【チャットボット】9の成功事例で知るチャットボット活用!!
2018/07/30
拡大するRPA利用、その先陣を切るチャットボット。そんな話題をよく耳にするものの、検討で困るのがその用途。顧客の問い合わせ対応なのか、ヘルプデスク業務の効率化なのか。はたまた、他にも使い道があるのか。そこで今回は、事例からチャットボット活用を紐解いてきます!
この記事の目次
【期待と不安】チャットボットは単なるブームではない・・・、のか?
チャットボットを提供するサービスも日に日に増え、大いに盛り上がるチャットボット。導入検討中の情シスも多いと思います。
さて、そこで気になるのが、“このブーム、果たして本物か?”ということ。「あらたな顧客接点」、「業務の自動化、効率化」、「24時間365日対応で人材コスト削減」などなど、確かに魅力的な話題をよく耳にする一方、導入しても、効果を実感できなければ意味がない。
でも、よくよく考えてみると、世の中のコミュニケーションインタフェースはすでにチャットがメイン。業務コミュニケーションも、メールからチャット形式へと徐々に移行していることを考えれば、すでにチャットボットの土壌は出来上がっていると思えてきます。
また、2016年にガートナーが発表した、アメリカのITトレンド予測では、「2021年まで、エンタープライズの50%以上がアプリではなくチャットボット開発に注力」「2020年を迎えるまでには、奥さんや旦那さんよりチャットボットとの会話が増える」なんて驚きの予測も! そうなるとこれからのデファクトツールになる可能性も高いといえそうです。
出展:https://www.gartner.com/smarterwithgartner/gartner-top-strategic-predictions-for-2018-and-beyond/
と、いうことで今回のテーマはチャットボットについて。「今、どう活用されているか」、実際の成功事例を「サービス編」「社内活用編」でまとめてみました。ぜひ導入の参考にしてみてください!
【サービス編】5つの事例で紐解く、チャットボットサービス
出典:カジタク
家事デリバリーサービスを提供するカジタクのチャットボットが「カジタクFAQ」。意外に項目ボリュームが多い家事デリバリーのFAQ。チャットボットの役目は、ユーザーからの問い合わせ対応。ユーザーがキーワード入力すればロボットが即回答、または内容に近いカテゴリを提示します。
また、チャットボットを使うとサービスクーポンが利用できるユニークな仕組みもあります。
・ヤマト運輸:『LINEチャットボット』
出典:ヤマト運輸
多くの人が使っている、宅急便の問い合わせ。でも、電話だと混み合っていてなかなかつながりにくく、スマホでもページアクセスや操作が意外とめんどうに感じてしまうことも。
こういったユーザーの悩みを解決するのが、ヤマト運輸のチャットボット。LINE上で、荷物問い合わせに対し自動応対します。ユーザーはいつものSNS感覚で問い合わせでき、日時変更や再配達依頼はもとより、送り状発行なども行えます。
・ASKUL:『マナミさん』
出典:マナミさん
チェットボットのニーズで多いのがECサイトへの導入。おそらく、その火付け役がASKULのECサイトLOHACOの「マナミさん」でしょう。2014年により問い合わせ対応がスタートし、24時間365日のサポート体制を構築。2016年にはすでに、「全問い合わせ数の1/3」をマナミさんが対応。6.5人分の省人化に貢献したといいます。
「定型の質問への即答」や「質問候補と回答の提示」に加え、「ちょっとした雑談」もこなすマナミさん。4年以上の運用実績を持つ、チャットボット の成功例です。
・SBI損害保険:『ハイブリッドチャットボット 』
出典:SBI損害保険
自動車保険大手のSBI損害保険はFAQにチャットボットを活用。9〜18時は有人サポート、それ以外の時間帯はチャットボットのハイブリッド仕様が特徴です。人とロボット双方のサポート体制を構築し、24時間365日、顧客がいつでもつながれる安心の環境を整えています。
・ライフネット生命保険:『ラネットくん』
インターネット×保険で業界にイノベーションを起こしてきたライフネット生命保険は、LINEとFacebook messengerでチャットボットを展開。SBI損害保険と同様のハイブリッド仕様で、ロボットは「FAQ」と「保険診断」ふたつの役割を担っています。
