【DX白書2021】日米企業におけるDX動向を解説-IPA

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、日米企業におけるDX動向を比較調査し、戦略・人材・技術の面からDX推進の現状や課題などを包括的に解説する「DX白書2021」を発刊した。
今回はその内容から特徴的なものを紹介する。

日米比較調査により、DX推進のための戦略、人材、技術の現状が明らかに

IPAは2009年から「IT人材白書」、2017年から「AI白書」を発行し、IT人材や新技術の動向についての情報発信をしてきた。
昨今、デジタルトランスフォーメーションの進展に伴い、ITとビジネスの関係がさらに密接となってきたことを背景に、IPAは人材、技術、そして戦略の要素を統合し、新たに「DX白書」として発刊した。
この白書は日米企業におけるDXの現状、推進への課題と対策などを包括的に解説することで、日本企業のDX推進を支援することを目的としている。

「DX白書2021」の最大の特徴は、日米企業のDX動向について比較調査を行ったことといえよう。
DXに関する戦略・人材・技術について、アンケート調査を行い、日本企業の現状や課題を考察している。
この調査から明らかになった主なポイントを以下に紹介する。

■戦略面

戦略面では、DXへの取組状況を尋ねた結果、日本企業は「全社戦略に基づき、全社的にDXに取組んでいる」「全社戦略に基づき、一部の部門においてDXに取組んでいる」の割合が合わせて45.3%であるのに対し、米国企業は71.6%であった(図1)。
また、経営者・IT 部門・業務部門が協調できているか尋ねた結果、日本企業は「十分にできている」「まあまあできている」が合わせて39.9%に対し、米国企業は8割以上と、2倍の差がついている(図2)。
DXの推進にあたっては、経営者・IT 部門・業務部門などの関係者が対話を通じて共通理解を形成し、ビジネス変革に向けたコンセプトを共有した上で、推進施策に取組むことが重要であることが見てとれる。


図1. DXへの取組状況 <出典:IPA>


図2. 経営者・IT部門・業務部門の協調 <出典:IPA>

■人材面

人材面では、事業戦略上の変革を担う人材の「量」について、日本企業では、「大幅に不足している」と「やや不足している」が合わせて76%に対し、米国企業は43.1%と不足感に開きが見られた(図3)。
また、社員のITリテラシー向上に関する施策状況について、日本企業は「社内研修・教育プランを実施している」が22%に対し、米国では54.5%と大きな差があった(図4)。
この結果から、企業は、まず社員のITリテラシーの現状を把握することで、適切な研修プログラムや施策を実施することが重要であることが分かる。


図3. 事業戦略上、変革を担う人材の「量」の確保 <出典:IPA>


図4. ITリテラシー向上施策 <出典:IPA>

■技術面

技術面では、日米におけるAI技術の活用状況について比較した。日本企業では「導入している」が20.5%であり、米国企業(44.2%)との差は大きいものの(図5)、AI白書2020の調査(4.2%)と比較すると5倍に増加している状況も明らかになった。
また、DX推進に有効な開発手法の活用状況については、「デザイン思考」「アジャイル開発」「DevOps」を導入している日本企業はそれぞれ14.7%(米国は53.2%)、19.3%(米国は55%)、10.9%(米国は52.6%)と、米国の利用が上回っている(図6)。
顧客に新しい価値提供をするためには、適切な開発手法の活用が極めて重要となる。IT部門と業務部門が連携することによって「デザイン思考」などの利活用促進が望まれまれるところだ。


図5. AI技術の活用状況 <出典:IPA>


図6.開発手法の活用状況 <出典:IPA>

 

尚、今回の「DX白書2021」では、アンケート調査のほか、ユーザー企業へのインタビュー調査による事例紹介や、有識者によるコラムなども掲載しています。
また、戦略面ではデジタル戦略の全体像と立案のポイントや成果評価やガバナンスのあり方について解説し、人材面ではデジタル時代のスキル変革について深掘りしている。
技術面においては、ITシステム開発手法や開発技術、データ利活用技術として、デザイン思考、アジャイル開発、クラウド、コンテナ、マイクロサービス/API、AI、IoT技術などの概要も含め包括的に説明。さらに、要点を20ページにまとめた「エグゼクティブサマリー」を同時公開し、経営層の手に取りやすくなるような工夫がされている。

IPAでは、この「DX白書2021」が経営者・IT部門・業務部門のあらゆるビジネスパーソンが参照し、協調して組織的にDXに取り組んでいくことで、日本企業のDX推進が加速することを期待している。
尚、この白書は、IPAウェブサイト(DX白書2021)でダウンロードが可能となっており、情シスの方だけでなく、DXにかかわる方はぜひ見ていただきたい。

 

 

※上記の画像からリンク先へ移動します


<調査概要>

表1. アンケート調査実施概要


本内容は、IPA様のプレス発表の情報を元に作成しております。
ソース:https://www.ipa.go.jp/about/press/20211011.html

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