ExcelユーザーのためのGoogleスプレッドシート入門

Googleの提供するGoogleスプレッドシートという表計算ツールが普及してしばらく経ちました。手軽にシートを共有することができるためビジネスの現場でも日常的に利用されていますが、ずっとExcelを使ってきたためなかなか慣れないという方も少なくはないと思います。
この記事では長年のExcelユーザーの経験を基にした、Googleスプレッドシート入門を紹介します。

Googleスプレッドシートとは

Googleスプレッドシートは、Googleが提供するクラウドベースの表計算ツールです。
Microsoft Excelと同様に、データの入力、計算、分析、グラフ作成などの機能を備えていますが、基本的にオンライン(ブラウザ)で閲覧、編集します。URLを入力すれば共有できたり、リアルタイムでの共同編集が可能できたりするという、オンライン操作が容易であるという特徴があります。
特にURLの共有機能は強力で、シートだけではなく特定のセルを表示(選択)した状態の共有URLを生成することもできます。

▼特定のセルを表示(選択)した状態の共有URLの生成手順

  1. 共有したいセルを右クリックする。
  2. メニューの「セルでの他の操作項目を表示」→「このセルへのリンクを取得」をクリックする。

ExcelとGoogleスプレッドシートの違い

見た感じは同じシートのように見える両者を、いくつかの項目に分けて比較していきましょう。

プラットフォーム

Excel:Microsoft 365によるクラウド版もありますが、基本的にはローカルPCで動作するデスクトップアプリとして使用されることが多いです。

Googleスプレッドシート:クラウドベースで動作するため、インストールが不要でブラウザがあればどのデバイスでもアクセス可能です。PCだけでなくスマホからもアクセスすることができます。

リアルタイムコラボレーション

Excel:Microsoft 365を使用する場合、クラウド上での共同編集が可能となります。しかし、共同編集のための操作はGoogleスプレッドシートと比較すると直感的とは言えません。

Googleスプレッドシート:編集権限の付与されたGoogleスプレッドシートのURLにアクセスすれば、Googleアカウントがなくてもすぐに編集が可能となります。新しいウィンドウのブラウザに同じURLを入力すれば、同じ画面を見比べながらシートを操作することもできます。(おそらくこれはExcelにはない機能だと思います)

保存とバージョン管理

Excel:ローカルPCに保存される場合が多く、手動での保存が必要になります。バージョン管理も同様に手動で行う必要がありますが、Microsoft 365のクラウド版では自動保存機能が提供されています。

Googleスプレッドシート:Googleドライブに自動保存され、バージョン履歴も自動的に管理されます。数回のクリックで以前のバージョンに簡単に復元することができます。

拡張機能と互換性

Excel:高度な機能を持ち、VBA(Visual Basic for Applications)によるマクロやスクリプトの自動化が可能です。大規模なデータ処理にも強く、ピボットテーブルなどデータ解析機能が豊富に用意されています。

Googleスプレッドシート:GAS(Google Apps Script)による自動化が可能で、Googleの他のサービス(Gmail、Googleカレンダーなど)との統合がしやすいですが、Excelほどの機能拡張はありません。

Excelで使える機能

ピボットテーブル、VBAによるマクロ、Power Queryなど、データ処理に関する機能が挙げられます。情報共有は容易であるとは言えないものの、大規模なデータ処理を行うのであればExcelのほうが向いています。
また、シート上に挿入された画像のコピーや名前を付けて保存するという機能も(おそらく)Excelにしかない機能です。Googleスプレッドシートに挿入された画像をコピーする場合、以下のような手順で実行できます。

▼Excelを経由したGoogleスプレッドシート上の画像のコピー方法

  1. 画像を選択してCtrl + Cを実行して画像をコピーする。
  2. 一旦、Excelに画像をCtrl + Vで貼り付ける。
  3. その画像を選択してCtrl + Cでコピーする。
  4. 再度GoogleスプレッドシートでCtrl + Vで貼り付ける。

Googleスプレッドシートで使える機能

GASを使った他のGoogleサービスとの連携はGoogleスプレッドシートにしかない機能と言えます。GoogleフォームやGmail、Googleカレンダーなど他のGoogleサービスとシームレスに統合されているため、データの収集や管理を実現できます。

▼GASを利用したデータ連携の例

  • スプレッドシートに記載した予定をGoogleカレンダーにまとめて反映する
  • Googleフォームの問い合わせ内容を自動的にGoogleスプレッドシートに追加する
  • Googleスプレッドシートで集計した結果をGmailに自動送信する

関数の違い

SUM()、AVERAGE()、VLOOKUP()など、基本的な関数の多くはExcelとGoogleスプレッドシートの両方で使うことができます。
ただし、Excelでしか利用できない関数(XLOOKUP()など)や、Googleスプレッドシートでしか利用できない関数(FILTER()など)が存在します。利用する際は注意が必要です。

マクロの違い

マクロはVBAとGASで大きく異なりますが、ExcelとGoogleスプレッドシートのどちらにも、記録された操作を基に自動的にコードを記述する「マクロ記録」の機能があるため、プログラミング言語の知識がなくてもある程度の自動処理を設定することができます。

Excelのマクロはローカル環境で実行されることが多いため、セキュリティ面では自己管理が必要です。特に外部から取得したExcelファイルに埋め込まれたVBAマクロには悪意のあるコードが含まれている可能性があるため、信頼するソースからのファイルのみを実行することが推奨されています。

一方、GASはクラウド上で実行されるためGoogleのセキュリティシステムによって保護されます。しかし、外部のAPIや他のGoogleサービスとの連携を行う場合は適切な権限設定を行う必要があり、Excelと同様にセキュリティに気を付けなくてはなりません。アクセス権限が適切に管理されていないと、セキュリティリスクが発生するおそれがあります。

また、GASはJavaScriptベースの言語であるため、VBAとGASには互換性がありません。
もしもExcelで動作していたマクロをGoogleスプレッドシートに移行する場合はVBAコードをGASに書き換える必要があります。
ただし、VBAで利用できていた高度なデータ処理がGASには存在しない場合もあるため、全く同じ処理を再現できるとは限りません。

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