FAQは先例の通りですが、保険診断ではAIチャットボットが顧客のニーズに適したプランを自動で紹介します。FAQ、保険診断ともに、有人サポートの「前段」であるのが特徴で、内容に応じて保険プランナーに引き継がれる仕組みです。
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<まとめ>
カジタクはシンプルなチャットボット例ですが、「設置場所」や「見せ方」に工夫があります。FAQページのトップに設置したりクーポンをつけることで、誰もが興味を持ちやすく、かつ気軽に使えるようにしています。ここから、チャットボット活用は、「いかにユーザーに使ってもらうか」への考慮も必要だということがわります。
次に、注目したいのがヤマト運輸、ASKUL、ライフネット生命保険のインタフェース。それぞれのチャットボットは、LINEのビジネスカスタマーやカスタムコネクトのAPIにより、LINE上で提供されています。コミュニケーションツールの中核を担うLINEは、サービス展開における明らかなメリット。チャットボットのインタフェース選びは今後の重要な要素となりそうです。
【社内活用編】4つの事例で紐解く、業務チャットボット
・大京:『社内ヘルプデスク』
出典:hitTO 導入事例
ライオンズマンションシリーズなどでも有名な不動産大手の大京。ヘルプデスク業務にAIチャットボットを活用しています。
目的は、ヘプルデスクへの入電数削減。なんでも、1,500件/月あまりの入電がある一方、その約3割はFAQを見れば把握できる内容だったそうです。チャットボットにより、半年で入電数の約3割を削減し、大幅な業務改善を実現したといいます。
・ダイキン工業:『社内ヘルプデスク』
出典:exiis-Lab 導入事例より
空調事業でグローバルに名を馳せるダイキン工業。大京同様、社内ヘルプデスクにAIチャットボットを活用しています。
目的は、問い合わせする社員とヘルプデスク双方の工数削減。チャットボットにより大きく改善されたほか、ログを残せるようになったことで質問傾向の把握も可能に。重要度の高いジャンルを特定しFAQに追加するなど、問い合わせ対応のクオリティも向上したそうです。
・コックス:『スタッフ採用』
出典:オートークビズ
全国各地に多くのアパレル店舗を展開するコックス。販売スタッフ採用にAIチャットボットを活用しています。
従来の採用フローは、本社がスタッフ募集情報を一括管理し、各店舗に応募者を振り分け、面接対応を店長に一任する仕組み。しかし、セキュリティの関係上、応募者との連絡がつかない場合、
は、店長に代わり本社が応募者に日程調整のメールを送るなど、タイムリーにやりとりができない環境があり、不便が続いていたそうです。
そこで、「応募者への自動応答」ほか、「応募者情報の自動読み込み」、「日程自動管理」などの機能を持つチャットボットを導入。応募者の管理から対応、日程調整までも自動化でき、大幅な業務効率化を実現したといいます。
・桧家ホールディングス:『営業力強化』
出典:エクサ 導入事例
注文住宅・ハウスメーカーで知られる桧家ホールディングス。社員の営業力強化にAIチャットボットを活用しています。
同社には、セールス・トークのテクニックをまとめた質の高い応酬話法マニュアルが存在。しかし、その内容は全体を読まないと把握が難しく、営業社員の活用頻度は高くなかったそうです。その改善策としてチャットボットを導入。マニュアルを分解し、あらたに建築用語や法律関係の情報も加えたチャットボットツール「ひのくまコンシェルジュ」の運用をスタートさせました。その結果、デバイスがあれば、営業社員は時間や状況に捉われず、ノウハウを学習できるように。加えて、応酬話法マニュアルの活用の向上と営業の平準化にも役立っているといいます。
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<まとめ>
このようにヘルプデスク業務以外にも、さまざまな業務課題でチャットボットの成功事例が出始めています。とくに、コックスの事例のように、採用ソリューションに事例があるのは大きな可能性を感じさせてくれます。
一方、気をつけておきたいことがひとつ。今回取り上げた社内活用事例のすべてが「AIチャットボット」だということ。AIチャットボットは、運用前のシナリオ構築の精度と運用しながらの学習データ更新による精度向上が必須。つまり、効果的な運用ゆえの成功である点に注意しましょう。
【執筆:編集Gp 坂本 嶺】
「IT-Manager SD」
社内システムの問題を可視化し、IT部門の生産性を向上するプラットフォーム。