「Win10は最後のWindows」ではなかったのか?~Windows 11発表~
- 2021/7/1
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Microsoftは「What’s next for Windows」と題したオンライン発表会を開催し、この場で「Windows 11」を発表した。 そしてなんと、このWindows 11はWindows 10の後継OSであるという。
思い出してみよう、Windows 10がリリースされた際には「最後のバージョンのWindows」と説明された記憶がないだろうか。何が理由で方針変更となったのであろうか。
Windows 10ではメジャーバージョンアップという考え方はせず、「WaaS(Windows as a Service)」という言葉も生み出したように、まさにサービスとしてのWindowsを謳い、新たなWindows OSの在り方となったはずであった。
今回は発表された情報を元に、何故ここにきて方針変更したのか、また情シスとして理解しておくべきポイントについて探っていくことにする。
<出典:Microsoft>
この記事の目次
何故、今「Windows 11」なのか?
このWindows 11は、Microsoftによれば「生産性、創造性、利便性の為に再設計した」ものであるという。
Windows 10が登場した2015年から6年あまり、特にこの18カ月の間に生活様式も働き方も大きく変わった。
結果として、PCの使い方も変わったことは間違いない。リアルをデジタルの世界で再現するツールになったと言えよう。
そんな変化に応じるべく、新たな名前を付けて登場した。
このWindows 11は、Windows 10の2021年後半に提供される予定の機能アップグレード(21H2)として提供される予定のもので、開発コードネーム「Sun Valley(サンバレー)」と呼ばれてきた。既にWindows Insider Program経由で開発者向けに提供されており、それがここにきてWindows 11という名称に変更されたことになる。
COVID-19による新しい生活様式が求められる今だからこそ、マーケティングの観点から新たなバージョンとなったのだろう。
では、Windows 11とは?
簡単に言ってしまうと、Windows 11はWindows 10からユーザーインターフェイス(UI)を刷新、さらにはWindows 8で廃止されたウィジェット機能が復活するなどその他にも新たな機能を追加して、新しいブランド名が与えられた。
発表されたデモンストレーション画面を見ると一見するとMac OSかとも思ってしまうシンプルなデザインになっているが、Windowsではブランド名が変わるようなメジャーアップデートの際には、UIの変化が大きすぎて最初はついていけないことが多いのだが、果たして今度のWindows 11はどうであろうか。
大画面に有効な”スナップ”機能
Windows 11では新たに、Snap Layouts、Snap Groups、Desktopsが導入されます。マルチタスクや作業履歴の把握がさらに容易になることでしょう。これらの新機能は、ウィンドウを整理して画面スペースの利用を最適化し、必要な情報だけを視覚的に美しいレイアウトで表示するものである。
<出典:Microsoft>
今は重なって隠れているWindowを整理して表示することができるということは、Windows 11になることでより大きな画面が欲しくなるかもしれない。
Androidアプリが動作
情シス視点で考えるとこの機能の善し悪しはわからないが、Windows 11からは正式にAndroidアプリが動作することになる。実はSamsungの一部のWindows 10搭載PCではAndroidアプリが動作したのであるが、これが標準機能になる。
この機能の実現にはAmazonの協力によるところが大きい。Microsoft StoreでAndroidアプリを検索し、Amazon Appstore経由でダウンロードできるようになるためだ。
人気のAndroidアプリをPC上で利用できるようになることで、これまでにない連携や使われ方が生み出されることであろう。しかしながら、抜け道ができてしまう可能性もあることには注意が必要だ。次世代SWGなどの導入とセットで利用することが必要かもしれない。
IT部門から見たWindows 11
先に述べたようにWindows 11の生い立ちは、Windows 10の機能アップグレードである。その意味では、一貫性と互換性を備えていると考えてよいであろう。(名乗らなければWindows 10だったのだから)
そして、Windows 11 へのアップグレードは、Windows 10 のアップデートと同様に行われるという。
Microsoft Endpoint Manager、クラウド構成、Windows Update for Business、Autopilotなど、使い慣れた管理機能は、Windows 11 に移行した後の環境でもサポートされる。
注意すべきHW要件はTPM2.0か?
下表がWindows 11をPCにインストールするための基本要件である。残念ながらHW要件を満たさないPCについてはWindows 11をインストールできない。
<出典:Microsoft>
既存のPCがこれらの要件を満たすかどうかわからない場合は、PCのOEMで確認するか、 PCがWindows 10を実行している場合は、PC 正常性チェック アプリで互換性を確認することができる。
ディスプレイに関して「対角サイズ9型以上で8bitカラーの高解像度(720p)ディスプレイ」という条件があるが、これは技術的な制約なのかは疑問がある。文字などの視認性から決められたものであれば、9型未満の製品でもWindows 11が動作する可能性はある。この辺りに関係するPCをお使いであれば、しばし様子見が必要であろう。
そして気になるのはTPMではないだろうか?Microsoftからの発表によればセキュリティを考慮していることが分かる。
Windows 11 は設計の段階からセキュリティを組み込んでおり、新しい組み込みのセキュリティ テクノロジを活用して生産性向上と新しいエクスペリエンスを実現しながら、チップからクラウドに至るまで保護機能を提供します。Windows 11 は、複数のデバイス横断的にデータとアクセスを保護するゼロトラスト対応のオペレーティング システムを提供します。
<Microsoft・Japan News Center発表内容より>
TPMというと別チップになったディスクリート型のTPMが実装されているイメージではないかと思うが、最近では、チップセットやCPU内のSoCに搭載されたTPM機能をマザーボード上のファームウェアと組み合わせて利用するファームウェアTPMも一般的になっている。よほど古いCPUやファームウェアが非対応のマザーボードを使っている場合を除いて、多くのケースでTPM 2.0の利用が可能であることは覚えておくとよいだろう。
しかしながら、マザーボードによってはPTT(Platform Trust Technology)やfTPM(ファームウェアTPM)に対応するファームウェアが搭載されていない場合やファームウェアの設定で有効化されていない場合もある。
BIOSセットアップ画面からIntel PPTやAMD fTPMを有効化することで利用可能になるものもあるので、怪しい場合は確認してみよう。
従来のメジャーバージョンアップに比べるとOSの素性が分かっているので、情シス的な怖さは少ないであろうが、それでも影響がゼロである保証はない。多少なりとも事前確認をしておく必要はあるだろう。
あとは、画面デザインがシンプルになることはWelcomeであるが、これまでのお作法が大きく変わらないことを願うばかりだ。
今回はさわり程度にしか紹介できなかったが、正式リリース後に改めて情シス視点から検証したい。
【執筆:編集Gp ハラダケンジ】