”攻め”の情シス!基幹システムのUI向上で信頼されるチームへ

1.基幹システムとは

基幹システムとは、経営活動を成り立たせる上で主要な部分として機能するシステムやソフトウェアのことを指します。基幹システムで取り扱うものとしては大きく2つに分類され、取り組む業務によってシステムが独立しているタイプと、複数の機能が組み合わさったタイプがあります。
どちらのタイプでも基本となる管理対象は「ヒト・モノ・カネなどの情報」であり、そのため根幹を支える重要なシステムといえます。よって、万が一が起こった際、企業の活動全体に影響が生じる可能性が最も大きいです。

多くの場合、部署を限定せず使用されることが想定される基幹システムですが、用途によって別個で保有する場合もあります。その際は、基幹システムから抽出できるデータを部署間でやり取りし、連携が必要になることがあります。

昨今のDX化や2025年問題もあり、基幹システムの重要性は年々増しております。しかし、一度使い始めるとその影響範囲や変更や見直しに生じる負荷が、単一の部署だけでは完結しないケースが多いため、日々の課題は見て見ぬふりをしてしまう中小企業は少なくないことでしょう。

次の章で、貴社の基幹システムの状態を簡易的に診断してみましょう。

 

2.基幹システムの状態チェック

それでは早速、貴社の基幹システムの状態を簡易的に診断してみましょう。
(○✕で回答ください)

・使用している基幹システムは、開発から8年以上経過しているか(老朽化)
・基幹システムの中に全く使用していない機能が複数存在する(陳腐化)
・最新の会社の体制、今後2~3年の体制を見据えて実態と基幹システムのできることとで乖離が生じていないか(ミスマッチ)
・社内で使用している基幹システムと連携したいシステムがあるが、できていない(最新の対応不可)
・気になっている別の基幹システムやシステム会社がある(比較)
・カスタマイズを自社で繰り返して複雑になり、「本当はこうしたい」等ができていない(独自化)
・刷新したいがトラブルが怖くて出来ない(直近の例:江崎グリコ、ユニ・チャーム)

 

○が1つもなければ、貴社の基幹システムは優秀な状況でしょう。恐らく定期的にメンテナンスや課題感の対策が打てています。

○が1つ以上あった場合は、少なくとも基幹システムを見直す良いタイミングと言えます。是非次の章へ読み進めていただければと思います。

 

3.あなたの所属する情シスは、攻め派?守り派?

そもそも情報システム部やIT部は、全社的に見て「守り」の印象が強いと言われています。これは、担当している業務の特徴によるものなので仕方のない部分が多いためです。

例えば、社内のセキュリティ周りや運用保守、ヘルプデスクなどは何か事象が起きてからの対応が主=守りと認識されるのです。
とはいえ、全てが全て守りの業務だけではないはずです。

今回のテーマである「基幹システム」の取り組みは、運用管理のみでしたら「守り」の特色が強いですが、「基幹システムの課題抽出や各部署における小さなつまずき」をピックアップし改善行動を全社を巻き込んで行うことは、間違いなく”攻め”の姿勢が必要となります。

改善の対応は負荷が大きく、パワーも必要とする場面は多いでしょうが社内からいつもと異なる視点で信頼を得るチャンスでもあるので、様々な視点で抜かりなく取り組むように、小さな声も残さず救い上げる心づもりで臨んでいただくことをお勧めいたします。

 

4.基幹システムの改善 着手する優先順位TOP5

1:基幹システムの全面リニューアル

 課題を抽出、整理した上で現状の業務オペレーションにあわせた機能やUIUXデザインなど全面刷新を行います。注意すべきは部署ごとの最適だけではなく、全体最適を目標に、使用する際に業務と密接に関わることから、生産性を生むことのできるよう臨みましょう。
一般的には、新旧システムを併存させながら段階的を経て刷新していく方法になりますが、そのような過程での運用は複雑化し、通常よりもコストが高くなります。よって着手前にしっかり綿密なスケジュールや手段の選択が成功へのポイントになります。

