DXを実現するためのあるべきITシステム「スサノオ・フレームワーク」とは-IPA

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、これからDXに取り組み始める、もしくは取り組みの途中にある担当者向けに「DX実践手引書 ITシステム構築編」を公開した。
この手引書は、DX実現に向けたITシステムのあるべき姿と、その技術要素を紹介しており、DX推進担当者が自社のITシステムをどのように変えるべきかについての検討の手助けとなることが目的だ。

<出典:IPA>

 

■背景と目的

IPAでは日本企業のDX推進をめざし、DX推進指標の収集・分析業務を担い、2021年9月には各企業が自社のITシステムを詳細に評価するための指標「プラットフォームデジタル化指標」評価表を公開するなど、DXにおける現状把握のための資料やツールを提供している。
また、2021年6月に公開した「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2020年版)」においては、対象企業305社のうちDX先行企業の割合は倍増したものの、全社戦略に基づいて部門横断的にDXを推進できるレベルに達していない企業も約9割あることが明らかになっている。
このような状況を鑑み、IPAは”DX未着手・DX途上企業”の担当者が上述の指標で現状把握をした後に、具体的にどのような取組を行いどのような技術を何のために活用していくべきかといった検討を技術的側面から支援することを目的に今回の「DX実践手引書 ITシステム構築編」を公開している。

 

■構成

この「DX実践手引書 ITシステム構築編」は全3章で構成され、以下のような順で解説している。

  • 第1章
    「DXを実現するための考え方」として、技術を扱う以前に必要となるDXの位置づけや目的、その考え方を改めて確認
  • 第2章
    「DXを実現するためのITシステムのあるべき姿」として、「社会最適」「データ活用」「スピード・アジリティ」の3要素を示し、それらの特徴を解説
  • 第3章
    DXの目的やITシステムのあるべき姿に対する具体的な技術的アプローチとして「データ活用」「マイクロサービス」「現行システムからの段階的移行の方法論」について、その考慮点や事例などをそれぞれに紹介
    (また、現行ITシステムの全体把握や仕様復元の方法論など、「プラットフォーム変革手引書」として公開した情報を再構成し、『DX実践手引書 ITシステム構築編 レガシーシステム刷新ハンドブック』として提供)

 

■特長

この「DX実践手引書 ITシステム構築編」の最大の特長は、DX先進企業22社へのヒアリング調査を踏まえ、DXを実現するためのITシステムとそれを構成する技術要素群の全体像を「スサノオ・フレームワーク」として図示したことにあるといえよう。
このフレームワークは、モノリシックで複雑化・肥大化したシステムを切り離し、使える部分は形を変えて再生することで価値のある存在に変化させることを意図している。

参考までに何故”スサノオ”の名前が使われているのかをご紹介しておきたい。先に述べたモノリシックで複雑化・肥大化したシステムを神話の「ヤマタノオロチ」に例え、それらを一つ一つ切り離して、使える部分は形を変えて再生させることで、害となっていた存在を、価値のある存在に変化させるという想いをこめた名称なのだ。

 

ここでは社内のITシステムを、組織内で独自に構成したシステム「組織内サービス」と外部のプラットフォームを活用したシステム「外部サービス」に分類し、それらを組み合わせて、あるべきITシステムを構成する。競争領域は組織内サービス、非競争領域は外部サービス、というように性質の異なるITシステム、サービスを組み合わせているところにポイントがある。

図1. DXを実現するためのあるべきITシステム「スサノオ・フレームワーク」 <出典:IPA>

第2章で示している3要素「社会最適」「データ活用」「スピード・アジリティ」の関係性もこのフレームワークで表現している。
「社会最適」の要素を実現するためのシステム要件として、外部サービス全体において、組織内外の壁を超えてシステム・データを連携できる基盤と変化に俊敏に対応できる構造が求められる。
そして、「データ活用」を実現するためのシステム要件としては、データ活用基盤とデータ分析基盤において、必要な業務の適正な情報のみが必要なタイミングで取り出せることが必要である。
最後に「スピード・アジリティ」については、競争領域の独自アプリケーションと現行システムともに、個々の変化に応じ独立に迅速かつ安全にITシステムを更新できることが重要となる。

尚、これらのシステム要件を支える技術要素については、第3章で解説している。

この「DX実践手引書 ITシステム構築編」ではまず、競争領域における「データ活用」と「スピード・アジリティ」の要件に関わる技術要素である「データ活用」「マイクロサービス」を解説している。これ以外に重要な技術要素である「共通基盤」「セキュリティ」「API」「クラウド」「アジャイル開発」などについては今後、追記していく予定であるという。

 

IPAでは、多くの企業がこの手引書を「DX推進指標」や「プラットフォームデジタル化指標」とあわせて活用することで、自社の現状を踏まえた目標値を定めながら、全社的なDX推進のためのITシステム変革に向けたロードマップ策定が進んでいくことを期待している。

 


■ダウンロードページ ※外部サイトに移動します

https://www.ipa.go.jp/ikc/our_activities/dx.html#section7


本内容は、IPA様のプレス発表の情報を元に作成しております。
ソース:https://www.ipa.go.jp/about/press/20211116.html

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