世界及び国内ウェアラブルデバイス市場(2019年第1四半期)-IDC
IDC Japanは、2019年第1四半期(1月~3月)のウェアラブルデバイスの世界および日本における出荷台数を発表。
IDCが発行するWorldwide Quarterly Wearable Device Tracker のデータに基づくと、2019年第1四半期の世界のウェアラブルデバイス出荷台数は、前年同期比55.2%増の4,958万台となった。このうち、腕時計型とリストバンド型は合計で3,132万台の出荷となり、全体の63.2%を占め、また、耳装着型デバイスは前年同期比135.1%増と全カテゴリー中トップの成長を示し、全体の34.6%を占めている。
「現在、ヘッドフォンジャックを排除する動きが進んでいることと、家庭の内外で音声アシスタント機器の使用増加が、耳装着型デバイスの成長要因となっている。今後は、スマートフォンを補完するだけでなく、必要に応じてスタンドアロンで機能するウェアラブルデバイスのエコシステムに消費者を取り込むため、大手プラットフォーム事業者とデバイスメーカーが耳装着型デバイスをそのきっかけとして用いることが見込まれるため、耳装着型デバイスはますます重要なカテゴリーになるだろう。」と米国IDC Mobile Device Trackerのシニアリサーチアナリスト、ジテシュ・ウブラニ氏は述べる。
また米国IDCのウェアラブルデバイスチームのリサーチマネージャー、レイモン・リャマス氏は「腕時計型とリストバンド型の出荷台数は前年同期比で31.6%増加し、引き続きウェアラブル市場を握っている。機能や性能は絶えず向上し進化してきたが、健康とフィットネスに焦点を当てているのは一貫している。このことが、健康とフィットネスに関する新たなインサイトをもたらしており、消費者や保険会社などのより広い層を惹きつけ続けている。」としています。
また、Worldwide Quarterly Wearable Device Trackerでは、国内のウェアラブルデバイス出荷台数についても公表している。
同Trackerの2019年第1四半期データによると、国内のウェアラブルデバイス出荷台数は合計で61.2万台となり、前年同期比132.6%増となりました。この要因になったのはAirPodsなどの耳装着型デバイスの伸長であり、同カテゴリーは前年同期比351.5%増と目覚ましい成長を遂げている。
「AirPodsの出荷が大きく貢献したアップルが今回も1位を堅守しており、国内ウェアラブル市場は強力な製品群を擁するアップルがスマートフォン同様の強いプレゼンスを築いている。その一方で、ソニーなど音声アシスタント機能対応のヘッドフォンを発売したベンダーも伸長していることから、今後は腕時計型とリストバンド型と並ぶ第三の軸にこの耳装着型デバイスが成長するとみられ、そのため、それぞれのデバイスが装着される位置と機能に基づいたユニークな役割の発展を、ユーザー体験の質的向上としてもたらしていくことが期待される」とIDC Japan PC, 携帯端末&クライアントソリューションのシニアマーケットアナリストである菅原 啓氏はコメントしている。
トップ5カンパニーの動向(世界市場)
アップルはApple Watch、AirPods、そして音声アシスタント機能対応のBeatsを要していることから、ウェアラブル市場をリードする地位を維持。特にApple Watchは同社が台数ベースでのシェアを獲得することに多大な貢献をしているが、Apple Watchの平均販売価格が前年同期の426ドルから今四半期は455ドルに上昇したことから、その重要性はさらに高まっている。AirPodsの最新モデルはワイヤレス充電に対応することで平均販売価格を上げてきたことから、アップルはワイヤレスヘッドフォンのラインナップもApple Watchと同様の戦略を採用しているものとみられる。
Xiaomiはおよそ500万台を出荷したMi Bandの人気の高さから第2位にランクイン。同社は中国市場に引き続き注力しているが、ヨーロッパと中東への最近の投資は、これらの地域でシェアを獲得することに成功したため、成果を上げている。
Huaweiは前年同期比282.2%増という躍進を達成。この成功は同社が発売したスマートフォンにウェアラブルデバイスがバンドルされていることが多い為、これに起因しています。しかし、最近のスマートフォンの不確実性を取り巻く不透明感を背景に、ウェアラブル側の見通しも依然として流動的といえる。
サムスンはアップル同様、Gear/Galaxyブランドのスマートウォッチやリストバンド、Galaxy buds、音声アシスタント機能対応のJBL製ヘッドフォンなど、複数の製品ラインを提供。同社のスマートフォンGalaxy S10シリーズの発売において、同社がウェアラブルデバイスをバンドルしたことが今回の順位につながったとみる。
その他では、JBLのヘッドフォンも低価格ながら多彩なオプションを提供しており、好調ぶりをうかがわせる。
Fitbitは5位に入り、プラス成長を維持。最近発売されたVersa LiteとInspireシリーズは、既存ユーザーの乗り換え層だけでなく新規ユーザーにもアピールしたものの、これは平均販売価格の低下を犠牲にしている。しかしながら、同社は依然としてヘルスケア/エンタープライズ分野に重点を置いており、競合他社の多くを凌駕しつつ、市場で前進し続けている。
※「カンパニー」とは、IDCの調査レポート期間において、期間内に発生した買収・統合の結果を反映する財務・法務的な企業ないし企業グループを指す。IDCではあたかもこの企業グループが過去全ての調査期間に渡って存在していたかのごとく取り扱うことがあります。こうすることで、買収・統合前後の成長率などのトレンド分析が簡単、明瞭になります。なお、カンパニーにはOwnershipが含まれますが、持ち株会社のように実質的に事業を行っていない会社は、除外します。
本レポートは、IDC Japan様のプレスリリースの内容を元に作成しております。
ソース:https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ45163519