BC Vol:03「進撃のブロックチェーン 〜さまざまな分野への波及〜」
2018/06/05
この記事の目次
ブロックチェーンはシリーズ展開を続けています
以前の記事でも少し触れましたが、ブロックチェーンはビットコイン・ブロックチェーンだけではありません。のちほど紹介しますが、現在さまざまなタイプがあります。そして、ブロックチェーンはどんどん進化を遂げていて、その内容も多岐にわたり、かつさまざまな業界での導入が検討されています。
それはなぜか? ブロックチェーンは「極めてデータ改ざんが難しい」からです。IT社会にとって、データは命綱。そこを守ってくれるブロックチェーンにたくさんの業界が注目しているのです。
それでは今回は、仮想通貨の世界から飛び出して、さまざまな業界に波及しようとしているブロックチェーンの進展について説明していきましょう。
ブロックチェーン「2.0」?
例えばOSのように、ブロックチェーンの進展も数字で表されています。ただ、スマホのアップデートとは異なり、明確な仕様変更というよりも概念上の区別となります。
現在のブロックチェーンは「ブロックチェーン2.0」。3.0までその概念が設定されているので1.0から順を追って見ていきましょう。
・ブロックチェーン1.0:例えるなら「職人時代」!?
「ブロックチェーン1.0」は、ビットコインなどの暗号通貨の基盤技術としてのみ活躍していた初期の時代を指します。まだその他の応用は具体的に検討されていませんでした。暗号通貨の世界を専門にして、ひたすら取引を守っていたブロックチェーン。頑固な職人さんをイメージしてもよいかもしれませんね。
・ブロックチェーン2.0:「有名人時代」!
改ざんという驚異を暗号通貨の世界でシャットアウトし続けるブロックチェーンの活躍は、次第に注目を集めます。そうして、ファンの間から出たのが、「金融取引や不動産情報の管理など、いろいろな分野の大切な情報を管理してくれるんじゃないの?」という期待。そこで世界中で議論がはじまり、研究が行われ、徐々にブロックチェーン・サービスが登場しているのが現在です。この、「ブロックチェーンで特定の資産を管理すること」を「スマート・プロパティ」と呼びます。
また、ブロックチェーン2.0を説明する上で欠かせないのが、2014年に登場した「イーサリアム 」の存在。暗号通貨の世界でもビットコインに次ぐ知名度を誇っていますが、イーサリアム ・ブロックチェーンには従来にはない機能「スマート・コントラクト 」が紐づけられています。何か? といえば「契約の自動化」で、「ある特定のアクションにより、自動的に契約が履行」されるというもの。「お金を入れてボタンを押せば、自動でジュースが出てくる」自動販売機に例えられますが、この機能の実装により、「あらゆる分野」でブロックチェーンを応用できるという期待が現実味を帯びました。また、イーサリアム自体も、もともと暗号通貨だけでなく「あらゆる取引」を想定して設計されたものです。ちなみにイーサリアムを創始者はロシア生まれ・カナダ育ちの「ヴィタリック・ブテリン」。まだ20代前半で、イーサリアム を開発したのは若干19歳だとか。すごい。
・ブロックチェーン3.0は「世界にはばたくスター時代」!!
さて、ここからは未来のお話。電力などのエネルギーにも、電子カルテシステムなどの医療にも、商品や製品のトレーサビリティにも、さらに私たちの生活に身近なサービスにもブロックチェーンが存在する。それが、ブロックチェーン3.0です。現在、あらゆる分野で実証実験がスタートしています。またエストニアやジョージア政府はすでにブロックチェーンを利用した公共サービスの提供をスタートさせています。
さらに、3.0で注目したいのが、私たちにもおなじみのLinuxが立ち上げた非営利団体「The Linux Foundation」の「Hyperledger (ハイパーレッジャー)Project」というブロックチェーン・プロジェクト。金融業界やIoT業界、物流・製造業界など、さまざまな分野でのブロックチェーン応用をテーマにするもので、メンバーもIBMやインテル、アクセンチュア、日立、富士通などそうそうたるもの。いつか、ブロックチェーンが世界中のインフラになる日がやってくるかもしれません。
覚えておけば簡単! ブロックチェーンの種類と特徴
このように、ブロックチェーンの応用は着々と進んでいて、従来から変貌も遂げています。最後は“3つある”ブロックチェーンの種類を紹介しましょう。
・「パブリック・ブロックチェーン」
「管理主体」が存在せず「ネットワークへの参加も自由」、「データもオープン」なブロックチェーンを「パブリック・ブロックチェーン」と呼びます。ビットコイン・ブロックチェーンなど、従来のブロックチェーンです。
・「プライベート・ブロックチェーン」
「誰もが参加できて管理もできる」パブリックチェーンとは異なり、「管理者」がいて、ネットワーク参加とデータ管理に「許可・制限」が設定されているのが「プライベート・ブロックチェーン」です。これまでの記事で紹介してきたブロックチェーンのイメージとは大きく異なりますが、ビジネスへの応用に適すると考えられています。
・「コンソーシアム・ブロックチェーン」
基本はプライベート・ブロックチェーンと同様です。“集まりや団体”を表すコンソーシアムという言葉が使われていますが、ここに最大の特徴があります。「特定の管理者」がいるプライベート・ブロックチェーンに対して、コンソーシアム・ブロックチェーンは「複数の管理者」が存在。例えば、複数の組合からなる団体の組合長たちや、企業連携での各社の代表者とイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。
【執筆:編集Gp 坂本 嶺】