国内企業ネットワーク機器利用動向調査(2021年)-IDC
IT専門調査会社 IDC Japanは、国内企業ユーザーのネットワークに関する「2021年 企業ネットワーク機器利用動向調査」の調査結果を発表している。
この調査は、国内企業517社を対象に、インターネットブレークアウトの導入検討状況やネットワーク運用管理における課題など企業ネットワークの現在と未来について調査したものである。
今回の調査では、在宅勤務への対応など急激な変化への対応に追われた2020年と比べると企業のネットワーク管理部門も落ち着きを取り戻しつつある一方で、引き続き在宅勤務とセキュリティおよびクラウドシフトに強い課題意識があることが分かっている。
今後対応すべき課題として、在宅勤務時のネットワーク品質向上やセキュリティ脅威への対応に加えて、在宅勤務におけるセキュリティやクラウドシフトへのネットワークの対応が上位に挙がっている(図参照)。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大以降、ネットワーク管理の省人化意識が高まっていることや、在宅勤務により不要となるスペースをクリエイティビティや効率を高めるスペースに変更するなども行われており、オフィスのフリーアドレス/無線LAN化を促進していることも判明している。
企業ネットワークにおける今後対応すべき重要な課題
Q. 企業ネットワークにおいて、今後対応すべき重要な課題は何ですか?
n = 517
Note: 最大3つまで回答
Source: IDC Japan, 11/2021
更に、企業の拠点やリモートアクセス端末から直接インターネットに接続するインターネットブレークアウトに対する期待が高いことも明らかになっている。COVID-19の感染拡大となり、出社7割減が叫ばれ、自宅からのテレワークにおいて(勤怠管理システムの)出勤のボタンを押すただそれだけの為に、VPNを使って社内ネットワークに入る必要があり、それがトラフィックとなってネットワークがダウンしたなども聞かれました。
このような問題を解決するインターネットブレークアウトを導入または検討している回答者は約7割に達し、一般的に拠点数が多くトラフィックも多い大企業の導入意向が高いことが分かっています。
さまざまなインターネットブレークアウトの導入形態の中では、セキュリティアプライアンスを新たに導入する形態が最も優勢で、新たな装置を導入してインターネットブレークアウトを実現しようと多くの企業が考えていることが今回の調査からわかっている。
また、IDCでは市場に浸透しつつあるクラウド管理型ネットワークソリューションについても調査をしている。
2021年の調査では、クラウドからネットワーク機器を管理するクラウド管理型ネットワークを5割強の回答者が導入してみたいと考えていることが明らかになっている。
クラウド管理型ネットワークがもたらす利便性の中では、遠隔地のネットワーク機器の管理に最も多くの企業がメリットを感じており、クラウド管理型ネットワークの訴求ポイントは固まりつつあると言える。
AIや機械学習をネットワーク運用管理に取り入れる動きが進んでいるが、今回の調査でも約9割の回答者が有効であると認識していることが分かった。
これについて、IDC Japan コミュニケーションズ グループマネージャーの草野 賢一氏は次のように述べている。
「AIや機械学習の活用によって、障害発生時の自律的回復や予兆検知、トラブルシューティングのサポートといった障害発生を起こさない、または迅速かつ低負荷で回復できることが期待されている。ネットワーク運用管理の省人化に寄与する有効な技術の一つとして、より多くの企業がその利便性を享受できるように、企業向けネットワーク機器ベンダーは幅広いAI/機械学習を活用したソリューション開発に注力すべきである」
より詳細なレポートははIDCが発行した2021 年 国内ネットワーク機器市場 企業ユーザー調査 にその詳細が報告されている。
この調査レポートは、企業ネットワークにおける無線LANやネットワーク仮想化/自動化といったテクノロジーの利用動向や、ネットワーク運用管理における課題、インターネットトラフィックの増加やインターネットブレークアウトの導入検討状況などについて分析している。
本レポートは、IDC Japan様のプレスリリースの内容を元に作成しております。