ローコード開発とは?メリットやデメリット、企業における今後のトレンドを解説
ローコード開発とは、最小限のプログラミングでアプリやシステムを開発できる開発手法です。
企業で働くご担当者の方にとっては「聞いたことはあるけど、あまり詳しくは知らない」という方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ローコード開発の概要や特徴、メリット、デメリット、企業における今後のトレンドを解説していきます。
この記事の目次
ローコード開発とは?
まずは、ローコード開発の概要や特徴について解説します。
・ローコード開発の概要と特徴
ローコード(Low Code)開発とは、最小限のプログラミングでアプリやシステムを開発する開発手法・サービスを指します。
あらかじめ用意されている部品をマウス操作などによって組み合わせることで、アプリやシステムを簡単に開発できることが特徴です。
・ローコード開発が注目されている理由
近年、ローコード開発への注目が高まっています。その理由は、主に以下の2点です。
1.デジタルトランスフォーメーション(DX)を背景とした高速かつ柔軟性の高い開発ニーズの高まり
経済産業省は、DXを推進しないことで生じる経済損失などの問題を「2025年の崖」として警鐘を鳴らしています。
これにより、効率的な開発ができるローコード開発への注目が高まっているのです。
2.IT業界の人材不足への対応
IT人材不足も背景として挙げられます。前述した経済産業省のレポートでは、2025年には約43万人ものIT人材が不足することが報告されています。
・ノーコード開発との違い
ローコード開発と類似している開発手法として、ノーコード開発があります。
ノーコード開発では、「No Code」という言葉からもわかるように、ソースコードの記述が不要です。
そのため、ローコード開発よりもさらに簡単に開発ができ、より万人向けの開発手法といえます。
ただし、以下の点においてはソースコードの記述により自由度が高まるローコード開発のほうが適しているでしょう。
- 他のソフトウェアとの連携
- カスタマイズ性
- 大規模向けの開発
関連記事:ノーコード開発とは?特徴やメリット・デメリット、活用しやすい場面を解説
https://josysnavi.jp/2022/low-code_development
ローコード開発のメリット
ローコード開発のメリットには、主に以下が挙げられます。
・従来よりも開発の難易度が下がる
ローコード開発によって、従来と比べて簡単に開発ができます。
ローコード開発では、あらかじめ決まった部品の組み合わせによってアプリなどが作れるため、IT専門知識が不要になるのです。大量のソースコードを書く必要があったこれまでの開発と比較すると、大きな変化といえます。
・開発の品質水準向上や開発期間の短縮が図れる
ローコード開発により簡単に開発ができることでバグなどが減少し、品質向上が見込めます。
また、スムーズに開発できることから開発期間の短縮を図れます。
・セキュリティ対策の負担が減る
ローコード開発ではセキュリティ対策の負担軽減にも期待できます。
その理由は、ツールのベンダー側でセキュリティ対策を実施することが一般的であるためです。
従来のフルスクラッチ開発(独自開発)とは異なり、自社でセキュリティ対策を行う負担が大幅に軽減される点がメリットとなります。
ローコード開発のデメリット
ローコード開発にはメリットがある一方で、デメリットも存在します。
主なデメリットを以下で解説します。
・ソフトウェア開発の自由度に制約がある
ローコード開発は、従来のフルスクラッチ開発などと比べると自由度が制限されます。
これは、事前に用意された部品の組み合わせで開発ができる利点の裏返しともいえる部分です。
部品自体を自由にゼロから作り出すことはできないため、開発できるアプリやシステムはある程度限定される点がデメリットです。
・ツールの使い方をマスターする期間が必要
ローコード開発では、ローコード開発用のツールを用いて開発を行います。
ツールの使い方をマスターするのはそれほど難しいことではありませんが、習熟するまでの期間はある程度必要です。
・ツールに依存するため、社内にIT技術力が蓄積されにくい
ローコード開発はツールに依存した開発手法となるため、社内にIT技術力が蓄積されにくい点はデメリットとなるでしょう。
高度なプログラミング技術がなくても開発ができる一方で、ローコード開発に慣れることで社内のIT技術力が向上しにくくなる可能性があります。
ローコード開発の導入に伴う今後の企業でのトレンド
ローコード開発の導入によって、IT技術者以外の社員も手軽にアプリやシステムを開発できるようになります。
開発の裾野が広がることは良いトレンドである一方、リスクも潜んでいるのです。
たとえば、社内の至るところにさまざまなアプリが乱立されることで、情報漏えいなどのリスクが増大することが想定されます。
このような事態を防ぐためには、社内でローコード開発(およびノーコード開発)に対するガバナンスをしっかりと効かせていくことが重要です。
つまり、開発が民主化するトレンドとともに、ガバナンスやリスク対策も企業としての今後の重要なトレンドといえます。
ガバナンスやリスク対策としては、以下のポイントが挙げられます。
- 社内での開発標準化や開発フレームワークの作成
- ローコード開発やノーコード開発を統制する社内事務局の体制構築
- アプリやシステムの品質管理体制の把握
まとめ:ローコード開発における今後のトレンドは、開発の民主化と企業ガバナンス
ローコード開発は、最小限のプログラミングでアプリやシステムを開発できる開発手法・サービスです。
DX推進ニーズの高まりやIT人材不足を背景に、近年注目されています。
ローコード開発には開発の品質向上や期間短縮、セキュリティ負担の低減などのメリットがあります。
反面、ツールに依存した開発となるため、自由度に制約がある点や社内にIT技術力が蓄積されにくい点などはデメリットといえます。
ローコード開発の普及に伴い、IT人材でなくても開発ができるメンバーが増える点は良い面でのトレンドとなるでしょう。
一方、社内でアプリやシステムが乱立しないように、しっかりとガバナンスやリスク対策を行うことが求められます。