キャッシュマネジメントシステムのデメリットは?メリットともに解説
キャッシュマネジメントシステムという言葉は聞いたことがあるものの、よくわからず困っている方もいるのではないでしょうか?
キャッシュマネジメントシステムとは、グループ企業の資金管理を親会社が一括で管理し、業務効率化や合理化を目指すシステムのことです。
キャッシュマネジメントシステム導入の際には、何があれば自社の会計業務が効率化できるのか考えることがポイントです。
本記事では、キャッシュマネジメントシステムのメリット・デメリットだけではなく、導入にあたっての注意点も一緒に紹介していきます。
この記事の目次
キャッシュマネジメントシステムとは
キャッシュマネジメントシステムとは、グループ会社全体の資金を親会社が集中管理することにより、資金不足を回避し手数料など無駄遣いを防ぐ管理システムのことです。
このキャッシュマネジメントシステム(以下、CMS)を活用できれば、親会社はグループ会社の資金を一括管理でき、内部統制の強化も期待できます。
今までCMSは人材やコストがかかるため、大企業で活用されるケースが多く見受けられました。
しかし近年では、クラウド型CMSや簡易システムのCMSなどさまざまなタイプが導入され、中小企業からの注目が集まってきています。
キャッシュマネジメントシステムのデメリット
CMSの導入にも、デメリットがあります。
メリットばかりに目を向けるのではなく、デメリットも把握し対策を打ちましょう。
導入コストがかかる
CMS導入にあたり、ある程度まとまった資金が必要です。CMSには、主に以下の機能があります。
- キャッシュプーリング
- 支払い代行
- 貸借管理
- 資金の可視化
- 会計記帳
しかし、自社にとってこれらの機能が全て必要とは限りません。
CMS導入の前に、自社にとって必要な機能を把握しておきましょう。
また、どのような機能があれば資金管理が楽になるのかを考え、比較的コストを抑えて始められるクラウド型CMS・独立系CMS・外資系CMSの導入も検討してみてはいかがでしょうか。
関連記事:バックオフィスシステムとは?業務効率化に期待できるシステム・ツール4選
事前準備が必要
CMS導入にあたり、グループ会社内での資金管理について方針の策定や、CMSに対する説明会を開催し理解を深めるなどの事前準備が必要です。
グループ会社内にある課題や意見をまとめ、CMS導入後のメリットについての丁寧な説明を心がけましょう。
その際には、資金移動のプロセスを文書化し標準化する教育が重要です。
CMSを助けてくれるシステムの中には、グループ会社内での方針を決める構想策定から導入までを企業側と連携し支援してくれるサービスもあるため、利用してみるのもおすすめ。
今までとは違う仕組みが導入されるため、習熟には時間と丁寧な教育の機会が必要となるでしょう。
キャッシュマネジメントシステムのメリット
CMS導入には、以下の3つのメリットが挙げられます。
- 資金のプーリング
- 業務効率化・合理化
- 内部統制の強化
それぞれについて、詳しく解説していきます。
資金のプーリング
資金のプーリングとは、親会社でグループ会社内の資金を一括で管理することです。
資金プーリングにより、グループ会社内の資金の流れが可視化され、コスト削減や資金を有効に活用できます。
資金プーリングは自動的に資金の集中と資金移動を実施し、グループ全体の余剰資金が統括口座にプールされる仕組みです。
万が一、グループ会社内に不足資金があった場合には統括口座から補充され、銀行から資金調達するよりも時間と手数料の節約にもつながります。
CMSには資金移動の際には自動的に記帳し、貸付残高を管理してくれるサービスなどもあり、日次・月次の債務状況も一目で把握可能です。
業務効率化・合理化
CMS導入前には、親会社・子会社それぞれに支払い関連業務の担当者がいました。
しかしCMSを導入することにより親会社に支払い関連業務が集約され、人員削減や業務効率化にもつながります。
また、銀行の窓口業務を一本化することで、グループ会社全体の取引件数を前提に話を進められ好条件を引き出すことも期待できるでしょう。
結果として、グループ外の取引を減らせることにより銀行に支払う手数料を削減でき、グループ会社全体で好条件での取引も可能になります。
内部統制の強化
資金の流れをほぼリアルタイムで可視化できる親会社の一括調達により、グループ会社全体のガバナンス強化につながります。
資金の流れを明確化できれば、不正させない組織体制の構築としてステークホルダーにもアピールできるでしょう。
少人数が長期間にわたり出納業務に関わると不正が起きてしまうリスクが高まりますが、CMSを導入すれば外部・内部の取引件数が減り、プロセスを文書化・標準化も可能です。
関わる業務が文書化・標準化できれば、不正・悪意のない業務ミス・無駄遣いの防止効果も期待できます。
キャッシュマネジメントシステム導入の注意事項
CMSは、企業の資金管理に役立つシステムの一つです。しかし、導入前には十分な検討が必要。
ここでは、CMS導入の注意事項を紹介していきます。
自社にとってキャッシュマネジメントが必要か検討する
CMSは資金管理には有効なシステムですが、企業によっては必要のないシステムも含まれており、オーバースペックとなってしまう場合があります。
導入コストはもちろんのこと運用コストも必要など、コスト面での不安も軽視できません。
自社にとってどのようなCMSを導入するか、十分な検討が必要です。
簡易的なツールの検討も必要
子会社が少ない・支払い件数が少ない会社の場合には、支払い代行や業務効率化の効果も限られてしまうでしょう。
資金プーリングのみ活用したい場合には、簡易的なツールの利用も検討してみましょう。
プーリングのみ取り入れるのであれば、業務を大きく変更することもなく、人手不足に困っている会社にも取り入れやすい手法でしょう。
まとめ
CMSの導入は資金管理が容易になるだけではなく、業務効率化・合理化など嬉しい効果も期待できます。
また、資金の流れが明確であれば内部統制の強化にもつながり、ステークホルダーへの透明性の高い企業経営へのアピールの一つとなるでしょう。
しかし、メリットが大きい反面デメリットも存在します。企業によってはCMSの運用コストが負担になったり、オーバースペックになったりするケースもあるため、導入後の費用対効果が合うかを事前に見極める必要があります。
本記事をきっかけに、グループ会社全体でどのようなCMSが必要か検討してみてはいかがでしょうか。
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