【ET×IoT Technology 2018レポート②】つながる時代のテクノロジーここに集結!!

2018年14〜11月16日の三日間、パシフィコ横浜で「ET &IoT Technology 2018」が開催。「ET×ET(エッジテクノロジー)によって実現するスマート社会」を副題にした同展覧会は、IoTの肝となるエッジコンピューティングに焦点を当て、「Society5.0」実現の片鱗をのぞかせる製品/技術が一堂に集結した。IoTとエッジによって変わる生活、社会、産業「組込みAI」「IoT無線技術」「スマートセンシング」「セーフティ&セキュリティ」「次世代モビリティ」「エッジコンピューティング」それぞれのキーワードで未来を築く製品たち。前半に続き、その一端をレポートする。

【エッジデバイス・セキュリティ】IoT時代にセキュアな環境はやってくるのか?

【サイバー攻撃統合分析プラットフォーム】SFアニメさながらの大迫力でサイバー攻撃を可視化−ディアイティ

サイバー攻撃のリスクは認知が進んでいるとはいえ、普段ネットワークを目にする機会は少なく、または見ても直感的に把握できなければ、やはりサイバー攻撃はいつまでたっても得体の知れないものとなる。

NICT(情報通信研究機構)が開発したネットワーク可視化システムに「NIRVANA改」があるが、これにディアイティが独自開発した分析機能を搭載し商用版としてリリースしたのが「WADJET(ウィジャット)」だ。

画像引用:http://www.dit.co.jp/products/dit/wadjet/

 

攻撃を受けたネットワークセグメントを「警」の文字で表示。リストビューとともに視覚で把握できる。「トラフィック可視化機能」「フロー描画機能」がトラフィックのパケット数やデータ量をリアルタイムアニメーションで知らせる。また、インシデント発生時には、分析エンジンのルール(管理UIから閾値変更、ユーザー独自ルールも作成依頼可能)に従い、ファイアウォールやスイッチなどのネットワーク機器を自動的に制御する。加えて、アメリカの軍需企業大手・ノースロップ・グラマン社および同国諜報機関との共同研究により開発の自己適応型機械学習エンジンで構築されたネットワーク侵入検知システム「BluVector」を搭載した「WADJET reinvent」は、ネットワークエッジにおいて、インバウンド/アウトバウンドのトラフィック検査から未知の脅威にも対応する。

また、ブースには「SITEVISOR」の展示もあった。IoT機器のネットワークトラフィックをリアルタイムに可視化する対サイバー攻撃アラートシステムで、ダークネットおよび内部ダークネットの活用により、マルウェアに感染したIoT機器をメール通知と視覚で知らせる。

【インダストリアルIoT】製造業のビジネスモデルを変革する製品たち

【OT×IT】半導体歪みセンサーから、トータルソリューションまで−ルネサスイーストン(2019年7月に社名変更し、グローセルへ)

半導体デバイスや電子部品の商社ルネサンスイーストンは、複数のOT×ITのソリューションを展示していた。

自社で研究開発を進めてきた高感度半導体ひずみセンサー「STREAL(ストリアル)」は、超小型・高精度・常時計測という特徴を持ち、従来のひずみゲージと比較し1/1000の低消費電力でありながら、25,000倍の高感度で1マイクロストレインの計策を実現する。車載機器や産業機器、インフラ構造物などの物体に力が加わることで生じるひずみなどの物理的変化を高精度で測定でき、対象物の状態管理・制御の効率化を実現。機器の動作の円滑化や故障の予兆診断などに活用できる。

また、「STREAL」やセイコーNPC製光エンコーダーおよびサーモパイル型温度センサー、ルネサスMCU搭載のIoT-Engine、長野日本無線製92MHz特定小電力無線やEASEL製LoRa搭載のLPWAボードといったOT領域のソリューション。Data Hubなどでの接続・収集・可視化、MT Systemなどでの分析解析といったIT領域のソリューションをワンストップで提供する「データセンシングソリューション」も展示。これからの製造業に欠かせないセンシング・無線・クラウドを包括的に提供していた。

