です。
ルールベース型とのいちばんの違いは「問いかけの内容を自動で判断し回答する」こと。たとえば、「今日のオススメのランチは?」という質問があるとしましょう。
ルールベース型は決まった答えしか回答できませんが、機能学習型であれば自動で「質問者の属性や傾向、天気などの情報を判断して」「質問者に適した回答を行う」ことも可能です。つまり、機能学習型は人が設定したルールに則るのではなく、「質問内容をみずから分析し答えをだすチャットボット」なのです。この性質から、ECサービスの“あなたへのオススメ”など、「答えがひとつではない分野」にニーズがあります。
【導入】では、チャットボット は何に使える?
チャットボットの活用は、以下の3つのカテゴリに大きなメリットが期待されています。
・「あたらしい顧客接点ツール」
企業サイトに掲載されている、サービスや製品についてのお問い合わせフォーム。よく、“お気軽に”と掲載してありますが、はじめての質問や資料請求は結構ハードルが高いもの。電話ならなおさらです。しかし、チャットボットはそのハードルを下げてくれ、顧客接点を高めてくれます。ECなどの展開があれば、先ほどの機械学習で触れた「オススメ紹介」も魅力的です。
また、チャットボット は「サイト検索のスマート化」にも貢献してくれます。情報やサービスが多い企業サイトほど、「どこをクリックすれば目的のページがあるのか」わかりにくくなりがち。サイトマップもありますが、手軽とはいえません。チャットボットの場合、知りたい情報をチャットボットに質問するだけで表示してくれるので、来訪者の情報探しの手間を省いてくれます。
・「カスタマーサポートを自動化」
すでに、カスタマーセンター業務の自動化ツールとしてたくさんの事例があります。メールやSNS、電話など複数のチャネルからの問い合わせの一元化、24時間365日の応答も可能なので、これまでカスタマーサポート業務に費やしていた時間・労力・コストを大きく削減してくれます。
ただ、一問一答のように質問内容と回答がシンプルではなく、「経緯を踏まえ回答しなければいけない」場合、チャットボットでの対応は難しくなります。すべてが自動化できるわけではない点に注意が必要です。
・「情シス業務の効率化」
カスタマーサポートの業務効率化のように、チャットボットは、ビジネスユースのツールとして高い期待値があります。たとえば、秘書のようにその日のスケジュールを教えてくれる「カレンダーアプリ×チャットボット」やマーケティング業務の効率化と負荷を軽減してくれる「マーケティングツール×AIチャットボット 」などなど。
情シス業務でメリットを期待できるのが、チャットボット による“サポセン”です。カスタマーセンターの社内版ですが、頻度の高い問い合わせをチャットボットに自動応対させることで、サポートセンター業務の負荷軽減を期待できます。「FAQに書いてあるのに電話の問い合わせが頻繁・・・」とか「別の社員から同じ質問が殺到・・・」など、煩雑になりやすいサポセン業務。ソリューションとしては一見地味かもしれませんが、導入メリットはきわめて大きいといえるのではないでしょうか。
【気をつけたい】導入で注意すべきポイントは「シナリオ・ルール・データ」
ルールベース型にしても機械学習型にしても、チャットボット が導入したその日から稼働してくれるわけではありません。ルールベース型では、チャットボットに“こういう質問にはこう”という「シナリオとルール設定」が必要不可欠。機械学習型には、チャットボットの判断のもとになる「データ」が必須です。
加えて、チャットボット のクオリティも「シナリオ・ルール・データ」に依存。つまり、「導入前の準備」がきわめて重要になります。
チャットボット のメリットを最大化するために、“何のために必要”で、“どう使う”のか、そして“どんなルールやデータが必要になるか”をしっかりと事前に検証し導入を行いましょう。
【執筆:編集Gp 坂本 嶺】