 進めるにあたり、各部署ごとに窓口を設定いただけると不必要な確認先の確認が省け、目的がぶれる懸念も軽減できるでしょう。関係各所には、あらかじめプロジェクトの目的や依頼をしっかりお伝えし、協力体制を構築しておくことも重要です。

 

2:基幹システムの機能一部リニューアル

 全面的なリニューアルは不要であるが、部分的な改善を図る必要がある場合、カスタマイズ等でリニューアルを行うのが一つの選択肢になります。その場合は、課題にそってどの階層までリニューアルが必要か、しっかり調査し、表層のみのリニューアルにならないように注意が必要です。お勧めとしては、調査の時点から第三者(外注)にサポートを受けながら行えると良いでしょう。

 

3:基幹システムのUI改善

 特に機能面でリニューアルは不要であるが、日々の生産性が落ちている、新しい社員が入ってくるたびに基幹システムの教育や、ミスがないかのWチェックを必要としているなどがある際は、基幹システムのUIを改善することで解消が図れるかもしれません。

  特にどの企業でも力を入れているであろう新入社員は、Z世代やα世代などと呼ばれ、幼少期からPCやスマートフォンがある生活が当たり前であるため、多少なりとも古いUIであると操作がわからない場合が考えられます。採用コストだけでも企業の負担は計り知れないものですので、入社後の研修時間を必要としない基幹システムのUIに改善することは、企業の負荷を軽減できる打ち手の一つと言えるでしょう。
課題を整理するといっても、社内のメンバーではその使いにくさが「慣れ」の視点で見つけにくいこともあることはしばしばあるので、世の中に存在するUIの無料診断や無料トライアルのサービスを使って課題を洗い出してみるのもおすすめです!例えば、「UIナビ」では無料で1ページ分プロのデザイナーによる診断を受けることができます。色々と社内で検討を進める前にお試しで使ってみると、改善の糸口がきっと見つかることでしょう。

 

4:基幹システムへプラグイン

 そもそもプラグインとは、アプリケーションの機能を拡張するソフトウェアのことを指します。 「2:一部リニューアル」と似ていますが、異なる点としては、既に世の中にあるサービスを取り込むため、一部リニューアル開発するよりかはコストや工数が押さえられる可能性があります。
ただし、開発よりも自由度は制限されるので、貴社の課題にあったプラグインのサービスがあった際は、開発と比較検討してみると良いでしょう。

 

5:基幹システムの改善はしない!

 調査・課題・優先順位を加味して、今は改善を行わない!という判断も一つの選択肢です。無理に動き出しているからで、えいや!で出来るものではないです。ただし、ネクストアクションとしていつごろ再点検するか、今回の調査で分かったことなどはしっかりわかるようにまとめておくことは重要です。
誰が見てもわかるように、調査・課題・優先順位をまとめた資料は会社の財産になり得ますので、しっかりと残しておくようにしましょう。

 

5.自社の基幹システムがない場合 こちらをチェック!

全社から「おっ!」と好印象に繋がる施策例3選

貴社に基幹システムが存在しない場合、それはある意味でチャンスかもしれません。これまでの会社のフェーズでは不要だった基幹システムが、現在のフェーズでも同様とは言えません。
是非このタイミングで検討してみるのはいかがでしょうか。

1:工数 大 × 費用 大 基幹システムの新規開発

 基幹システムを新規開発で作ることで、各部署で管理しているヒト・モノ・カネなどの情報が一元管理が可能となり、申請する従業員も、申請を承認する上長の負荷を軽減し、削減できた時間をコア業務に充てることが可能になります。

基幹システムを自社で開発することで、細かい業態に沿ったシステムを作り上げることが可能です。情報システム部として重要なのは、そんな基幹システムの開発のパートナー先を選定することです。開発のスピードや品質、そもそもどのくらいの社内工数があるのかなど整理し、しっかり相見積もりをとり、決定することが重要です。