【LPWA】独自開発LPWA−ソニー

ソニーとソニーセミコンダクタソリューションズが2017年4月に技術開発を発表した独自LPWA。

これまで商用に向けた技術検証と実証実験が行われ、今年に入りETSI(European Telecommunications Standards institute)が国際標準規格として公開。「ELTRES(エルトレス)」と命名された。ELTRESは空中線電力が20mWの特定小電力無線で見通し100km以上の通信距離、時速100km以上の高速移動中でも通信可能という特徴を持つ。

ブースでは、「ELTRESTM IoTネットワークサービス」として、東京都にエリアを限定した「ELETRES IoTネットワークサービス」「パートナープログラム」を展示。ネットワークサービスでは東京都にエリアを限定し、利用料/月1,000円、最長3ヶ月間、ELTRESの特徴を検証できる。パートナープログラムでは、デバイスや機器メーカーを「端末パートナー」、システム開発・構築・運用などを請け負う企業を「ソリューションパートナー」、アプリやソフトウェア基盤を開発する企業を「アプリケーションパートナー」、アプリ/システムを販売する企業を「チャネルパートナー」とし、ELTRESを活用するパートナー企業に最新技術などの情報提供ほか、パートナー間での共同事業促進などの支援を行う。

【LPWA】LPWA活用課題ソリューション−NEC

SigfoxやLoRAなど複数の規格が乱立するLPWA。自社の求める「データサイズ・送信回数・デバイス数・通信コスト」に適したLPWA選びはなかなか難しい。

そのなかで、NECの「LPWA対応IoT無線ユニット」はSigfoxやLoRa、Wi-SUNなどさまざまな無線モジュールを搭載可能。また、インターフェースはガスメーターのDTやSG端子、家庭用機器のJEM-Aに対応と汎用性が高い。

また、ブースでは、Sigfoxを中心としたLPWAの商用を加速させる同社の取り組み「IoTコネクティビティソリューション」の実証実験を紹介していた。「LPガス検針ソリューション」では、LPガスメーターに上記IoT無線ユニットを装着。Sigfoxネットワーク網を介し、NECのIoTプラットフォーム上に取得検針データが蓄積される。AIによるデータ分析により、ガスボンベの最適配送計画と最適ルート配送が行われ、検針員の省人化と検針情報取得の効率化を実現するという。

【PoC】組み合わせ自在のIoTのPoCキット−金沢エンジニアリングシステムズ

組み込みソフトウェアで知られる金沢エンジニアリングシステムズがユニークな製品を展示していた。IoTのPoCに活用できる「PRO BLOCK」だ。

小さなブロックに収められた通信、I/O、電源、CPU、センサーなどのモジュールを自在に組み合わせることができる。機能ブロックの追加は自在。かつ電池仕様で電源レス、防水対応であり屋外使用にも対応する。

【ビーコン】これからのビーコンは電池レスが基本か−金沢エンジニアリングシステムズ

昨今のIoT系の展覧会でたびたび目にするようになったが、電池レスのビーコンは今トレンドだ。今回では、東京エレクトロニクスがソーラービーコン「PB10-B」や振動発電ビーコン「EB10-B」を展示していた。

同ブースでは、PB10-B を組み込んだ、KOWA NET SERVICES「牛の採食や反すう行動を記録し傷病の兆候等を検知するソリューション」も展示。畜産や農業など、これまで非ITだった業界の基盤をIoTが担うためにも、ビーコンのメンテナンスフリーは意義があるといえる。

