AR/VRヘッドセットの世界/国内市場出荷実績(2018年第3四半期 )-IDC
17日、IDC Japanは、2018年第3四半期(7‐9月)のAR (Augmented Reality) / VR (Virtual Reality)ヘッドセットの世界/国内出荷台数を発表。
IDCのWorldwide Quarterly Augmented and Virtual Reality Headset Tracker 2018Q3 によれば、2018年第3四半期のAR/VRヘッドセットの出荷台数は196万台となった。これは前年同期より9.4%の増加であり、2017年第3四半期以来続いていた出荷台数の減少が増加に転じた。VRヘッドセットは合計190万台の出荷となり、前年同期比8.2%の成長となっている。
表1 世界AR/VR ヘッドセット市場 出荷台数 タイプ別
製品カテゴリー | タイプ | 2018 Q3
出荷台数(万台) |
前年同期比 |
AR | スクリーンレスタイプ | 2.3 | ― |
スタンドアロンタイプ | 2.6 | -6.9% | |
ケーブルタイプ | 0.9 | 32.6% | |
小計 | 5.8 | 67.6% | |
VR | スクリーンレスタイプ | 43.3 | -58.6% |
スタンドアロンタイプ | 39.2 | 428.6% | |
ケーブルタイプ | 107.6 | 69.0% | |
小計 | 190.1 | 8.2% | |
合計 | 195.9 | 9.4% |
Source: IDC Worldwide Quarterly AR and VR Headset Tracker, 12/2018
本四半期では、サムスンのGear VRなどのスクリーンレス型は製品の割引やヘッドセット自体の供給が激減したため、前年同期比58.6%の減少に。サムスンの最新のスマートフォンの中には現行のヘッドセットと互換性がないものがあることも、この減少に拍車をかけている。また、サムスンに加えて、グーグルやAlcatelなどの他の著名なベンダーも、このカテゴリーでの出荷を大幅に縮小した。
一方、スタンドアロン型は前年同期比で428.6%成長し、VRヘッドセット市場の20.6%を占めるまでになった。FacebookのOculus GoとXiaomiのMi VRはそれぞれ異なる市場に出荷された同一の製品であるが、全世界で約25万台を出荷しており、最も人気のあるヘッドセットの一つとなっている。
ケーブルタイプのVRヘッドセットの出荷は100万台を超えたが、これは2017年第4四半期に次いで2回目であり、第3四半期としては過去最高の出荷となりった。ソニーは本四半期46.3万台、Oculusは30万台、そしてHTCは23.0万台を出荷した。合計値でみると、OculusはOculus RiftとOculus GoのおかげでVR市場全体の25.9%を占め、VRヘッドセット市場でのトップベンダーに。Oculus Goの合計出荷台数は49.1万台となっている。
ARヘッドセット市場も、本四半期は順調に推移。レノボが2.3万台の出荷でトップに立ったが、その大半は消費者向けの「Star Wars Jedi Challenges」であった。このヘッドセット以外では、ARヘッドセット市場はVuzixやセイコーエプソンなどのベンダーにより、前年同期比で1.1%の増加となった。マイクロソフトのHoloLensは依然として最も人気のあるARヘッドセットの一つであるものの、2019年に発売の次世代ヘッドセットを待っている顧客が増えており、その成長は遅れ気味である。
米国IDC Mobile Device Tracker シニアリサーチアナリストのジテシュ・ウブラニによれば、「VR市場はようやく独自の市場を形成しつつある。消費者サイドではヘッドセットの価格が低下することとコンテンツが増加することが組み合わさることで、ユーザーの関心を惹起している。他方、ビジネスサイドではトレーニング、デザイン、ショーケースなど様々なユースケースでVRの利用が増加している」と述べている。
また、米IDC デバイスおよびAR/VR リサーチ プログラムバイスプレジデントのトム・マイネリによれば、「VR市場は、企業が爆発的な市場の成長という非現実的な期待をいったん脇に置くことで、より持続可能なビジネスを構築することに焦点を当て始めている。ARに関しては、ハードウェアの成長は依然として控えめではあるが、多くの企業がこの分野に強い関心を持っている。2019年は既存のプレーヤーと新規参入プレーヤーの双方から新しいプロダクトが登場するとみられるが、これらはARが実証実験やパイロットテストを超えて実際の利用への移行を促すだろう」と述べています。
Worldwide Quarterly Augmented and Virtual Reality Headset Tracker 2018Q3 では、国内のAR/VRヘッドセット出荷台数についても公表している。同Trackerの2018年第3四半期データによると、エンタープライズ用途を含む同四半期の国内AR/VRヘッドセット出荷台数は合計で約14.1万台となり、前年同期比60.0%の成長となった。カテゴリー別ではARヘッドセットが約2,300台、VRヘッドセットが約13.9万台となり、Oculus GoやMirage Solo、IDEALENSシリーズなどのスタンドアロン型VRヘッドセットは前四半期と同水準の1.0万台の出荷であった。
表2 国内AR/VR ヘッドセット市場 出荷台数 タイプ別
製品カテゴリー | タイプ | 2018 Q3
出荷台数(千台) |
前年同期比 |
AR | スクリーンレスタイプ | ― | ― |
スタンドアロンタイプ | 2.0 | -11.5% | |
ケーブルタイプ | 0.2 | 1,050.0% | |
小計 | 2.3 | -2.4% | |
VR | スクリーンレスタイプ | 15.4 | -10.5% |
スタンドアロンタイプ | 10.4 | 333.3% | |
ケーブルタイプ | 113.0 | 70.6% | |
小計 | 138.7 | 61.7% | |
合計 | 141.0 | 60.0% |
Source: IDC Worldwide Quarterly AR and VR Headset Tracker, 12/2018
「スタンドアロン型が好調な出荷と成長を続ける世界と比べ、日本のスタンドアロン型市場の立ち上がりは緩やかである。この背景にはVRヘッドセットの体験価値に対する支出可能性が厳しいという日本の消費者の現状がある。年末商戦を控え、消費者向けには有望なコンテンツによる訴求など多くの手段によってこの壁を超える努力がベンダーを含めた多くのプレーヤーに求められる」とIDC Japan PC, 携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストである菅原 啓氏はコメントしている。
本レポートは、IDC Japan様のプレスリリースの内容を元に作成しております。
ソース:https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ44535918