実際に想定される懸念点や、特に力をいれたい開発部分に実績や強みがあるか、コストは予算と同等か、そしてコミュニケーションがしっかりとれるかなど、様々な角度からしっかり妥協せずに選びましょう。

 

2:工数 中 × 費用 中 既存の基幹システムの導入

 新規開発で基幹システムを作成するのではなく、パッケージでサービスの提供がある基幹システムの導入をおこなうのも、選択肢のうちの一つです。パッケージ化されている基幹システムであると、開発ほどの負荷を必要とせずに、基幹システムを使用できます。

ただし、開発と比較した際に自社のオペレーションに柔軟に合うものを見つけるのが難しい場合があるので、その場合は基幹システムに合わせたオペレーションの変更が必要になる可能性があるので、慎重に関係各所に相談し判断することが必要になります。

 

3:その他

各部署のシステムで改善できそうな課題を抽出して、解決策となる選択肢を提示 → 解決までサポート

 各部署で課題となる箇所が、詳細なヒアリングしていく中で基幹システムを必要とせず解決できる場合も多数あると推測されます。具体的にはアクセス権限を役割によって社内で決めており、それにより一部の役職に業務が集中するタイミングがある場合、基幹システムで業務の負荷を減らす方法もありますが、その前に業務のオペレーションを見直すことでタイミングや属人的な業務を分散することが可能でしょう。

その他にも、基幹システムで解決せずともできる対策は多くあるが、ITやシステムが関わってきた際に解決への手段が各部署で浮かびにくいことが考えられます。そんな際は、課題の洗い出しや対応方法について相談にのり、各部署の生産性に貢献していくことで、情報システム部の信頼性が少しずつ高まっていくことが期待できます。

 

4:番外編

基幹システムの保守運用のランニングコストの見直し

 基幹システムを安心して運用していくにあたり、保守は必須になります。サーバやアプリケーションの保守を適切に行わないと、保守切れのリスクが生じます。これまで基幹システムは、企業の根幹を支える重要なシステムといえ、万が一が起こった際、企業の活動全体に影響が生じる可能性が最も大きいことはお伝えしましたが、保守ができていないとこの万が一につながる恐れがあります。

とはいえ、毎月一定の工数を保守として社内で調整するのもなかなか現実的ではありません。(詳しくは「このままだと危ない?システム保守・運用を外注すべきかの判断軸3点」をご参照ください。)

現状発生している保守費用を見なおし、適正であるか、また不足の自体発生時にしっかり連携の取れる外注先であるかは定期的な見直しの実施をお勧めします。もし現状自社内でやりくりしている場合、一度比較検討してみてはいかがでしょうか。

運用保守を引継ぎサービス「ホシュナンス」でご負担が軽減できる可能性があります。お気軽にご相談いただき、無料のお見積りを是非手に取って比較の材料としていただけると良いでしょう。

 

6.まとめ

 本記事を読んでくださったあなたは、記事を読む以前から基幹システムに課題感や興味のアンテナが立っている状態であったはずです。その理由は何から生まれたものでしょうか。基幹システム周りの改善は、パワーが必要なものが多いですが、その分経営課題や様々な部署の効率化へのインパクトも大きくなります。
課題や優先順位の整理から外部の協力を部分的に取り込んでみること、その後の改善についても上手に社内と社外の選択肢を使うことで、課題をそのまま放置するのではなく、何かしらで良い方向に前進するでしょう。

お困りのことがありましたら、情シスナビの運営元であるシステム会社である株式会社HumAInへお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人:takahashi

2022年、初めての転職活動を経て現職へ。情シスナビ編集部以外にもバックオフィス業務や営業サポートも担当。情シスやIT業界に関する情報を分かりやすくお届けします。

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