”ウィズコロナ”時代の情シス業務

2020年、社会は未知のウイルスによって大きく変わりました。さまざまな制限のある新しい生活様式、出社しない”テレワーク”という新しい働き方……。このような新しい世の中では、やはり情シスも新しくなる必要があるのではないでしょうか。
2021年に入り、再び緊急事態宣言が発出された“今”、時代に求められる情シス像を探っていくことにしましょう。

 

社会が変われば企業も変わる、企業が変われば情シスも変わる

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、人と人の間にはソーシャルディスタンス。外出をする際にはマスク着用で街を歩き、企業においても可能な限りのリモートワークが推奨される――。
一年前に、いったい誰がこのような社会の姿を想像できたでしょうか。新型コロナウィルス感染症により、今、社会が大きく変わっていっています。

2020年4月の緊急事態宣言発出を経て、一時的にはピークを過ぎたものの、GOTOトラベルによる人の移動、長期に及ぶの外出自粛疲れの反動とも言える会食の増加、そして社会全体としても感染拡大防止をしながらも経済を回していく方向に動きはじめたことも影響し、やはり感染拡大が広がり、再び2021年1月に緊急事態宣言が発出されました。

今はCOVID-19の対応が世界的に求められていますが、昨年の夏には温暖化の影響なのかツンドラの永久凍土が溶け、その中から未知のウィルスが確認されており、COVID-19がワクチンで過ぎ去っても感染症対策からは逃れられない、いわゆる「with コロナ」の時代になるかもしれません。

このように社会の有り様が変わり、企業も「出社がキホン」という従来の勤務体制を変えざるを得なくなりました。
そうなれば、情シス業務にも変革が起きていると言えるでしょう。

では一体どのような変化が求められるのか考えてみます。

 

情シスたちのウィズコロナ

さて、ウィズコロナの働き方といえば、何を思い浮かべるでしょうか? 会社の入口に消毒用アルコールを設置? デスク上のアクリル板? それともUV LEDを搭載した空気清浄機でしょうか?

いえいえ、やはりテレワーク(在宅勤務)が一番に思い浮かぶのではないでしょうか。
そう、情シスに求められるのは、まさにこの「テレワーク/リモートワークで働くこと」への対応ではないかと思います。

テレワーク/リモートワークのステップ

「テレワーク/リモートワーク導入」と一口にいってもさまざまなレベルがあります。
はじめの一歩は、会議室での密を防ぐためのリモート会議の導入かもしれません。これは、在宅勤務のできない職種だとしても取り入れることができるプチ・リモートワークです。
導入も比較的簡単で、リモート会議ツールを使えばすぐに始めることができ、会議室で密にならないよう各自のデスクで会議に参加することができます。(各自のデスクが密集していては意味を成さないかも知れませんが)

もう一歩進めると、社内の分室やサテライトオフィスの積極的な利用によるリモートワークもあります。
実際、1つの部屋の人数を制限したり同じ建物内でも人をなるべく部屋ごとに分散させる対応をとっている企業も多いかと思います。サテライトオフィスやビル内別室であれば、ネットワーク環境も整備されている(またはしやすい)ので、端末の持ち運びやアクセス管理などの環境整備・ルール設定によって実現することができるでしょう。
しかしながら、境界型のセキュリティ設計をしていた場合は、自社網から外に出るにはそれなりの準備が必要になります。

そして理想的なのは自宅等での完全なリモートワーク、すなわちテレワークです。
自宅から業務データにアクセスして行うリモートワークは、これまでの社内勤務の延長では実現できません。
根本的な端末・アプリ運用の変更、ネットワーク環境の変更、セキュリティ運用の変更、セキュリティ対策のアップデートが必要となります。
デスクトップ端末を自宅に送って作業するという強者な企業も存在するかも知れませんが、あまり現実的ではないと思います。

社内運用の改善も

そして、リモートワークの実現に大いに関係するのが社内システムの構成です。やはり、オンプレミスでの構成よりもクラウドベースとなっていることで、対応方法の選択肢が増えます。
社内利用のファイルサーバー程度であれば、例えば、Microsoft 365を採用するとさまざまなクラウドベース機能を利用できるようになります。
SharePointやOneDriveは社内ファイル共有サーバーに取って代わることができ、コミュニケーションツールであるTeamsを使いWeb会議も可能です。また月次報告会などの社内定例会議はStreamを使ったビデオメッセージベースに変更するなどで、大方の社内業務はMicrosoft 365一つで行えるようになります。
Azure AD/オンプレADとも連携し、機器認証も行っておくとセキュリティ面・運用管理面でより便利になるでしょう。

こうした改善策も検討できるといいですね。

 

情シス業務をアップデート!

さて以前に、情シスNavi.では情シスの業務について「今の時代に求められる「情シス」業務とは?」で前後編に渡りその内容をお伝えしてきました。

その業務内容は大きく分けて、

  • サポートセンター業務
  • セキュリティ対策業務
  • 設定・メンテナンス業務
  • システム企画・運用

の4つになるのではないかと思います。
では、これらがウィズコロナの時代、どう変わっていくのか見ていくことにしましょう。

サポセン業務はどう変わる?

