松田軽太の「一人情シスのすゝめ」#9:kintoneがExcelライクに使える「krew」がスゴイ理由
松田軽太の「ひとり情シスのすゝめ」、タイトルだけ見るとひとり情シスを推奨しているように思われるかも知れませんが、思いはまったくの”逆”。様々な事情によりやむなく”ひとり情シス/ゼロ情シス”という状況になってしまっても頑張っていらっしゃる皆様のお役に立つような記事をお届けしたいと思っております。
以前に「開発未経験の情シスはローコード開発をやってみる」というお話をしましたが、今回は社内システムを手早く作成できるkintoneをExcelみたいに使えるという、まるで魔法のようなプラグイン「krew」をご紹介します。
この記事の目次
そもそも kintone(キントーン)とは何か?
釈迦に説法かもしれませんが、kintone(キントーン)はサイボウズ社が提供する”簡単にWEBアプリが作れる”業務アプリ構築クラウドサービスです。売上・契約者数ともに順調に成長しており、2019年12月期の売上高は前期比40.2%増、導入社数は14,000社を突破。1ヶ月平均400社ペースで増加中です。
2019年7月には自治体専用閉域ネットワークLGWANに対応し、官公庁でも「kintone」活用が可能になっています。また、教育現場での校務支援や、児童虐待防止のための地域連携でも「kintone」が活用されるなど、様々な業種・規模で利用が拡大しています。
非IT部門での導入比率が81%というのもkintoneの特徴かもしれません。
そんなkintoneに興味を持ち、「Excelの俗人化対策」としてデータ共有ができるのではないかと思ったことがきっかけです。しかしながら、当時は「確かに簡単にアプリが作れるけど、本当にこれでExcelの代わりになるのだろうか?」と疑問に思い、その後、そのままになっていました。
それから時が経ち、あることをきっかけに改めてkintoneに興味を持ちました、それが「krew」です。
kintone(キントーン)は基盤である
Kintone(キントーン)には多くの企業がオプションとなるサービスを提供しています。
例えばKintone(キントーン)はWEBサービスという特性上、定型印刷は苦手です。
このような場合は、サイボウズ社以外で印刷用のサービスを提供しており、そちらから解決します。
実は、kintone(キントーン)を最初に”面倒くさい”と感じてしまった理由は、このように他のサービスとの組合せになる部分です。ムック本でも出来そうなほどその種類も多くあり、「どれを選んで良いのか分からん」と感じたのです。
そう、この当時は「kintone(キントーン)は基盤である」ということに気がついてなかったのです。
kintone(キントーン)+ krew という組合せ
再度、kintone(キントーン)に興味を持ったのは、(グレープシティという美味しそうな名前の会社が提供する) krew というプラグインを使うと「kintoneがエクセルっぽくなって、非常に使い易い」と聞いたのがキッカケです。
脱Excelの記事を書きつつ、「エクセルっぽいのが良い」というのは、自己矛盾にも思いますが、慣れ親しんだ使いやすさというものはあるということです。w
話を戻しますが、「krew」とは、kintoneの特長はそのままに、脱Excelを可能にする3つの高機能プラグインです。kintoneの一覧をExcelのような使い心地にするkrewSheet、アプリ間の集計が自由自在なkrewData、多彩なチャートとピボットテーブルでデータを可視化するkrewDashboardの3つの製品で構成されています。
当然ながら、krewはプラグインですので、利用するにはkintone スタンダードコースを利用している必要があります。
では、それぞれについて簡単に見ていくことにしましょう。
1.krewSheet
この画面を見て驚きました。このプラグインを使うと驚いたことにkintone(キントーン)がExcelみたいに使えるようになるのです! 見慣れたkintoneとはまるで別物のようですよ!
これだけExcelっぽい画面であれば、誰でもスムーズに使えるのではないかと思います。
※krew資料より引用
2.krewData
実はkrewを見て、一番驚いたのがkrewDataでした。これを使うと複数のkintoneアプリのデータを集計できるというのです。
※krew資料より引用
Kintoneでいうところのアプリとはデータベースのことなので、例えば売上データと予算データをくっつけて売上予算データを更新するなんてことが出来るようになるんです。これには驚きました。
更新処理の設定はコマンドのアイコンをつなげるだけでなのでノンコーディングで簡単に出来るのです。
まるでkintoneの中にASTERIA Warpがあるようなイメージです。
以前kintoneを敬遠した理由のひとつが「こういう簡単に作れるWEBデータベースってバッチ処理ができないんだよなぁ」ということだったので、これが出来ればかなり便利になります。
しかも、スケジュール機能もついているので夜間バッチ更新ができるのです。
3.krewDashboard
この機能はkintone(キントーン)のデータをピボットテーブルのようなクロス集計や様々な見やすいグラフで分析するための機能です。いわゆる「見せる化」が出来るようになります。
※krew資料より引用
見せる化するためのグラフの種類は10種類もあります。
- 棒グラフ
- 折れ線グラフ
- 横棒グラフ
- 複合グラフ
- 面グラフ
- 円グラフ/ドーナツ
- 散布図/バブル
- じょうご(ファンネル)
- ゲージ
- レーダーチャート
ということでkrewではExcelっぽい画面で入力した様々なデータを集計して、見やすくグラフ化できるのです。
ここまでkintoneを活用できるのは素晴らしいです。
しかしながら、「Excelは永遠に不滅です」w
多くの会社で「属人化Excelの撲滅」にチャレンジしていることでしょう。しかし、なかなかこれを成し遂げることは難しいと聞きます。
Excel・・・、というかスプレッドシートにとって変わるような便利なソフトがないからなのです。
なぜ、Excelが悪者扱いされるのか?
個人でExcelを使っていると感じないかもしれませんが、会社全体から見ると、個人が作ったExcelファイルはブラックBOXなのです。特に関数やマクロで複雑に組まれたExcelが、その部門でなくてはならない機能であったとしても、作った本人にしか使い方が分からないということってありますよね?
そして数年後、人事異動や退職で作った本人が居なくなると、引き継いだ人がどう使って良いか分からず、結果としてそのExcelが壊れてしまい情報システム部に助けを求めてくる、ということがよくあります。
しかし、助けて上げたいのは山々ですが、始めて見るようなExcelファイルを治すのは、なかなか大変な作業です。
これをシステム部門界隈では「EUCの悪夢」と呼んでいます。ちなみにEUCとはエンド・ユーザー・コンピューティングの略です。
Excelにこそ、企業独自の価値が埋まっている?
問題児扱いされることも多いExcelですが、そうはいってもその利便性の高さからExcelはノート代わりに使われています。
ノートにするならWordでも、メモパッドでも構わない気がするのですが、わざわざExelを使うエンジニアさんも見かけます。日本人はよほどセルが好きなのでしょうか?
しかしながら、これまで様々な場面で使われてきたExcelには沢山の知恵が蓄積されていると言えます。
で、あればExcelのように便利に使えて、Excelよりも簡単な共有できるサービスがあれば便利ですよね?
それが kintone + krew です。
krewを使えば、Excelの利便性とkintoneの手軽さで、大切な情報資産を共有して、みんなで活用することが出来るのです。
いや~、これは本気で便利なサービスだと思います!
※本記事は松田軽太様許諾の元、「松田軽太のブロぐる」の記事をベースに再編集しております。
※kintone及びkrewのサービス内容は執筆当時と異なる場合がありますので、ご確認ください。
松田軽太(まつだ・けいた)
とある企業に勤務する現役情シス。会社の中では「何をしているのかナゾな職場」でもある情シス業務についてのTipsや基礎知識などを紹介する。
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