ウェアラブルデバイスの世界/国内出荷台数予測(2022年まで)-IDC
- 2018/7/19
- ニュース, リサーチ・分析
- IDC, ウェアラブルデバイス出荷台数予測, 調査レポート
- ウェアラブルデバイスの世界/国内出荷台数予測(2022年まで)-IDC はコメントを受け付けていません
2018/07/19
18日、IDC Japanは、ウェアラブルデバイスの2022年までの世界/国内出荷台数予測を発表。
· 2022年の世界ウェアラブルデバイス出荷台数は1億9,976万台
· 世界ウェアラブル市場はスマートウォッチ中心の市場へと推移
· 国内市場は法人需要が相対的に強く、2022年は全体で合計124.8万台と予測
IDCが発行するWorldwide Quarterly Wearable Device Trackerの最新の予測によると、2018年は全世界で前年比8.2%増の1億2,489万台の出荷が見込まれている。この成長率は2017年が10.3%であったのに比べ低下しているが、2019年から2022年にかけてはスマートウォッチや他のウェアラブルデバイスの人気が高まると見込まれるため、10%以上の成長をIDCは予測しており、2022年は1億9,976万台の出荷と予測している。
「スマートウォッチに関する消費者の嗜好の変化はここ数四半期で本格化しており、今後数年間はそれが続くことが予想される」と米国IDC Mobile Device Tracker シニアリサーチアナリスト ジテシュ・ウブラニは述べています。そして「アップルがこの分野でリードを広げる一方、Wear OS(以前のAndroid Wear)は最近になってもたつきを見せている。またAndroid WearがWear OSに名称が変わったことに伴う変化や実際の製品の登場が期待されているが、我々はAndroidベースのスマートウォッチがWear OSに肉薄する競合になると予測している。それはグーグルのサービスが展開されていない中国では、AndroidベースのOSはカスタマイズできる要素が非常に多いためだ」と述べています。
「それに加え、FitbitのFitbit OS、GarminのConnected IQ、SamsungのTizenなど、他のスマートウォッチプラットフォームに注目するべきだろう」と米国IDC ウェアラブルデバイスチーム リサーチマネージャーのレイモン・リャマスは述べています。これに続けて、「FitbitのVersaは市場で好意的に受け容れられ、Garminの製品は数四半期にわたって徐々にその存在感を増しつつある。両社ともに新しい分野を探求しつつ、ヘルスケアやフィットネス分野へのより深い浸透を目指している。他方Samsungはヘルスケアやウェアラブルデバイスの業務利用など、ビジネス分野での進歩を続けている」と述べています。
スマートウォッチは、今日よりもはるかに多くの機能を搭載することになるでしょう。「2022年のスマートウォッチは、今日のスマートウォッチを一昔前の時代遅れなものに見せてしまうだろう」とレイモン・リャマスは付け加えています。また、「ヘルスケアとフィットネス分野は出発点としては強力なものだが、独立した音声/データ通信機能が搭載されることで、ウェアラブルデバイスにIoT(Internet of Things)デバイスおよびそのシステムとの統合がもたらされる。例えばスマートウォッチ市場が今後数年間で着実な成長をしていくことについて、このデバイスが引き起こす生産性の向上と共に注目していく必要がある」と述べています。
手首装着型の典型的なウェアラブルデバイス以外にも、耳掛け型デバイスが成長へ向かいつつあるとIDCでは予測しています。これはスマートアシスタントに対する関心が高まることで、多くのブランドが投資を始めていることによるものです。例えば、クアルコムのこの分野向けに設計された次世代半導体は、これらのブランドに製品開発のためのソリューションプラットフォームを提供することでこの分野の成長を促進すると期待されます。また、センサーを備えた衣類型デバイスも、2022年にはそのシェアが倍増すると予測されます。
また、Worldwide Quarterly Wearable Device Trackerでは、日本国内のウェアラブルデバイスの出荷予測も提供しています。同Trackerによると、国内市場の2018年の年間出荷台数は合計85.6万台、2022年は124.8万台と予測されます。タイプ別で見ると、腕時計型が2022年は合計81.6万台と市場の大半を占める他、リストバンド型も37.7万台と安定的なプレゼンスを維持するとみられ、全体としては9.9%の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)が見込まれます。
「コンシューマー市場が成長を牽引する海外と異なり、日本では法人需要がウェアラブル市場の有力なドライバーとなっている。無論法人需要が底堅いことは歓迎すべき事ではあるが、市場の多様性の拡大やイノベーションの創出という観点からは、コンシューマー市場の活性化が強く望まれる」とIDC Japan PC, 携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストである菅原 啓はコメントしています。
商品タイプ別の動向(世界)
腕時計型:
スマートウォッチは今後シェアが増加し、2022年末までに出荷されるすべてのウェアラブル製品の44.6%を占めることになると見込まれます。最新モデルでは通話/データ通信機能を組み込んだアップルの製品はスマートウォッチカテゴリに分類されますが、この機能は消費者に歓迎されました。他のベンダー(既にそれを組み込む決定をしたベンダーを除く)がこの機能を組み込み始めており、近いうちに開発者と一緒に消費者がこの技術を活用して新たなユースケースが多く開拓されることになるでしょう。ベーシックタイプはこれまでは主にスポーツウォッチ、キッズ向け製品、ハイブリッドウォッチで構成されていましたが、2018年〜2022年のCAGRは7.4%になると予測されています。ベーシックタイプは長いバッテリーライフや分かりやすいインターフェースおよびファッショナブルなデザインという長所があるものの、このカテゴリーはスマートウォッチの影に留まり続け、シェアは2018年の23.7%から2022年の19.7%に低下すると推定されます。スポーツウォッチとキッズ向けの製品を出している多くのメーカーは、収益の拡大を狙い、ユーザーをスマートウォッチに移行させることに集中しています。
リストバンド型:
このデバイスの市場はシンプルさを支持する層が離れつつあることや、FitbitやGarminのように現在リストバンド型を発売しているベンダーもスマートウォッチに軸足を移しつつあるため、2018年の出荷台数は前年比6.6%減になるとIDCは予測しています。2018年以降、このカテゴリーはCAGR 1%以下の横ばい状態で推移すると予測されます。また、平均販売価格は2022年には50ドルを切ると予想されます。
<参考資料>
1. 世界ウェアラブルデバイス タイプ別出荷台数予測および年間平均成長率(CAGR)(タイプ別、単位: 百万台)
※データは予測値に基づく
Source: IDC Japan, 7/2018
2. 国内ウェアラブルデバイス タイプ別出荷台数予測および年間平均成長率(CAGR)、(タイプ別、単位: 万台)
※データは予測値に基づく
Source: IDC Japan, 7/2018
本レポートは、IDC Japan様のプレスリリースの内容を元に作成しております。
ソース:https://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20180718Apr.html