国内サーバーオペレーティングシステム市場予測-IDC
IDC Japanは国内サーバーオペレーティングシステム市場の2018年の実績と2019年~2023年の予測を発表。
稼働環境としては、Windows、Linux、UNIX、メインフレーム、その他が含まれる。但し、Linuxの売上額は商用ディストリビューションの売上が該当し、無償で入手し使用できるLinuxは含まれていません。
2018年の国内サーバーオペレーティングシステム市場は841億4,800万円、前年比成長率が7.5%と好成長となった(図1)。2019年も前年比成長率が6.2%と好調を維持するとみられるが、2020年以降は成長が鈍化していくものと捉えている。2018年~2023年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は3.8%になるとIDCでは予測している。
図1 国内サーバーオペレーティングシステム市場予測:2017年~2022年
Note:2017~2018年は実績値、2019年以降は予測
Source: IDC Japan, 8/2019
市場構成比で50%以上を占めているWindows市場は、2018年で前年比成長率が9.5%となった。2020年1月にはマイクロソフトのWindows Server 2008のサポート終了(EOS:End of Support)が控えているため、Windows Server 2016への移行案件の増加が好調の要因になっている。このEOSに向けた移行需要は2019年も続くとみており、2019年の前年比成長率は8.8%を見込んでいる。
IDCが2019年4月にWindows Server 2008を使用している企業を対象に実施した調査(図2)によると、移行を実行している段階の企業が56.6%、既に移行を完了した企業が22.2%となっており、4分の3以上の企業がWindows Server 2016を中心とした新たなオペレーティングシステムへ移行を進めている状況が見て取れる。
図2 国内企業のWindows Server 2008サポート終了に向けた移行の状況
n = 445
Note: Windows Server 2008を使用している企業が回答
Source: IDC Japan, 8/2019
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティのリサーチマネージャーである入谷光浩氏によれば「Windows Server 2003のEOSの時はサポート終了間際で移行の駆け込み案件が多く発生し、エンジニアリソースの逼迫など混乱を招く状況も見られた。しかし、今回のWindows Server 2008のEOSでは、Windows Server 2003の時の教訓から余裕を持って計画的に移行する企業が多く大きな混乱は生じないであろう」と分析している。2020年以降は移行案件が落ち着くためWindowsの市場成長は鈍化し、2018年~2023年のCAGRは3.6%になるとIDCでは予測する。
この数年、好調が続いているLinux市場は、2018年の前年比成長率が11.3%となり、2017年(同13.5%)に続き二桁成長を達成した。Linuxは従来の基幹業務系システムから最新のデジタルサービス向けシステムまで幅広い領域で採用されており、持続的な成長が続いています。さらにクラウドサービスのIaaS(Infrastructure as a Service)上でLinuxシステムの構築案件が増加しており、それに伴いIaaS向けのLinuxディストリビューション売上が増加していることも高成長の要因になっているといえよう。この傾向は今後も続き、2019年の前年比成長率も二桁成長となる10.2%、2018年~2023年のCAGRを9.0%とIDCでは予測する。一方、UNIXとメインフレームはハードウェアの出荷が減少傾向にあるため、サーバーオペレーティングシステムの売上も減少傾向が続くと予測される。
本レポートは、IDC Japan様のプレスリリースの内容を元に作成しております。
ソース:https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ45405719