常に新しい用語が生まれてくる情報システム部門は、全ての用語を正しく理解するのも一苦労。ましてや他人に伝えるとなるとさらに難しくなります。本用語辞典では数々のIT用語を三段階で説明します。
一段目 ITの知識がある人向けの説明
二段目 ITが苦手な経営者に理解してもらえる説明
三段目 小学生にもわかる説明
取り上げる用語を“知らない”と思った人は、小学生にもわかる説明から読んでみると、理解が深まるかもしれません!?
一段目 ITの知識がある人向け 「仮想化」の意味
「仮想化」というとサーバー仮想化と一般的だが、現在では、IT機器やシステムなどでも利用することが増えてきている。
例えば、インターネットを使って高いセキュリティ通信を実現するVPN(仮想私設網)は専用回線の仮想化。ネットワークでは、ソフトウェアでネットワーク構造・構成を定義するSDN(ソフトウェア・デファインド・ネットワーキング)というのが仮想化にあたる。複数のディスクをあわせて1台のディスクに見せるストレージプールやSAN(サーバー・エリア・ネットワーク)などはストレージを仮想化になる。
仮想化の考え方は1960年代からあり、当時は高価な機器を代替する目的で使われていた。
例えば、異なるアーキテクチャのコンピューター用ソフトを動かす(仮想マシン)ことや、メモリの代わりにディスクを使う(仮想記憶)などがある。しかし、現在では、複数の仮想サーバーを1台のハードウェアで動かしたり、SDNのように柔軟性の高いネットワーク構築したりするなど、ハードウェアの高性能化でできたリソースの空き部分を有効活用し、運用の効率化や信頼性を高めるなどの目的に使われることに変化してきている。
二段目 ITが苦手な経営者向け
仮想化の基本的な考え方は「抽象化」です。つまり、実態のあるサーバーやネットワーク、ディスク装置などの物理的な機器を仮想化という技術を使って「抽象化」することで、機器の利用効率や利便性や信頼性を高めます。
例えば、サーバーの仮想化は、ソフトウェアで作られた「仮想マシン」上でOS(基本ソフト)を動かすことで、1台のハードウェア(物理サーバー)で仮想化された複数のサーバーを動かすことをいいます。
この物理サーバーが万が一、故障した場合でも「仮想マシン」でバックアップをしておき、別の物理サーバーに移行すれば、すぐに復旧が可能です。ストレージ(ディスク装置)も仮想化しておけば、物理サーバーと同時に故障することはなくなり、より素早く障害対策が行えるようになります。新しいシステムを構築する時にも、ハードウェアの購入が不要なるため、限られた期間しか使わないシステムなどは安価で簡単に構築できるメリットもあります。
最近では一般的になってきた「クラウドサービス」も仮想化の1つといえます。グーグルのメールサービス「Gメール」は、サーバー機器上で動作しているメールサーバーソフトを仮想化することで、保守が大変だったサーバー管理者の業務を大幅に軽減し、同時にBCP(事業継続計画)、DR(災害復旧)対策も実現しています。
現代の仮想化は、特にハードウェアを「抽象化」することで、構築や運用のコストを下げ、耐障害性も高められるようになっています。こうしたメリットから、仮想化はさまざまな分野で導入が進んでいます。
三段目 小学生向け
仮想化(かそうか)の「仮想」とはどういう意味でしょうか、みなさんはわかりますか? 辞書で引いてみると「仮にあるとして考える事。仮に想定するもの」とあります。
「仮想化」というのはコンピューターの世界では、実物の「コンピューター」などの機器を、中に別のコンピューターが存在しているように見せる技術のことをいいます。そして、この仮想化はとても便利な技術なのです。
たぶん、みなさんが好きであろうゲームで例えてみましょう。
最近のゲーム機は、皆さんが生まれるより前にはやった古いゲームを楽しめる機器があります。実はこうしたゲームは、昔発売された時のソフトがそのまま使われています。それが楽しめるのは、実は「仮想化」のおかげなのです。
最近のゲーム機はとても性能がよいので、「ソフト」を使って、古いゲームが使える「仮想ゲーム機」を作って動かすことができます。つまりゲーム機の中で別の「ゲーム機」が動いているのです。だから、今でも古いゲームソフトをそのままプレーできるのですよ。このように「仮想化」は実際には形としてはないものも、あるかのように使える技術なのです。
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