業務システムやアプリの使い方がわからない! 突然アプリが動かなくなっちゃった! パスワードを忘れてしまった! などの従業員のピンチにささっと対応するのが「サポ―トセンター業務」です。

これまでは、電話でわからなければその場に赴くか端末を持ちこんでもらって対応していたこの業務も、リモートワーク前提となるとちょっと話が変わってきます。
まさか従業員の自宅まで行くわけにはいきませんし、リモートで使い方を教えることができるようなマニュアルやレクチャーの準備、社員のITリテラシーがあまり高くない場合などはリモートで従業員の端末を管理できるような仕組みが必要となります。
ちなみにリモートで管理するには、VNCサービスを利用したり、MDM/EMMといった端末管理サービスを利用するとよいでしょう。

また、従業員からの問い合わせには、「社内ネットワークにつながらない」「ネットワークが重い」というリモートワークならではの内容が多く出てくることとなります。 国内有数の大手電機メーカーでも、昨年の緊急事態宣言に応じて原則リモートワークに切り替えたところ、実施当初はVPNがネックとなり、朝の打刻ができないという事態もあったといいます。

このような事態に向け、VPN機器の増強などネットワーク環境の改修やネットワーク診断の方法等を事前に準備をしておく必要があります。多くの企業が境界型防御を採用している現状では、インターネット→社内ネットワーク→Webサービスというルートでクラウドサービスを利用することになる為、どうしても社内ネットワークへの入口、社内ネットワークからの出口にはトラフィックが増えます。そのような場合には、インターネットブレイクアウト(参考:使える! 情シス三段用語辞典75「インターネットブレイクアウト(ローカルブレイクアウト)」)なども有効な方法の一つになります。

また、SSO(シングルサインオン)ツールを採用することで、パスワード漏洩や利用するWebサービス毎のパスワード忘れ問題からも解放されるので、今後は必須ではないかと思われます。

セキュリティ対策業務はどう変わる?

従業員がみんなオフィスに出社し、その社屋内から社内システムにアクセスしていたときは、外界のインターネットから社内ネットワークの防御に集中するだけで良かったわけです。情シスの皆さんも、ファイヤーウォールやウイルス対策ソフトの運用、監視アラート対応が情報セキュリティのメインタスクだったはずです。

しかしながら、リモートアクセスを行う場合はそうもいきません。
セキュリティ対策は、外界からのアクセスを「従業員の正しいアクセス」なのか「不正なアクセス」なのかを見極めることが非常に重要となっています。
古くはVPNに始まり、最近ではゼロトラストセキュリティ等様々な手段が存在しますが、テレワーク導入に向けては外界からもアクセスが来ることを前提としたセキュリティ対策が必要です。

また、オンプレミスのサーバーを社内に持たず、クラウド上ですべてを管理するようにできれば、境界型防御ともおさらばできるチャンスもありますが、それでも移行作業も含めるとある程度の準備期間、そして費用も必要となります。(費用については業務が効率化されることで相殺、または削減されるように業務フローも含めた検討すべきである)

設定・メンテナンス業務はどう変わる?

新しい端末を購入した際や新しい業務アプリを導入することになったとき、情シスはまずキッティングや初期設定を行ってから従業員に渡していました。それがリモートとなると、BYODやSaaSも視野に入れて提供フローを整備することが必要となります。

今日現在、リモート対応のPC端末キッティングツールは様々あります。Windows 10においては、遠隔でキッティングを行うことができるAutoPilotという機能も存在します。(但し、Azure Active Directory環境が必要)
(参考:使える! 情シス三段用語辞典85「Windows AutoPilot」

日常の書類作成にしても、G SuiteやMicrosoft 365(旧Office 365)を使えば、Webベースでもアプリケーションが便利に使えるうえ、個別のインストール作業からも解放されます。更にはライセンス管理や利用状況管理をWeb上で行うことができます。

しかしながら、実際問題、新品のPCを従業員の自宅に送り、各自がキッティングを行うというのはなかなかにハードルが高い作業でしょう。その意味では、情シスのフルリモート勤務というのは少し難しいかもしれませんね。

システム企画・運用業務はどう変わる?

そして、日々の社内システム運用業務です。

システム運用業務とは、社内システムに不具合がないか確認して安定稼働状態を保ち、従業員にとっての使い勝手や改善点等をチェックして次につなげるという業務です。

リモートワークとなると、従業員が日々抱くネットワーク接続の利便性やセキュリティ面での不安・不満をしっかりと吸い上げることが重要となるでしょう。

ネットワーク環境の安定運用はリモートワークを支える土台となります。一層この業務の重要度が増してくるでしょう。

社内の「Wi-Fiがおかしい」と言われてしまったら、出社せざるを得ないのが現実かもしれませんが、エラーレポートが上がってくるようなシステムを導入していれば、その復旧策を社内のしかるべき人に託すことができる場合もあるでしょう。

また、業務システムの新規開発も、オンプレミスでなくクラウドベースで開発したり、開発業務自体アウトソーシングを活用するなどしていれば、情シス自身もリモート対応ができると思います!

 

まとめ:ピンチをチャンスに!

ウィズコロナの「密を減らす」働き方のためには従業員のリモートワーク/テレワークを推進することが大前提となります。
またそれだけでなく、情シス自身もリモートワーク/テレワークができるか検討していくこととなるでしょう。

クラウド移行やSaaS利用で充分な機能のカバーができるはずでも、レガシーなシステムに縛られているというケースは多いかもしれません。レガシーなシステムも、いつかは更改する時が来ます。(または更新コストを考えれば移行すべきと言うケースも)

今は情シスにとって大変な時期かもしれません。しかしながら、今は変革のチャンスと考えてはどうでしょうか?
とかくコストセンターとして考えられ、コロナ禍でなければ新たなIT投資などされなかったかも知れません。
無駄なものを導入する必要はありませんが、”外部要因”による変更は追い風となることもあります。
これを機にDXを推進し、その一部としてテレワークを加味するというやり方もできるはずです。

その際に旗振りをするのはやっぱり情シスであり、それに備えて新しい時代のシステムに作り替える準備はしておきましょう。

 

【執筆:編集Gp 星野 美緒】

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