【情シス基礎知識】情シスも知っておきたい「ヘルプデスク改革方法」
2018/06/11
この記事の目次
【無限ループ】情シス本来の仕事を鈍化させるヘルプデスクの怪
ITで困ったら、まず「ヘルプデスク」。PC設定もアプリ操作もネットワークトラブルも、FAXの使い方? だって、とりあえずなんでも聞いてみる。マニュアルはあるけど、きっとそれよりわかりやすく教えてくれずはず。
いつだって、私たちに親切なITメンターなんだから(営業部24歳女性)−−
そんな期待に応えるべく、社員に的確なアンサーを送るのも情シスの務め。ヘルプデスク業務は、困った人を導き、業務を滞りなく進めてもらうための大切な仕事。でも、ちょっと待った。システム運用もメンテナンスも、セキュリティ対策もほかにやることが山積みだ・・・。それにしても、なぜこうも違う社員から同じ質問がエンドレスにくるのか。
また、問い合わせに加え、「問い合わせ履歴の管理」も骨が折れる。ツールは、Excelなど、またはメールとさまざまですが、メーリングリストから該当の内容をアレコレ探したり、回答頻度を集計して手入力でレポート作成したり。まじめに対応するほど、仕事は増える一方・・・。いい加減、電話とメールを止めてくれ・・・、という困惑に似た情シスの声が少なくないようです。
ヘルプデスクと、その他の仕事。それぞれバランスよく情シス業務を回せればよいですが、ヘルプデスクの対象は“すぐに回答が欲しい社員”。せっかく、集中していたほかの業務を一時中断せざるを得なかったり、問い合わせが集中すれば、付きっきりになってしまうことも。これでは、生産性を上げろといわれてもその道のりが険しいのは明らか。このようなヘルプデスク業務の現状が、情シスのあたらしい可能性「攻めの情シス」への転換を遠ざける一因になっているようです。
では、何かよい方法はあるのでしょうか?
【希望に向かって】ヘルプデスク業務にもっと光を
【改善策その①】威厳と時に嫌われる勇気を持つ
ヘルプデスク業務が高負荷になる原因として多いのが、「わからないことはすべて」という社内に醸成された雰囲気。先に記したように「違う社員から同じ質問や何度も受ける」、または「マニュアル、FAQに書いてあるのに質問してくる」「内容がまとまっていない相談を受ける」などです。
さて、これをどうするか?
思い切って、“親切な人”を辞めてみるのも一手です。マニュアル・FAQにあることは「書いてあります」。ヘルプデスク領域の質問でなければ「担当が違います」。このように、内容によっては「質問を受けない」ことも大切です。ただ、ぶっきらぼうな態度でノーと言えば、相手が間違っていたとしても相手に不快感を与えてしまうことも。「冷静に質問を聞き、丁寧に論理立てて内容を伝える」ことを心がけましょう。また、頻度の高い質問やトラブル対策は、マニュアルやFAQを作成し、活用を積極的に啓発していくことも大切です。
【改善策その②】業務そのものをアウトソーシングする
ITが経営戦略に欠かせないツールになった現代。管理するデバイス、アプリ、システムが増え一元管理は困難になっています。それに伴いITトラブルも増え、問い合わせが次々にヘルプデスクへ、と。問い合わせとインシデント件数の削減を目下の課題にしている人も多いと思います。そこで効果が見られなければ、プロへの業務委託を検討してみるのもよいかもしれません。
ヘルプデスクは、他部門のイメージでは「ITサポートの専門家」です。しかし、実際は「情シス業務の一部の仕事」であることが通例。つまり、社内では専門家として業務にあたること、またはノウハウを身に付けることが困難な傾向にあります。一方アウトソーシングであれば、プロに任せることで回答精度の向上と均一化を図ることができ、且つ、情シスの業務負荷軽減も期待できます。これは、「業務改善システムの企画〜運用〜管理」を軸足におく情シス本来の姿を取り戻すためにも、有効な手立てだといえるでしょう。
とは言っても−−
マインドセットとアウトソーシング。ヘルプデスクの課題に対するふたつの対策を紹介しました。しかし、よくよく考えるとマインドセットは個々人のパーソナリティに依存。一方のアウトソーシングは現場の状況をアップデートしにくくなったり、管理が複雑になる懸念もあります。
もっと、ほかによさそうな方法はあるのでしょうか?
【未来へ】これからのヘルプデスク業務を担うのは「チャットボット&RPA」だ!
最近、急激に耳にする機会が増えた「チャットボット」 や「RPA」。これらは、次世代のヘルプデスクに欠かせないツールになるかもしれません。チャットボットは、質問と回答を設定しておけば問い合わせ対応を自動で行なってくれるツール。もうお馴染みですね。
チャットボットは顧客サポートだけでなく、着々とヘルプデスクにも導入が拡大。もしかしたら、すでに業務効率化を感じている情シスもいるかもしれません。「人より気軽に相談できる」や「回答が早い」、「ITが苦手でも使える」など、質問を行う社員も好印象のようです。最近では「AI×チャットボット」も登場していて、対応できる問い合わせ内容の幅も拡大しているといいます。
そして、RPA。さまざまな定型業務を自動化してくれるビジネスツールです。「システムへの入力支援」や「自動転記」が得意で、例えばメール内容を読み込み、情報をエクセルに自動反映などはお手のもの。
さて、もしチャットボットとRPA 、それに加えてAIのパッケージサービスがあれば? おそらく、ヘルプデスク業務に変革をもたらすことでしょう。
インターフェースはチャットボットが担い、問い合わせ内容をAIが認識し回答をフィードバック。その内容をRPAが業務システムに自動で転記・保存する。そうなれば、未来のヘルプデスクにはまったく人が介在しなくなる可能性すらあります。現時点では、まだ推測の域を出ませんが、「チャットボット×PRA」の研究は加速しており、無人ヘルプデスクは現実味を帯びはじめています。
チャットボットからはじまるソリューションには、ヘルプデスクはもとより、情シスの大きな未来がありそうです。
【執筆:編集Gp 坂本 嶺】