【ビジネスソリューション】非ITにも浸透する先端テクノロジー

ITリテラシーを持つ企業が増えてはいるが、日本の産業を見れば非IT企業はまだまだ多い。コネクテッドインダストリーズ然り、ITを軸にした産業革命が進むためには「誰しもが簡単」にIoTやAIを活用できメリットを享受できるサービスが欠かせない。ET×IoT Technology 2018ではそうしたサービスも複数見られた。

【IoT導入】月額500円でIoTをすぐに活用可能−Asteria

ノンプログラミング開発が可能なデータ連携ミドルウェア「ASTERIA Warp」で知られるアステリアがユニークなIoTソリューション「Gravio(グラヴィオ)」を展示していた。

Gravioは「センサーキット」「ソフトウェア」を提供するIoT統合ソフトウェアサービスであり、振動センサーや湿度センサー、スイッチ、人感センサーなど数々のセンサーのなかから4つのセンサーを無償貸出。加えて、ソフトウェアを月額500円〜の超低コストでIoT環境を実現できる。さらにグラフィカルな管理画面は、ノンプログラミングで操作でき、データ表示は既存システムやアプリ上表示が可能。また、Slackなどの外部サービスとも連携できる。IoT活用を模索しているユーザーが手軽に活用・検証できるサービスだといえる。

【予測分析AI】最大45日先の未来を高精度で予測−ROX

機械学習やAIによる自動化プラットフォームでは、未来の売り上げを予測し生産性向上につなげる「予測分析」に注目が集まっている。

人工知能を活用したメンタルヘルスやデータ分析のスタートアップ株式会社ROXの「Hawk」もそうした製品だ。

ユーザーが用意するのは、Excelデータのみ。数分で最大45日先までの来客状況の予測を行う。これにより、適した仕入れや人材配置計画の最適化を図ることができる。過去の事例検証では予測精度は86%に上るそうだ。

Hawkは、もともと、伊勢市にて和食堂や屋台などを展開する100年の歴史を持つ老舗「ゑびや」がIT化に踏み切り、パートナーとしてROXが参加。そこから生まれたプロダクトであり、同IT化で確たる成果を挙げ商用化に至ったという。

【自動翻訳AI】精度95%で専門的な文章を翻訳−ロゼッタ

Google翻訳などの浸透から、英→日の自動翻訳はもはや一般的だが、ビジネスでの業務利用はまだ心もとない。株式会社ロゼッタはAIを活用し、プロ翻訳家に匹敵する95%の精度を持つ自動翻訳サービス「T-400」を展示していた。

T-400は「機械・IT」「医療」「法務」「金融」などの専門分野の文献や規格書類、仕様書、マニュアル、契約書などセキュアなオンラインで自動翻訳する。txtはもとより、WardやExcel、PDFファイルをアップロードするだけと手軽で、一度にA4サイズ90枚までの書類を翻訳する。そのほか、分野の訳語頻度を表示する「究極の辞書」機能や、訳語の出典元を表示する機能もある。

 

【まとめ】生活からビジネスまで確かに浸透する先端テクノロジーの実感

ET×IoT Technology 2018では、カジュアルなタグをつけるだけで忘れ物をなくせる紛失防止タグ「MAMORIO/MAMORIO株式会社」、センサーがにおいを検知し遠隔監視・予防保全できる「においソリューション/株式会社コア」、手書き著名と著名者の動画をPDFに記録するビデオサインシステム「PSVA/ThinkCloud Japan」、IoTコーンでどこでも駐車場をつくれる「スマートパーキング/シード」など、まだまだ話題&ユニークな製品が展示されていた。まさに、進みつつあるSociety 5.0を実感できた展覧会だった。

来年には5Gがスタートを切り、2020年は東京オリンピックの開催もあり、自動運転元年になると予測される。果たして、このような動向がどうSociety 5.0を推し進めていくのか。ここから数年は激動の年になるだろう。情シスNavi.では、そんな興味の尽きない先端テクノロジーの今をこれからも紹介していく。

 

【執筆:編集Gp 坂本 嶺】

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