エンベデッドシステムスペシャリストの年収は?仕事内容や必要スキルも解説
エンベデッドシステムスペシャリストは、組み込みシステムのエンジニアを対象とした情報処理技術者試験です。エンベデッドシステムスペシャリストの資格取得を考えている方にとっては、年収や仕事内容などが気になるのではないでしょうか。
そこで本記事では、エンベデッドシステムスペシャリストの概要や年収、仕事内容、取得メリットなどを解説していきます。
この記事の目次
エンベデッドシステムスペシャリストとは?
はじめに、エンベデッドシステムスペシャリストの概要および仕事内容を解説します。
エンベデッドシステムスペシャリストの概要
エンベデッドシステムスペシャリストは、情報処理推進機構(IPA)が主催している情報処理技術者試験の1つです。
情報処理系の国家試験であり、ネットワークスペシャリストやデータベーススペシャリストなどと並んで、高度な知識・技能を測る資格です。試験は年に1回秋期に実施され、合格率は約18% (令和3年度)。
およそ6人に1人が合格するという狭き門になっています。
試験時間や出題形式は下表のとおりです。
午前Ⅰ | 午前Ⅱ | 午後Ⅰ | 午後Ⅱ | |
試験時間 | 9:30~10:20 (50分) |
10:50~11:30 (40分) |
12:30~14:00 (90分) |
14:30~16:30 (120分) |
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) | 多肢選択式(四肢択一) | 記述式 | 論述式 |
出題数 解答数 |
出題数:30問 解答数:30問 |
出題数:25問 解答数:25問 |
出題数:2問 解答数:1問 |
出題数:3問 解答数:1問 |
参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:エンベデッドシステムスペシャリスト試験
エンベデッドシステムスペシャリストの過去問と解答、講評リンク
エンベデッドシステムスペシャリストの過去問と解答、講評リンクを以下に掲載します。
受験する際は、事前に以下のリンクから過去問題を解いておくとよいでしょう。
午前Ⅰ:問題、解答
午前Ⅱ:問題、解答
午後Ⅰ:問題、解答、講評
午後Ⅱ:問題、解答、講評
参考:過去問題(問題冊子・配点割合・解答例・採点講評)|IPA
エンベデッドシステムスペシャリストの仕事内容
エンベデッドシステムスペシャリストの主な仕事内容としては、以下が挙げられます。
- 組み込みシステムの要件定義、設計
- 組み込みシステムの開発、実装
- 組み込みシステムの保守、開発環境の整備
上記より、エンベデッドシステムスペシャリストは、組み込みシステムの要件定義からリリース後の保守までを幅広く網羅している点が特徴的です。
エンベデッドシステムスペシャリストの年収
どの職種にも言えることですが、エンベデッドシステムスペシャリストの年収はそれぞれの経験やスキル、所属会社などによって異なるため、一概には断定できません。そのうえで、経済産業省の調査によると、エンベデッドシステムスペシャリストの平均年収は603.9万円となっています。
他のIT職種で近い年収としては、IT運用・管理(顧客向け情報システムの運用)の608.6万円が挙げられます。IT職種のなかでは、エンベデッドシステムスペシャリストの年収水準は中程度であると言えるでしょう。
IT職種のなかで年収が高水準であるのは、コンサルタント(928.5万円)やプロジェクトマネージャー(891.5万円)などです。エンベデッドシステムスペシャリストとして年収アップを図るためには、技術的な要素に加えて、上流工程の経験やマネジメントスキルを獲得していくことが重要となるでしょう。
出典:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」
エンベデッドシステムスペシャリストを取得するメリット
ここでは、エンベデッドシステムスペシャリストを取得するメリットについて、以下の3点を解説します。
- 組み込みシステムに関する知識やスキルを客観的に証明できる
- 就職時や転職時に専門性をアピールできる
- 将来性の高いIoT分野で強みを発揮できる
組み込みシステムに関する知識やスキルを客観的に証明できる
組み込みシステムに関連する国家資格であり、組み込みシステムの設計や開発などのスキルを客観的に証明する手段として効果的です。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験では、組込みシステムに関する要求仕様の策定や開発、テスト計画などの高度かつ広範な知識が問われます。そのため、取得することで高度なスキルレベルを保有していることを示せるでしょう。
就職時や転職時に専門性をアピールできる
合格率が約18%であるため希少性も高く、職務経歴書に記載することで高いアピール効果を期待できます。
エンベデッドシステムスペシャリストのような難関資格を取得するためには、計画的な準備や継続的な努力、目標達成力が欠かせません。このような能力・スキルは、仕事上でも重要な要素であるため、難関資格を取得したという実績自体が評価対象となるでしょう。
将来性の高いIoT分野で強みを発揮できる
組み込みシステムには、スマート家電や自動運転などのIoTも含まれます。5G普及などの大きなトレンドを踏まえると、IoT分野は今後ますます需要が高まっていくことが考えられます。
そのためエンベデッドシステムスペシャリストは、将来性の高いポジションであると言えるでしょう。
エンベデッドシステムスペシャリストに求められるスキル
エンベデッドシステムスペシャリストに求められるスキルとしては、主に以下の3点が挙げられます。
- 組み込みシステムに関する技術的な知見・スキル
- 組み込みシステムの開発工程に対する知識・スキル
- 英語を含めたコミュニケーションスキル
組み込みシステムに関する技術的な知見・スキル
組み込みシステムに従事するうえでは、C言語やC++、アセンブラなどのプログラミングスキルが不可欠です。
また、製品ジャンルに応じた知識も必要です。たとえば、オーディオ系の組み込みシステムに従事する場合は、音響工学やハードウェア製品の知識が求められます。
ハードウェアの仕様や性能を理解しながら、ソフトウェアを設計・開発することが重要となるでしょう。
組み込みシステムの開発工程に対する知識・スキル
組み込みシステムを完成させるまでの一連のプロセス(要件定義や設計、開発、テスト、リリース、保守・運用など)を経験していることが求められます。
そのうえで、IoT全体のアーキテクチャ設計やソフトウェアとハードウェア間のインターフェース設計など、開発全体を俯瞰したスキルも大切な要素です。
英語を含めたコミュニケーションスキル
エンベデッドシステムスペシャリストは、ソフトウェア開発部門やハードウェア製造部門などの複数の部門と関わる機会が多いため、コミュニケーションスキルも求められます。
加えて、技術的な知識・スキルを基にチームを指導する立場にもなります。
さらに、ハードウェア製造などを海外の製造会社に委託している場合は、英語で文書の読み書きや会議を行う場合もあるため、ビジネスレベルの英語力を備えていることが望ましいでしょう。
まとめ
エンベデッドシステムスペシャリストは、組み込みシステムのエンジニア向けの情報処理技術者試験です。
合格率は約18%(令和3年度)であることから、難関資格であると言えます。
経済産業省の調査では、エンベデッドシステムスペシャリストの平均年収は603.9万円です。
組み込みシステムに従事するエンジニアであれば、エンベデッドシステムスペシャリストを取得することで高度なスキル証明や就職・転職時の武器になるでしょう。
将来性の高いIoT分野にも密接に関わるため、今後も長期的な活躍を見込めます。
技術力と開発経験の両方を磨き、エンベデッドシステムスペシャリストとしてのキャリアアップを目指していきましょう。
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