【実践・情報セキュリティ講座】監視カメラが攻撃をする?
- 2016/12/13
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監視カメラだって小さなコンピューター
「IoT」という言葉をよく目にするようになりました。日本語では「モノのインターネット」と呼んでいます。インターネットにつながるといえば、サーバー、パソコン、プリンターなどの情報通信機器でしたが、IoTでは、すべての「モノ」をインターネットにつなげ、ビジネスを根底から変えていこうとしています。
モノの1つに「監視カメラ」があります。多いのが無人駐車場です。遠隔地からモニター監視をするために監視カメラを設置しています。大きめの居酒屋を少ないスタッフで切り盛りしている場合、テーブルの様子を見るために設置する場合もあります。複数店舗を運営しているオーナーもよく監視カメラを使っています。イベント会場など、いろいろな場所に設置されており、日本もすっかり監視社会になっています。
監視カメラという言葉を聞くと、カメラだけのイメージが強いのですが、監視カメラの中にはコンピューターが入っていて、いろいろと制御できます。しかもインターネットに接続されています。
デフォルトのパスワードでほったらかし
「Insecam」というサイトがあり、映像が公開されている全世界のカメラ映像をリアルに見ることができ、都市ごとに探すことができます。東京ですと800か所以上が公開されています。
公開されているといっても、ほとんどの場合、ユーザーが初期設定のパスワードを、そのまま使っていることが原因です。初期設定では例えばIDが「admin」でパスワードも「admin」になっていることが多く、本来はユーザー自身がパスワード変更しないといけません。しかし、やり方が分からないのか、セキュリティに対する配慮が足りないのか、そのままになっているケースが多くあります。
監視カメラだけでなく、会社に導入した複合機のパスワードもデフォルトにしている場合がよくあります。1台でプリンター、コピー、FAXなど様々な用途に利用できる複合機は多くの会社で導入されています。忘れていてはいけないのは複合機の中身はコンピューターそのものであることです。監視カメラと同様に導入した時の初期パスワードそのままになっているケースがたくさんあります。
「shodan」というインターネットに接続している、さまざまなコンピューターを検索できるサイトがあります。試しに「default password」と入力してみると、パスワード設定していないコンピューターが世界中で見つかります。
監視カメラをハッキングして攻撃
パスワードをほったらかしにしているということは「ハッキングされる」ということです。2016年10月には多数の防犯カメラなどからアメリカのサービス会社に大規模な分散型サービス妨害(DDoS)攻撃が行われ、このサービス会社を使っていたツィッターなどが一時使えなくなる騒ぎとなりました。
多数の防犯カメラなどがウイルス感染していて、遠隔操作できる攻撃用プログラム(ボット)が送り込まれていました。外部からの指令があると特定サイトに一斉攻撃を行います。乗っ取られた機器で構成されたネットワークを「ボットネット」と呼んでいて、乗っ取られた機器を「ゾンビマシン」と呼んでいます。ボットネットの規模はさまざまで小規模なら数百から数千台ですが、大規模なものになると数百万台となります。
パソコンやサーバーなら、しっかり守らないといけないという意識が働きますが、意外と盲点なのが複合機や監視カメラです。皆さんの会社でもしっかり守られているかどうか確認してください。
【教訓】ネット接続されている機器のパスワード設定はほったらかしにしない