ネットワークスペシャリストを取得する意味はない?メリットと合わせて解説
ネットワークスペシャリストは、ネットワーク設計や構築、保守などに従事するエンジニアを対象とした情報処理技術者試験です。しかし、資格取得を検討しているエンジニアのなかには、「ネットワークスペシャリストの資格を取得しても意味ないのでは?」と考えている方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、ネットワークスペシャリストの概要や有用性、取得メリット、取得をおすすめできる人などを解説していきます。
この記事の目次
ネットワークスペシャリストとは?
はじめに、ネットワークスペシャリストの概要や関連資格との違いについて解説します。
ネットワークスペシャリストの概要
ネットワークスペシャリストは、情報処理推進機構(IPA)が主催している情報処理技術者試験の1つです。情報処理系の国家試験であり、プロジェクトマネージャーやデータベーススペシャリストなどと並んで、高度な知識・技能を測る資格です。
試験は年に1回春期に実施され、合格率は約13% (令和3年度)であることから、およそ8人に1人が合格するという狭き門になっています。
試験時間や出題形式は下表のとおりです。
午前Ⅰ | 午前Ⅱ | 午後Ⅰ | 午後Ⅱ | |
試験時間 | 9:30~10:20 (50分) |
10:50~11:30 (40分) |
12:30~14:00 (90分) |
14:30~16:30 (120分) |
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) | 多肢選択式(四肢択一) | 記述式 | 記述式 |
出題数 解答数 |
出題数:30問 解答数:30問 |
出題数:25問 解答数:25問 |
出題数:3問 解答数:2問 |
出題数:2問 解答数:1問 |
ネットワークアーキテクトの過去問と解答、講評リンク
ネットワークアーキテクトの過去問と解答、講評リンクを以下に掲載します。受験する際は、事前に以下のリンクから過去問題を解いておくとよいでしょう。
午前Ⅰ:問題、解答
午前Ⅱ:問題、解答
午後Ⅰ:問題、解答、講評
午後Ⅱ:問題、解答、講評
参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:問題冊子・配点割合・解答例・採点講評(2022、令和4年)
CCNPとの違い
ネットワーク関連の資格としては、シスコシステムズ社が主催するCCNP(Cisco Certified Network Professional)も代表的です。
CCNPは民間資格であるため、国家資格か民間資格かの点でネットワークスペシャリストとの違いがあります。また、CCNPは2科目(コア科目・選択科目)をそれぞれ受験するのに対し、ネットワークスペシャリストは毎年春期に1回のみの受験です。
受験費用においても、CCNPは86,240円(税込)、ネットワークスペシャリストは7,500円(税込)であり、大きな差異があります。
ネットワークスペシャリストは意味がないのか?
ネットワークスペシャリストの取得に意味があるかどうかは、受験者の仕事や置かれている環境などによって異なります。
たとえば、ネットワーク設計や構築、保守といった業務をメインに行っている人にとっては、仕事と資格が直接的に結びつくため意味があると言えるでしょう。また、官公庁などのプロジェクトの参画条件としてネットワークスペシャリストの有資格者を求められている場合などは、取得する意味は大きいです。
反対に、ネットワークスペシャリストの資格が評価されない完全成果主義の外資系企業などでは、資格を取得すること自体にはあまり意味がありません。加えて、とにかく難関資格を集めて権威性を出したい人など、資格の肩書きを増やすことだけを目的にしている場合は、取得しても意味がない可能性が高いでしょう。
ネットワークスペシャリストを取得するメリット
ネットワークスペシャリストを取得するメリットとしては、主に以下の3点が挙げられます。
- ネットワークに関する知識・スキルの客観的な証明になる
- 就職時や転職時に専門性をアピールできる
- 年収アップにつながる可能性がある
ネットワークに関する知識・スキルの客観的な証明になる
ネットワークスペシャリストは、ネットワークに関連する国家資格であり、ネットワーク業務の知識やスキルを客観的に証明する手段として効果的です。
ネットワークスペシャリスト試験では、ネットワークの高度かつ広範な知識が問われるため、取得することで高度なスキルレベルを保有していることを示せます。また、資格取得に向けた勉強をすることで、本業だけでは理解が不足していた部分の補強もできるでしょう。
就職時や転職時に専門性をアピールできる
合格率が約13%であるため希少性も高く、職務経歴書に記載することで高いアピール効果を期待できます。
ネットワークスペシャリストに合格するためには、合格までの合理的な計画立案や継続的な努力・改善が欠かせません。これらは仕事でも重要な要素であるため、ネットワークスペシャリスト資格を取得したという実績自体が評価される可能性もあります。
年収アップにつながる可能性がある
難関資格への資格奨励金を用意している会社などでは、資格を取得することで年収アップにつながる可能性があります。昇進条件の1つとしている企業もあるため、昇進して年収アップを実現する手段にもなるでしょう。
また、転職を検討する場合は、有資格者であることをアピールすることで、現職よりも好条件の職場に転職できる可能性が高まります。
ネットワークスペシャリストを取得したほうが良い人
ネットワークスペシャリストの取得をおすすめできる人の特徴としては、主に以下の3点が挙げられます。
- 本業の知識やスキルを棚卸ししたい人
- ネットワーク関連の業務で後輩や部下の育成をしている人
- ネットワーク関連の業務で転職を考えている人
本業の知識やスキルを棚卸ししたい人
仕事でネットワークの設計や構築、保守などの業務を中心に行っている人は、知識やスキルの棚卸しになります。
実務と資格取得の両立をすることで、体系的な知識やスキルの理解にもつながるでしょう。
ネットワーク関連の業務で後輩や部下の育成をしている人
職場で後輩や部下に対してネットワーク業務を指導する人にとっても、ネットワークスペシャリストの取得はおすすめできます。
高度な資格を取得したことで自信につながり、堂々とした指導を行えるようになるでしょう。指導を受ける側の後輩や部下にとっても、難関資格の有資格者からの指導であれば真剣に耳を傾けるはずです。
ネットワーク関連の業務で転職を考えている人
現職での活躍だけでなく、転職時の武器としてネットワークスペシャリストを活用したい人にもおすすめできます。
ネットワーク業務を軸としてキャリアアップをしていく道を決めている人にとっては、職場に関わらずプラスに働く資格であると言えるでしょう。
まとめ
ネットワークスペシャリストは、ネットワーク設計や構築、保守などに従事するエンジニアを対象とした情報処理技術者試験です。合格率は約13%(令和3年度)であることから、難関資格であると言えます。
ネットワークスペシャリストが意味のない資格であるかどうかは、受験者の仕事内容や今後の活動方針によって異なります。仕事でネットワークの設計や管理、運用を行っている方や、有資格者が条件のプロジェクトに参画したい方にとっては、ネットワークスペシャリストの資格は大いに意味があるでしょう。
一方で、完全成果主義の職場にいる方や、資格の取得自体を目的としている方にとっては、ネットワークスペシャリストの資格は意味を成さない可能性があるため注意が必要です。
ネットワーク業務をメインにエンジニアとしてのキャリアアップを目指す方は、ネットワークスペシャリストの取得に向けて準備を進めていくとよいでしょう。
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