【国際ドローン展2016】ユニークな機体で注目集める TEAD

2016/04/28

TEADのブース

TEADのブース

TEADは、食品・雑貨の製造や輸入・輸出、販売を手がけるヨコヤマコーポレーションが行っていたドローンの機体やパーツなどを販売する事業部が独立して設立された会社だ。

産業用ドローンというと、いかにもマシン然とした無骨なデザインが多い中、TEADのドローンは、ユニークな形のものが多い。まだ試作段階の機体もあるが、いかにも夢のあるデザインだ。骨太なデザインのドローンが多い中、明るくカラフルで独特のフォルムを持つ機体を展示しているTEADのブースは訪れる人が絶えず、常ににぎわいを見せていた。

TEADが展示したさまざまなドローン

TEADが展示したさまざまなドローン

同社のドローン製作について、技術開発部の佐藤佳丈氏は次のように説明する。「お客様からのオーダーに合わせ、機体を一点製作します。『こんなことをドローンでできないか?』というお問い合わせをお客様からいただくことが多いですね」。こうした形でドローンの製作を行うTEADでは、現在、農薬散布用ドローンのオーダーが多いという。

その1つが、農林水産航空協会が策定している運行基準に沿った農薬散布用ドローン「DAX-04」だ。10リットルの薬剤タンクを搭載。1ヘクタールの農薬散布が、1度のフライトで完了する。農林水産航空協会に型式認定を申請していたが、認定が下りたという。

農林水産航空協会の運行基準に沿った農薬散布用ドローン「DAX-04」

農林水産航空協会の運行基準に沿った農薬散布用ドローン「DAX-04」

「農薬散布は農家にとって、大変な重労働。そこを省力化できれば、農家の後継者問題にも明るい兆しが見えてくると思います」と佐藤氏は開発の狙いについて説明する。このドローンが普及すればで「薬剤散布はドローンで」という流れが、強くなっていくかもしれない。

ハイブリッドタイプのドローン「ハイドロX」

ハイブリッドタイプのドローン「ハイドロX」

バッテリーで駆動する6枚のプロペラと、充電用の小型ガソリンエンジンを搭載。仕様上の最長飛行時間を120分に設定している。発電機メーカーと共同開発したガソリンエンジンは、特殊な水平対向エンジンで振動が少なく高い静粛性を誇る。製品化はこれからだという。

ハイドロXは「次のドローン」の姿ともいえる。「飛行時間の短さは、かなり前から問題だと考えていました。バッテリーを大きくするほかに、何か手はないのかと考えている中で出てきたのが、ハイブリッドです」と、佐藤氏は開発経緯について説明する。

国産ドローンへの思い

「日本は、ドローンについてはまだまだ遅れています。良いパーツが手に入らないし、そもそも国産パーツが少ない」と、佐藤氏は話す。そうした思いに突き動かされるように始めたのが「日本製のドローンを作ろう」という取り組みだったという。

TEAD 技術開発部 佐藤佳丈氏

TEAD 技術開発部 佐藤佳丈氏

まずは、自社で扱うパーツで機体を組み上げた。国産のパーツがなければ、メーカーに掛け合って作ってもらった。まだ100%ではないが、「すべて日本製のパーツで作れるようにしたい」(佐藤氏)という。

また、「日本の工業製品のクオリティは高い。日本のドローンはこれまで海外製品の後塵を拝してきたけれども、素晴らしい機体を作れば、逆に世界に輸出することができる。それくらいのものを作っていきたい」と佐藤氏は力を込める。

問題を乗り越えることでアイデア、技術が生まれる

TEADが、さまざまなドローンを開発できる背景には社風もあると佐藤氏は言う。

「例えば『ビルの窓を洗浄するのに、ドローンを使えないか?』というご相談もありました。普通に考えると無理だと思えることでも『もしかしたら』と考える。そういう社内の空気が、機体開発に大きく役立っていると思います」。また、「どんなささいな課題、小さな問題でも、それを解決することで新しいアイデア、新しい技術が生まれてくる」と強調した。

 

ブースではコンシューマー向けのドローンも展示。

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