勘定系システムとは?主要銀行の一覧や仕組みをわかりやすく紹介

  • 2022/9/27
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銀行では安全かつ正確な取引のために、強固なセキュリティに守られたシステムが日夜稼働しています。
勘定系システムも、そのひとつです。
金融業界のエンジニア職に興味がある方の中には「勘定系システムは、どんなものなのか」と気になる方も多いでしょう。
そこで今回は、勘定系システムの仕組みや機能を紹介します。
主要銀行の勘定系システムや一部の銀行で進められているオープン化についてもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてください。

 

勘定系システムとは預金を管理するシステム

勘定系システムとは残高管理や利息計算など、勘定処理を実行する銀行の基幹システムです。
多くの場合、メインフレーム(高性能コンピューター)を中心に大規模なシステムになっています。
まずは、勘定系システムの仕組みや機能について見ていきましょう。

 

2種類の仕組み

勘定系システムではオンラインとオフラインという、2種類のシステムが同時に稼働しています。
オンラインはネットワークを通じて、瞬時に預貯金の出し入れなどができるシステムです。ATMがその最たる例であり、仕組みや処理の流れがイメージしやすいでしょう。
一方、オフラインは業務処理から情報の反映までタイムラグがあるシステムです。多くの場合、次のような手順を踏みます。

  1. 申請書などを受け付ける
  2. コンピューターで業務処理する
  3. 蓄積したデータをまとめる
  4. 3.のデータをコンピューターに読み込ませる
  5. 結果を反映する

オフラインシステムは、クレジットカードや公共料金の処理をイメージするとわかりやすいでしょう。
なお、銀行には勘定系システムのほか、さまざまなシステムが連携し合っています。おもなシステムは、次の3つです。

特徴
情報系システム 営業戦略のためのデータを扱う 収益管理、CRM(顧客管理)など
国際系システム 海外支店の主要業務を担う 勘定処理、外国為替業務など
対外系システム 外部のコンピューターと接続する ATM、全銀システムなど

たとえば、ATMを使った場合、対外系システムがATMと銀行のコンピューターをつなぎ、勘定系システムが預金の出し入れを処理・記録します。
海外支店で預金を引き出す場合は、さらに国際系システムが関わってくるという仕組みです。

 

4つの機能

勘定系システムには、4つの機能が備わっています。それぞれの特徴は、次のとおりです。

機能 特徴
オンライン処理機能 預金や融資など銀行の主要業務をリアルタイムで処理する
バッチ処理機能 オンライン処理したデータを日次・月次で処理する
センタカット処理機能 口座振替など定型のオンライン取引を一括処理する
バックアップ機能 災害時などシステムが停止した際にバックアップセンターで銀行業務を継続する

このうち、センタカット処理機能が止まると銀行全体に影響を与えかねません。
そのため、センタカット処理機能がとどこおりなく実行されるよう、中途再会機能や2重起動防止機能などが実装されています。


主要銀行の勘定系システム一覧

勘定系システムは、銀行業務における中核的なシステムだとわかりました。
では実際に、主要銀行ではどのような勘定系システムが使用されているのでしょうか。
ここでは、主要銀行で使用されている勘定系システムのベンダー(提供会社)やハードウェアを見ていきましょう。
なお、各金融機関数は日本金融通信社のデータを参考にしています(2022年8月31日時点)。

・都市銀行

日本の都市銀行は5行あり、それぞれの勘定系システムは次のとおりです。

名称 おもなベンダー おもなハードウェア
みずほ銀行 みずほリサーチ&テクノロジーズ

富士通

日立製作所

日本IBM

NTTデータ

IBMメインフレーム
三菱UFJ銀行 三菱UFJインフォメーションテクノロジー

日本IBM

IBMメインフレーム
三井住友銀行 日本総合研究所

NEC

NECメインフレーム
りそな銀行 NTTデータソフィア

NTTデータ

IBMメインフレーム
埼玉りそな銀行

 

・地方銀行

地方銀行は62行あり、おもな銀行の勘定系システムは次のようになっています。

名称 おもなベンダー おもなハードウェア
北海道銀行 NTTデータ 富士通メインフレーム
足利銀行 IBM IBMメインフレーム
静岡銀行 日立 日立Linuxサーバー
滋賀銀行 富士通 富士通メインフレーム
鹿児島銀行 BIPROGY Windowsサーバー

 

・ネット銀行

ネット銀行15行のうち、おもな銀行の勘定系システムは次のとおりです。

名称 おもなベンダー おもなハードウェア
PayPay銀行 富士通 富士通UNIXサーバー
セブン銀行 BIPROGY Windowsサーバー
イオン銀行 日立 日立メインフレーム
楽天銀行 オラクル IBM UNIXサーバー
みんなの銀行 アクセンチュア Google Cloud Platform

 

勘定系システムはオープン化へ

IT系システムは近年、機能性のさらなる拡張やコストダウンを目指した「オープン化」が進められています。それは、勘定系システムでも同様です。
たとえば、日立では次のような新しい勘定系システムの構築を進めています。

引用:HITACHI|銀行勘定系システムの歴史から見る『DX2025の壁』
もっとも特徴的なのが、各システムのつながりを仲介・支援するハブシステムの導入です。
複数のシステムをシームレスで接続できるため、業務の処理スピードアップやコスト削減が期待できるでしょう。

引用:三井住友銀行|デジタル時代を支える次世代勘定系システムの構築について
また、三井住友銀行では勘定系とオープン系を組み合わせることで、システム全体の安定性と性能の向上を目指しています。
新しい勘定系システムでは、オンラインサービスの完全無停止化やグローバル決済時間の拡大も予定しているとのことです。

 

勘定系システムとは銀行の根幹を担うシステム!

勘定系システムは、預貯金の出し入れなど勘定業務を担う銀行のメインシステムです。
情報系や対外系などのシステムと連動し、さまざまな金融サービスの提供に関わっています。
また、近年ではオープン化が進められ、利便性のさらなる向上やシステム導入・運用時のコストダウンも期待されているところです。
金融業界のエンジニア職に興味がある方は、勘定系システムについて学んでみてはいかがでしょうか。

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