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オンライン会議をまるごと記録するクラウドサービス「torunoβ版」テスト販売開始-リコー
株式会社リコーは、ビジネスパーソンを中心とした個人ユーザー向けに、オンライン会議の情報を、テキスト、音声、画面キャプチャでまるごと記録し、可視化できるクラウドサービス「toruno(トルノ)β版」(https://toruno.biz/)のテスト販売を2021年2月2日からスタートした。
テレワークにつきもののWeb会議
この「toruno」、一体なんのこっちゃと思った方々もいらっしゃるであろう。まずはその背景を確認しておこう。
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止対策をきっかけに、さまざまな業種職種を対象に在宅勤務環境の整備に取り組む企業が増えているのは言うまでもない。
昨年4月の緊急事態宣言発出で、人の移動制限が求められ企業もテレワークを緊急で導入した。VPNの容量不足による打刻できない問題やワークフローがテレワークでは完結しないなど、様々な問題に直面しながらやってこられたのではないだろうか。
そして、最も利用が広まったのがWeb会議であることは間違いない。
コロナ禍以前からWeb会議ツールは存在し、SkypeやHangoutを使っていた記憶ははあるのではないだろうか。しかしながら、今のような使い方は、オフショア/ニアショア開発などの一部のユーザーが定例会議などで使っていたのではないだろうか。
その後、Office 365改めMicrosoft 365となりTeamsが実質無料ついてきたこと、そして時を同じくしてZoomが台頭してきたタイミングで新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大が広まったことで、時代は大きく変わった。
テレワークやオンライン会議、オンラインセミナー(ウェビナー)は、新しい働き方として広く認知され、近年進む働き方改革とも相まり、ビジネス上のコミュニケーションに必須の手段となりつつある。
その意味では一部の現場作業の方々を除いて、オフィスワーカーの方々でWeb会議(映像付きのオンラインコミュニケーション)を使用したことがないというのが、もはやレアケースなのかもしれない。
では、Web会議はどのように行われているのであろうか?
会議を始めるための儀式的な作業(会議室への入室、マイク&ボリューム設定など)を除けば、基本的には会議室での会議と手順は変わらない。会議室の会議ではプレゼンターやモデレーターが資料提示や議論の内容をホワイトボードに書き出しながら進められる。その他の参加者は発言し、必要に応じてそのメモを取る。この一連の行動はWeb会議であっても変わらない。
しかしながら、そう大きくない画面で資料を見ながら、発言者の説明に耳を傾け、更にはメモを取るというのは、実に慌ただしい作業だと思った方はいないだろうか。ウィンドウを切り替えて使わざるを得ない13.3型のモニターのノートPCにはちと厳しい。
但し、Web会議ツールの多くは録画機能がある。これを使って録画しておくということも可能だが、単純に録画映像なので見返すことがしやすいわけではない。
前置きが長くなったが、そこでこの「toruno」なのである。
torunoとは
言葉で説明するよりも使い方を見てもらう方が利用イメージが浮かんでくるであろう。
toruno β版は、「手軽に使えることをコンセプトに、わかりやすいシンプルなUIで誰にでも使いやすく、オンライン会議やオンラインセミナーの内容をさまざまな形で記録できるクラウドサービス」である。
会議音声の録音データに加え、音声認識AIがリアルタイムかつ自動で文字起こし*1したテキストデータ、会議画面をキャプチャした画像データを記録することで、オンライン会議の流れをわかりやすく可視化してくれる。
オンライン会議時のノートやエディタの代わりとして、日常的な会議の内容の振り返り、議事録の作成、動画の文字起こしなどの作業をサポートし、ユーザーのテレワークライフを快適にしてくれるのである。
振り返りがしにくいWeb会議を振り返りしやすいように、AIも駆使してサポートしてくれるのである。
