国内MVNO市場調査(2021年3月)-MM総研

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(略称MMRI)は国内MVNO市場の2021年3月末時点での実績を発表している。

サマリー
■2021年3月末の独自サービス型SIMの回線契約数は前年同期比15.9%減の1261.6万回線
■携帯電話(3G、LTE、5G)契約数に占める独自サービス型SIMの比率は1.5ポイント減の6.7%
■22年3月末の独自サービス型SIMの回線契約数は1390万回線と予想
■料金の安さに加え、IoT対応を武器に再び成長路線を目指す

 

独自サービス型SIM 2021年3月末は初の前年比減に

調査の結果、独自サービス型SIMの回線契約数は1261.6万回線となり、前年同期比で15.9%減のマイナス成長になった(データ1)

【データ1】 独自サービス型SIMの市場規模


<出典:MM総研>

また、携帯電話(3G、LTE、5G)契約数に占める独自サービス型SIMの契約数比率は、2020年3月から1.5ポイント減の6.7%になった(データ2)

2021年3月末時点での独自サービス型SIM市場の事業者シェア1位はIIJmioなどを提供するインターネットイニシアティブ。IoT用途を含む法人向け回線が好調で、2020年9月末から10万回線以上の純増を記録した。2位はNTTコミュニケーションズ。3位の楽天モバイルは20年9月に比べ約60万回線減で、2020年4月にMNO市場に参入したことからMVNOは解約およびマイグレーションが進み大幅減になった。なお、前回1位のUQコミュニケーションズは、20年10月時点でKDDIに事業統合されており、本統計の対象外となっている(データ3)

MM総研では2022年3月末の独自サービス型SIMの回線契約数を1390万回線(前年比10.2%増)と予測する。スマホ向け用途では、MNOの料金値下げ、オンライン専用プランの提供開始、サブブランドの攻勢に加え、楽天モバイルのマイグレーションがより一層進むことから純減が続く見込み。一方でIoT向け用途は引き続き大幅な成長が見込まれる(データ4)。

 

携帯電話契約数に占める独自サービス型SIM比率は6.7%

2021年3月末時点の携帯電話(3G、LTE、5G)契約数は1億8965.4万回線。独自サービス型SIMの回線契約数は携帯電話市場全体から見ると構成比で6.7%と2020年3月末から1.5ポイント減少した(データ2)。これは、UQのMNO化と楽天のマイグレーション加速が影響したと考えられる。
尚、2021年3月末時点のサブブランド(Y!mobile + UQ mobile)契約数比率は4.8%となる。

【データ2】携帯電話(3G、LTE、5G)契約数に占める独自サービス型SIMの契約数比率

<出典:MM総研>

 

インターネットイニシアティブが2017年9月末以来の1位を獲得

2021年3月末時点で独自サービス型SIM市場の事業者シェア1位はIIJmio・BIC SIMなどを提供するインターネットイニシアティブ。
2位はOCNモバイルONEなどを提供するNTTコミュニケーションズ。3位は楽天モバイル。以下、4位はmineoを提供するオプテージ、BIGLOBE SIMなどを提供するビッグローブとなった。

シェア1位のインターネットイニシアティブ(IIJ)は、引き続き個人向けでは苦戦しているが、IoTを含む法人分野で順調に回線数を伸ばしている。

2位のNTTコミュニケーションズは、goo Simsellerを通じたスマホ端末のセット販売が堅調に推移しているほか、フルMVNO基盤を活用したIoT向け回線も好調。

3位の楽天モバイルは、2020年4月時点でMNO参入と同時にMVNO回線の新規受付を停止している。MNOでは2021年3月末時点で300万超の申し込みを獲得しているが、そのうち60万超が自社MVNOからのマイグレーション分と予想される。
今年度も各種キャンペーンにより、MVNOユーザーの他社流出を防ぎながら自社MNOへのマイグレーションをさらに加速していくことになるだろう。

4位のオプテージは、本年2月より他社に先駆けて新料金プラン「マイピタ」の提供を開始。MNOのオンライン専用プランよりも安い、月間容量20GBの音声プランで2178 円/月(税込)となる新料金を設定し、2月以降の新規契約数を伸ばすことに成功した。5位のビッグローブは、2月下旬より月間容量1~6GBの低容量プランについて、従来よりも20%前後安くなる新プランを投入。また、人気の動画・音楽サービスがゼロレーティング対象となる「エンタメフリー・オプション」の料金を大幅に割引き、いち早くMNO対抗プランを打ち出した(データ3)

【データ3】独自サービス型SIMの事業者シェア


<出典:MM総研>

 

価格優位性を武器に再び成長路線へ

2022年3月末時点の独自サービス型 SIM 市場は1390万回線になると予測する(データ4)
MNO の料金値下げ、オンライン専用プランの提供開始、サブブランドの攻勢に加え、楽天モバイルのマイグレーションが進むことから、今年度中は スマホ用途としての回線数は純減する見込み。
しかし、主要 MVNO が打ち出した新料金プランは非常に価格優位性が高い。楽天によるマイグレーションが一巡した2023年度以降は、再び成長路線に戻ることが期待される。
尚、引き続きIoT用途での市場拡大は見込まれており、2024年3月末時点の IoT 向け回線比率は半数超の53.2%に達すると予測する 。

【データ4】独自サービス型 SIM 市場予測


<出典:MM総研>


■MM総研について
株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社。
日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀にわたって経験と実績を重ねている。ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供する。


本レポートは、MM総研様のプレスリリースの内容を元に作成しております。
ソース:https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=496

 

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