【国際ドローン展】研究室から世界に飛び立つ最新ドローン 自律制御システム研究所
自律制御システム研究所のブース
自律制御システム研究所は今回1、2を争う大きな展示スペースで出展していた。各種のニーズに特化した機体を中心として、開発中のVTOL(垂直離着陸機)や最新技術が詰まった機体「N-ONE」など、見ごたえも充分だ。ハードとソフト、それぞれに対して広く深く追求し続ける姿勢が見てとれる。
この記事の目次
ドローンビジネスがついに始まる
黒を基調に、技術力・開発力をイメージさせる展示を行った自律制御システム研究所。もともとは野波健蔵・千葉大学教授の研究室で20年近くにおよぶ自律制御システムの研究成果が基礎になっている。自律制御システム研究所の社長も務める野波教授は研究開発について、次のように話す。
「研究開発にはとても力が入っていますね。我々はほかのメーカーと違って『ミニサーベイヤー』というコンソーシアムを作っています。そこに200社以上の企業が参画して、それぞれお得意分野で力を発揮しています」。
野波健蔵・自律制御システム研究所社長
量産が得意な企業、販売に強い企業。それぞれが強みを発揮するため、同社としては研究開発に邁進できる。そのため、搬送用ドローンやレスキュードローンなど、用途に合わせて高度に専門化したドローンの開発が可能。また、搬送用ドローンについては、すでにビジネスとして成り立っているという。
「弊社の機体を使って、この5月からゴルフ場内での配送サービスが始まります。コース上で『コーラが飲みたい』とオーダーすると、すぐにドローンが届けてくれる」と野波社長は説明する。エリア限定とはいえ、ビジネスとしての搬送サービスが始まったということの意義は大きい。
世界唯一の最先端ドローン
自律制御システム研究所の展示で目玉となるのが、最新機の「N-ONE」だ。
N-ONE
見た目で判る特徴は「ジンバル型胴体」。これは機体中央部の胴体と、プロペラを支持するフレームが固定されていない構造だ。この構造だと重心がぶれず、安定した飛行が得られるという。またレーザーを使うことで、自律飛行の自由度を高めた。
ドローンはGPS(全地球測位システム)によって自律飛行を可能にしているのが一般的だが、橋の下やトンネルではGPSが使えないそのため自機の位置を失ってしまうこともある。そこで、レーザーセンサを併用することで、機体の位置や速度を正確に測定できるようになり、安定した自律飛行を可能にしたという。
「現時点で、非GPS環境での自律飛行に関して、世界の最先端を行っています。この技術を使ってさまざまな用途に向けてカスタマイズしていますが、本当によいものを作っていきたい」と野波社長は胸を張る。
その言葉通り、展示された機体は、それぞれの分野に特化したものであるだけでなく、かなり深いところまで研究開発された感がある。
そういう意味で自立研の展示でもう1つ注目すべきなのがVTOL型のドローンだ。このドローンは長距離の高速飛行を可能にする機体だ。
VTOL型のドローン
野波社長は今後、ドローンのタイプは二分していくと言う。「VTOL型は高速移動には最も適しています。これからは回転翼タイプのドローンと、固定翼とを併用したもの、これらふたつの種類が大きな主流となると思います」。
人が乗れるドローンを作りたい
ドローンの普及には課題も残されている。その1つが法律・規制だ。この点について自律研としても、積極的に関わっていくという。
「いま、千葉市でドローン宅配の構想が動いています。これは国をあげての事業で、世界的にも初めての試み。我々も国と一体となって、チャレンジャーとして進めていくつもりでいます」と野波社長は説明する。また、災害救助の分野では最終的な目標として「人を運びたい。たとえば災害時、けが人を搬送したくても、道路は使えない。でも空なら最速で被災者を病院まで運ぶことができる」したいと話した。
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