国内サーバー市場動向(2021年第2四半期)-IDC

IT専門調査会社 IDC Japanは、2021年第2四半期(4月~6月)の国内サーバー市場動向を発表している。
2021年第2四半期の国内サーバー市場全体の売上額は1,069億円と、前年同期から19.8%減少している。しかしながら、出荷台数で見ると11万2,700台と、前年同期比で4.0%増加している。

2021年第2四半期 国内サーバー市場 カンパ二―シェア

【売上額】

【出荷台数】


Source: IDC Worldwide Quarterly Server Tracker, 2021Q2. Share by Company

Product Category別*1では、x86 Server(x86搭載サーバー)の売上額は811億円で、前年同期比では9.2%の減少。出荷台数でも、9万9,700台と前年同期比で5.2%減少している。
一方、Non-x86 Server(x86以外のプロセッサーを搭載したサーバー)の売上額は257億円と、前年同期比で41.4%の減少。しかしながら、出荷台数は、1万3,000台と前年同期比で314.5%と増加となっている。

x86 Serverは、ITサービス、通信、ヘルスケア、流通向けの大口案件などがあったものの、売上額、出荷台数ともに、x86 Server市場の落ち込みを下支えするには至っていなかった。

x86 Serverのうち、x86 Standard Server*3は、売上額が前年同期比10.9%減の655億円、出荷台数が同3.8%減の8万200台となっている。
x86 Custom Server*3は、売上額が前年同期比1.1%減の156億円、出荷台数が同10.5%減の1万9,500台と台数ベースでの減少が大きい。
前四半期(2021年第1四半期)に続き、ODM Direct向けのサーバーにおいて、x86搭載サーバーからARM搭載サーバー*2へのシフトがあった。その結果、ODM DirectにおけるARM搭載サーバーの出荷台数比率が高まり、x86 Custom Serverの落ち込みにつながったといえる。尚、ARM搭載サーバーの売上額、出荷台数は、Non-x86 Serverに計上され、x86 Serverには計上されない。

Non-x86 Serverは、前年同期にあった官公庁向けスーパーコンピューター「富岳」*4の反動で、売上額は、2桁の大幅なマイナス成長となった。
しかしながら、出荷台数では、文教、金融、製造向けの大型案件に加え、ODM DirectのARMサーバー出荷増が貢献し3桁の大幅プラス成長となっている。尚、前年同期の売上額から「富岳」分を除いた成長率をみるとNon-x86 Serverの売上額は、2桁のプラス成長となっている。(それでもマイナス成長となるのは富岳が如何に大口需要なのかがうかがい知れる)

このような状況について、IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ リサーチマネージャーの下河邊 雅行氏は、以下のように述べている。

「x86 Severは、間接販売を中心とした中堅中小企業向けのサーバービジネスにおいて、依然としてCOVID-19流行によるネガティブな影響があるものの、大企業向けのサーバービジネスは回復しつつある」
「一方で、半導体供給不足によるサーバービジネスへのマイナスの影響がみられるようになってきた。回復基調にある大企業向けx86 Serverビジネスを、確実に獲得していくためにも、今後ITベンダーは、サーバー製品の需給管理に、より一層注力する必要がある」

カンパニー別売上額では、富士通が首位となっている。富士通に次いで、デル・テクノロジーズ(Dell Technologies)、NEC、日本ヒューレット・パッカード(HPE)、IBMの順であった。
出荷台数でも、富士通が首位をキープ。次いで、Dell Technologies、NEC、HPE、Super Microの順とTOP4まではカンパニー別売り上げの順と同じであるが、台数では5位にSuper Microがランクインしている。

 

【国内サーバー市場:TOP5カンパニー売上額シェア 2020Q2 vs 2021Q2】


Source: IDC Worldwide Quarterly Server Tracker, 2021Q2. Share by Company

 

*1:「Product Category」 とは、「Worldwide IDC Quarterly Server Tracker」の市場定義におけるデータ項目のひとつであり、サーバーに搭載されているCPU Type別に、サーバー製品を、「x86」」と、「Non-x86(x86以外の、CICS、RISC、EPIC、ARM)」の2つに分類。「Product Category」は、IDCにおける世界標準のサーバー製品分類方法となっており、2021年第2四半期より、IDCでは同分類方法に準拠することとしている。
これより、従来のプレスリリースで使用していた、日本固有のデータ項目である「Japan Product Category」による、「x86サーバー」「メインフレーム」「その他のサーバー」の3分類での出荷実績の発表に代わり、従来の分類方法では「メインフレーム」「その他のサーバー」に包含されていた、x86アーキテクチャーをベースにしたベンダー独自OSを搭載したサーバー製品は、今四半期からは、「x86」に包含されている。
尚、従来の「その他のサーバー」とは、「Japan Product Category」で定義する、「ARMサーバー」、「RISCサーバー」、「IA64サーバー」、「ビジネスサーバー」の総称として使用していた。
*2: ARMプロセッサーを搭載したサーバーは、「Non-x86」に分類される。
*3: Standard Server とは、ベンダーが公開するカタログに掲載されたサーバーを指す。Custom Serverとは、主にクラウドサービスベンダーが、ODM Directなどから調達するサーバーで、特定の顧客や用途向けに設計されたサーバーをいう。
*4: 「富岳」の売上額は、公知の情報に基づき、IDCの推定値である。IDCでは、「富岳」は、2020年第1四半期と同第2四半期に分納されたと推定し、2020年第2四半期の売上額は、前四半期(2020第1四半期)と同規模の売上額を計上しました。出荷台数は、過去にあった「京」の出荷と同様に、売上計上単位で1台と計上している。

尚、IDCのレポートにおいて、四捨五入により、合計値が合わない場合がある。

 


本レポートは、IDC Japan様のプレスリリースの内容を元に作成しております。
ソース:https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ48274221

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