文字起こしの精度については、実際に使って試してみたいところである。日々進化するTeamsでも同様の機能が実装されるはずであるが、日本語対応のスケジュールがどうなっていたかは定かではない。ツールを選ばず、使うことができるこの「toruno」は魅力的なサービスだ。
toruno β版は、Windows®上で動作する記録用のアプリケーションと、記録した会議を管理・閲覧するためのWebアプリケーションから構成される。記録用のアプリケーションは、パソコン上で動作するさまざまなオンライン会議ツール*2に対応しているのが特徴で、連携するための面倒な設定もなく、導入ユーザーは常駐するデスクトップアプリからいつでも手軽に記録を開始できる。
また、会議画面のキャプチャは、デスクトップ画面全体もしくは個別のアプリケーションのウィンドウを指定して記録ができる。
記録用のデスクトップアプリケーション。リアルタイムで発言の文字起こしを実現(画像出典:リコー)
また、記録した会議データはクラウド上にアップロードされ、ウェブブラウザから確認できる。クラウド上に保管されているため、URLをメールやチャットで送付することで会議データの共有が可能*3だ。
記録した会議の音声は音声データ(MP3形式)として、文字起こししたデータはテキストデータ(txt形式)としてダウンロードすることも可能となっている。
会議ログはクラウド上で管理。文字起こしテキストだけでなく音声、画像もあり、記憶をよみがえらせてくれる
(画像出典:リコー)
リコーは2020年10月から利用者限定で「toruno β版」の無償モニター版を提供し、検証を重ねてきた。利用者から一定の評価があったことで、3時間まで会議を記録できる無料プランと、時間制限なくご利用いただける有料プランの提供に踏み切った。
そして、わざわざ”β版”と謳っているだけあり、より多くのユーザーに活用してもらいながら、開発を加速させることにしており、今後開発されていく機能からは目が離せない。
*1 音声認識の精度と動作の点で、有線のイヤホンマイクの利用を推奨
また、利用環境により、音声認識の精度に差異が生じることがある
*2 Microsoft Teams、Skype®、Zoom、Google Meet™、WebExで記録可能なことを確認済
このほか、YouTube™やPC上で再生する動画の文字起こしにも利用可能
*3 記録データの閲覧には、会員登録が必要
torunoβ版の主な機能
1.かんたん操作
・デスクトップアプリからいつでも簡単な操作で会議の記録を開始できる
個別のオンライン会議ソフトとの連携は不要
2.まるごと記録
・発言のテキスト・会議音声・画面キャプチャをまるごと記録
・ログ管理画面上で会議の様子を可視化できるほか、音声データ(MP3形式)、テキストデータ(txt形式)、画像データ(jpeg形式)としてダ ウンロードできる
3.便利な機能
・会議中の重要な発言をブックマークして頭出し再生できる
・音声の再生スピードを0.5倍~2.0倍速に変更できる
また、5秒、30秒の再生位置ジャンプ機能も利用できる
4.かんたん共有
・会議のリンクをコピー&ペーストしてメールやチャットを送るだけで共有できる
torunoβ版の利用プラン
無料プランも有料プランも提供機能には変わりなく、記録可能時間の上限が3時間と10時間+従量課金となるのが違いである。
今後、法人向けのサービスが登場した際には、また異なるプランが登場するかもしれないが、それまでにお試ししておくことをおススメしたい。
リコーといえば複合機のいめーであるが、今、デジタルサービスの会社への事業構造の転換を進めており、さまざまな新規サービスの開発に取り組んでいる。その一つが今回の「toruno」であり、これは、リコーグループの新規事業創出に向けた取り組みであるアクセラレータープログラム「TRIBUS(トライバス)」から生まれた聴覚障がい者向けの自動文字起こしソリューションから派生して、オンライン会議というビジネス用途での利用を想定して誕生した新たなサービスである。
今後は、ビジネスパーソンをターゲットとした個人ユーザー向けにとどまらず、さらなるニーズの探索に取り組み、音声認識精度の向上や新機能の追加を図りながら、法人向けサービスとしての展開も視野に入れて開発を進めていくという。
【執筆:編集Gp ハラダケンジ】
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