常に新しい用語が生まれてくる情報システム部門は、全ての用語を正しく理解するのも一苦労。ましてや他人に伝えるとなるとさらに難しくなります。本用語辞典では数々のIT用語を三段階で説明します。
一段目 ITの知識がある人向けの説明
二段目 ITが苦手な経営者に理解してもらえる説明
三段目 小学生にもわかる説明
取り上げる用語を“知らない”と思った人は、小学生にもわかる説明から読んでみると、理解が深まるかもしれません!?
一段目 ITの知識がある人向け 「シンクライアント」の意味
エンドユーザーが使ういわゆる端末の1つで、HDDのような外部記憶装置を持たず、ディスプレーとキーボード、CPUとメモリを組み合わせただけの端末を指す。「シン(Thin)」とは「細い」または「痩せている」という意味。これに対し、一般的なPCは「ファット(FAT)クライアント」(太ったクライアント)と呼ばれる。
シンクライアントは単体では動作させることができず、ネットワークで接続したサーバーから起動時にOS(基本ソフト)やアプリケーションをダウンロードしてシンクライアント内で動かす形態(ネットワークブート型)か、VDI(仮想デスクトップインフラ)のようにサーバー上でOS、アプリケーションを動作させてその結果の画面出力と入力だけを行う形態(画面転送型)のものがあるが、いずれもデータは端末内ではなくサーバーに保存される。
ネットワークブート型は、端末側でOSやアプリケーションが動作するので、操作時の速度は比較的速いが、起動時のダウンロードにサーバーやネットワークに負担がかかるので、朝の一斉起動時などは時間がかかるといった難点がある。
一方、画面転送型はサーバー側でOSもアプリケーションも動作しているので、起動に時間がかかるようなことはない。ただし、常に画面転送が行われているので安定したネットワーク環境がないと、使い勝手が悪くなる。画面転送型のシンクライアントはコンピューターの機能を持たないことから、「ゼロクライアント」と呼ばれることもある。
二段目 ITが苦手な経営者向け
PCよりシンプルな機器を端末として使うシンクライアントは、特にユーザーが多い企業に導入メリットがあります。
具体的には、1台1台の費用がパソコンより安価であることや、OSやアプリケーション、データをサーバー側で一括して管理しているため運用・保守などの管理がしやすいことなどが挙げられます。
また、シンクライアントでは端末にデータが保存されていないため、端末の故障時に安価で交換できるだけではなく、データを移行する手間も時間も不要となるため、大幅な保守コストの低減につながります。セキュリティの面でもサーバー側で一括して管理ができるため、OSやアプリケーションの更新、ウィルス対策ソフトの最新版の適用なども比較的コントロールしやすくなっています。
サーバーをデータセンターに置くことで、BCP(事業継続計画)対策にもなります。シンクライアントがネットワークにつながれば、どこからでも使うことができるからです。その代わり、サーバーはたくさんのユーザーが同時に使っても影響がない性能のものを用意しておくことが必要で、特に初期コストがかなりかかります。そのため、十分なIT投資が行える規模の企業に向いているといえます。
三段目 小学生向け
みなさんが家や学校の授業などで普通使っているパソコンは、その中でソフトウェアというものが動いています。だからインターネットを見ることやメール、ゲームができるのです。
しかし、昔のコンピューターは違っていました。昔のコンピューターはとても大きくて、それこそ学校の教室一部屋分ぐらいありました。そして、とても高価だったので、何台も買うことが簡単にはできませんでした。そこでコンピューターを使うには、ディスプレーとキーボードをあわせた「端末(たんまつ)」とよばれる機械を通信ケーブルでつないで、1台のコンピューターをたくさんの人が一緒に使っていました。
シンクライアントはこの端末に似ているものです。ディスプレーとキーボードを、ネットワークを通して「サーバー」というとても性能がいいコンピューターにつないで使います。
シンクライアントが昔の端末と違うのは、コンピューターの性能がとても上がり、それぞれのシンクライアントで、それぞれ別々のパソコンのように使えることです。普通に使っている場合には、みんなで共有してコンピューターを使っているようには見えません。
ITの世界では、昔使われていた技術が、技術の進歩によって、また新たな形で使われるということがよくあります。シンクライアントもそのような技術の1つなのです。