IoT Vol:03「IoTの正体はたくさんの技術のかたまり〜構成要素をチェック〜」
2018/06/01
この記事の目次
IoTって、少しイメージがぼんやりしています
ところで、IoTってなに?−−
そんな上司や同僚、または恋人やパートナーの質問にどう答えればよいか? 突然の問いにあわてず、即答できるようにしておきたいものです。
しかし、IoTという特定のモノがあるわけじゃなし。今、手にしているiPhoneも、次のボーナスで買おうかどうしようか悩んでいるドローンもいうなればIoT。工場機械にセンサーを埋め込んで業務効率をアップさせているシステムもIoT。さらに、Amazonダッシュボタンもスマートキーももちろん・・・。そう考えると、IoTはどんなものか具体的に説明するのがなかなか難しい。まして、「あらゆるモノがインターネットにつながる」と答えても、おそらく相手の謎は深まるばかり。
そこで今回は、技術面からのアプローチ。いくつかの要素がどのように機能しIoTを実現しているのか見ていきましょう。
4つ要素が集まってIoTはできています
まず、仕組みの説明の前に覚えておきたいキーワードが「デバイス」、「ソフトウェア/アプリ」、「ネットワーク」、「クラウド」の4つです。
・「デバイス」
“Internet of Things”の「things」の部分。つまり、モノです。IoTデバイス、エッジデバイス、IoTガジェットなど呼び方はさまざまですが、「センサーが埋め込まれた機械、または既存製品」とイメージしておきましょう。スマホもドローンも、さらに、工場機械や橋だって、センサーが付けばみんなデバイスになります。
ちなみに、スマホはセンターの塊。少し紹介するだけでも「加速度計センサー」、「ジャイロセンサー」、「GPSセンサー」と、たくさんのセンサーが搭載されています。
・「ネットワーク」
デバイスがインターネットにつながるためにはセンサーだけでは不十分。その役割を担うのがネットワークです。スマホやタブレットを考えるとイメージしやすいですが、LTEや4Gに5G、またはWi-Fi、Bluetoothなどです。これらのネットワークの存在があるおかげで、デバイスは機能することができ、さらに稼働状況(データ)を送ることもできます。
・「ソフトウェア/アプリ」
ネットワーク経由でデバイスに指示を出したり、またはデバイスが送ってきたデータの分析などを担当します。IoTサービスの心臓部です。
・「クラウド」
ソフトウェア/アプリが置かれる空間。マイクロソフトの「Azure」
やアマゾン・ウェブ・サービスの「AWS」、ニフティの「ニフティクラウド」が有名です。最近はこれらの大手クラウドがIoTサービスの開発支援を行うサービスも積極的に展開していて、サービスをつくりやすい環境が整っています。
また、クラウドは、従来のサーバーとイメージしても構いません。最近は、オンプレミス(サーバ環境を自社で構築)でのIoT開発も注目されています。
IoTの仕組みは意外とわかりやすいかもしれません
それでは、IoTがどのような仕組みなのか見ていきましょう。現在さまざまなタイプのサービスがありますが、基本的な仕組みは似ています。下図と実際のサービス事例を参考に解説していきます。
<基本的な仕組み>
最近、注目を集めるユニークなIoTサービスに「紛失防止IoTタグ」があります。数ある紛失防止サービスの中でも、JAL整備場ならびに駐機場で使用する整備器材の位置管理に関する実証実験を行った実績がある「MAMORIO」は有名です。この「MAMORIO」、昔の電車キップのようなタグを財布や傘などなくしたくないものに付けておくと、タグとの距離が離れた際にスマホが自動で教えてくれます。さて、注目のタグ、上の図でいえば「デバイス」です。“タグデバイス”は、定期的にスマホと交信していて、スマホ経由のネットワークでクラウド(サービス)に連動しています。もし、「タグを付けたモノが紛失した(もしくは一定距離が離れてしまった)」場合は、(スマホ内の)アプリがタグと交信できない状態になった時点の位置情報をスマホに通知します。
<MAMORIOの仕組み(イメージ)>
まとめると、
・「デバイスがネットワークと絶えず連動している」
・「アクション発生時(スマホとの交信が途絶えた)に自動で通知と位置情報を出す」
まさにIoTらしいサービスモデルといえます。ただ、MAMORIOは基本的な仕組みとは違う特徴もあり注意も必要です。まずデバイスのタグはセンサーではなく、一定間隔でBluetoothの電波を発する「ビーコン」という機能を利用しています。
次に、「タグがスマホ経由でネットワークに接続している」こと。IoTといえば、「モノがインターネットにつながる」というイメージがありますが、実際はモノとネットがつながるためには「架け橋」が必要です。「MAMORIO」の場合はスマホがその役目をしていて、この架け橋を「ゲートウェイ」と呼びます。これも重要なキーワードになるのでぜひ覚えておいてください。
このように実際のサービスからIoTを考えるのもとても面白く、参考にもなります。さまざまな事例を見て、ぜひその仕組みをいろいろな人に説明してあげてはいかがでしょうか。この記事でも続々と取り上げていきたいと思います。
【執筆:編集Gp 坂本 嶺】
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