ITサービスマネージャ試験とは?概要や難易度・取得メリットなどを解説
ITサービスマネージャ試験は、ITサービスの運用や管理を担うエンジニアを対象とした情報処理技術者試験です。
ITサービスマネージャの資格取得を目指す方は多い一方、具体的な業務や収入水準などはあまり知られていません。
そこで本記事では、ITサービスマネージャの概要や難易度、仕事内容、年収、取得メリットなどを解説していきます。
この記事の目次
ITサービスマネージャ試験とは?
はじめに、ITサービスマネージャ試験の概要や難易度、問われる知識・スキルについて解説します。
ITサービスマネージャの概要と難易度
ITサービスマネージャは、情報処理推進機構(IPA)が主催している情報処理技術者試験の1つです。情報処理系の国家試験であり、ITストラテジストやプロジェクトマネージャなどと並んで、高度な知識・技能を測る資格となっています。
試験は年に1回春期に実施され、合格率は約15%(令和3年度)となっています。およそ7人に1人が合格する計算になるため、難関資格といえるでしょう。
試験時間や出題形式は下表のとおりです。
午前Ⅰ | 午前Ⅱ | 午後Ⅰ | 午後Ⅱ | |
試験時間 | 9:30~10:20 (50分) |
10:50~11:30 (40分) |
12:30~14:00 (90分) |
14:30~16:30 (120分) |
出題形式 | 多肢選択式 (四肢択一) |
多肢選択式 (四肢択一) |
記述式 | 論述式 |
出題数 解答数 |
出題数:30問 解答数:30問 |
出題数:25問 解答数:25問 |
出題数:3問 解答数:2問 |
出題数:2問 解答数:1問 |
参考:ITサービスマネージャ試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
ITサービスマネージャの過去問と解答・講評リンク
ITサービスマネージャの過去問および解答、講評リンクを以下に掲載します。ITサービスマネージャ試験を受験する際は、事前に過去問を解いて傾向を掴んでおいてください。
午前Ⅰ:問題、解答
午前Ⅱ:問題、解答
午後Ⅰ:問題、解答、講評
午後Ⅱ:問題、解答、講評
参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:問題冊子・配点割合・解答例・採点講評(2022、令和4年)
ITサービスマネージャ試験で問われる知識・スキル
ITサービスマネージャ試験では、主に以下に関する知識とスキルが問われます。
- ITサービスマネジメントシステムの計画や運用、評価、改善
- ITサービス運用における人的要員や予算などのリソース管理
- ITサービスの変更管理および変更に伴うサービスの設計や構築、移行
- ITサービスの提供・維持における顧客との合意形成およびサービスレベルの管理
- ソフトウェア・ハードウェアの導入やセットアップ、機能拡張、障害復旧
上記のとおり、ITサービスの安定稼働を担う責任者や高度なエンジニアを対象とした試験といえるでしょう。
ITサービスマネージャを取得するメリット
ITサービスマネージャを取得する主なメリットは以下のとおりです。
- ITサービスの運用・保守に関する高度なスキルを証明できる
- 収入増加が見込める
- 情報処理技術者試験の一部が免除される
ITサービスの運用・保守に関する高度なスキルを証明できる
ITサービスマネージャを取得することで、ITサービスの運用・保守に関する高度な知識やスキルを客観的に証明できます。それにより、社内での大規模なIT開発プロジェクトの運用責任者など、重要なポジションを任せてもらえるでしょう。
加えて、転職する際にも難易度の高いIT国家資格をアピールすることで、より良い条件を引き出せる可能性が高まります。
収入増加が見込める
ITサービスの運用・保守に力を入れている会社などでは、昇給・昇進の要件として、ITサービスマネージャ試験の合格を設定している企業も存在します。そのため、昇給・昇進による収入増加が期待できるでしょう。
また、資格手当を用意している企業では、毎月の資格手当や奨励一時金による収入増加も見込めます。なお、ITサービスマネージャの平均年収は、経済産業省の調査によると608.6万円です。
情報処理技術者試験の一部が免除される
ITサービスマネージャ試験に合格すると、他の情報処理技術者試験の高度試験や情報処理安全確保支援士試験を受ける際に、一部試験(午前Ⅰ試験)が2年間免除されます。
たとえば、ITサービスマネージャを取得した後にプロジェクトマネージャ試験の受験を考えている場合、2年以内であれば午前Ⅱ試験から受験可能であるため効率的に受験できます。
ITサービスマネージャを取得するデメリット
ITサービスマネージャを取得するデメリットとしては、主に以下の2つが考えられます。
- 合格するためには多くの学習期間を要する
- 受験するチャンスが少ない
ITサービスマネージャの合格率は約15%ということからもわかる通り、試験の難易度は決して低くありません。合格するためには多くの学習期間を要するでしょう。
加えて、ITサービスマネージャ試験は毎年春に1回しか開催されていないため、受験するチャンスが少ない点もデメリットであるといえます。
ITサービスマネージャ試験の受験に向いている人
ここでは、ITサービスマネージャ試験の受験に向いている人として、以下2点を解説します。
- ITサービスの運用・保守を中心に仕事をしている人
- マネジメント領域を深めていきたい人
ITサービスの運用・保守を中心に仕事をしている人
ITサービスマネージャ試験は、ITサービスの運用・保守の責任者や担当者をメインの対象とした試験です。そのため、ITプロジェクトのなかでも運用・保守フェーズに軸足を置いている人にとっては特におすすめできる資格といえるでしょう。
ITサービスマネージャを取得することで、ITサービスの運用・保守に関する高度な知識・スキルを証明することが可能です。
マネジメント領域を深めていきたい人
ITサービスマネージャ試験は、ITサービス運用におけるリソース管理、サービスレベルの管理といったマネジメント要素を含む試験となっています。
したがって、作業者としてスペシャリスト領域に特化したい方よりも、マネージャとして運用・保守フェーズ全体を管理したい方に向いている資格です。
まとめ
ITサービスマネージャ試験は、ITサービスの運用・管理を担う責任者や担当者向けの情報処理技術者試験であり、合格率は約15%(令和3年度)と難関のIT資格であるといえます。
IT運用・管理フェーズに軸足を置いているエンジニアであれば、ITサービスマネージャを取得することで実務において高度なスキルを証明することが可能です。また、将来マネージャ職に就きたいと考えている人にとっても、ITサービスマネージャの資格はアピールポイントになります。
ITサービスマネージャの資格を取得し、ITサービスの安定運用を支えるプロフェッショナルとしてキャリアアップを実現していきましょう。
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