IT企業のテレワーク導入ノウハウをまとめた「テレワークガイドブック」-シネックスジャパン
シネックスジャパン株式会社は、実際にテレワーク導入を牽引してきたIT管理者として、及び導入により柔軟な働き方を実現した社員としての両視点での“生の声”を記載した『テレワークガイドブック』を発行し、無償ダウンロード提供を開始する。
この『テレワークガイドブック』は、テレワーク導入に至るプロセスや、策定した社内ルールだけでなく、利用者・管理側双方の導入前の不安と、それらについての対策、ツールが浸透しないなど導入後のIT管理者として苦労した点や、全社アンケート結果も含む、シネックスジャパンが現時点で保有する“テレワーク導入に関する全ての情報をまとめた資料”となっている。
<画像出典:SYNNEX・テレワークガイドブックより>
テレワーク導入のためのナレッジやノウハウ
新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の防止策として、テレワークを導入する企業が増加する一方、テレワークを強制的に始めてみたものの、準備不足によって課題が顕在化する企業もある。
シネックスジャパンは、ITディストリビューターとして従来より様々なテレワークソリューションを提供してきているが、自社においても、2010年に「SYNNEXグループ」傘下に入ったことをきっかけに米国本社に倣い、営業機能については、全国営業所を閉鎖。内勤営業機能を本社に集約し、各拠点の外勤営業は自宅を中心に『モバイル営業』として活動を開始した経験を持ち、テレワークについては約10年に及ぶノウハウを有しているともいえる。
同社では『モバイル営業』活動にあたり、常時連絡が取れるよう対象社員全員にノートPCとiPhoneを配布、あわせてVPN接続利用可能な環境整備を行ってきた。テレワーク本格導入に向けては、導入に先立ち全社アンケートを実施。その結果に考慮し、多様なシーンと利用形態を想定した企業内ルール整備も行ってきた。
このような背景もあり、2020年4月8日の「新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言」発令に伴う、全社員フルテレワーク移行の際も、大きな混乱はなく、全員がスムーズに業務を行えているという。
今回、同社が公開する『テレワークガイドブック』は、IT管理者が効果的なテレワーク導入を実現するために策定したルールや、実際にテレワーク導入後に働き方がどのように変わったのかの社員からの声などをまとめたノウハウ集ともいえ、これからテレワークを行う企業やすでに導入しているが不足部分をどう補おうかと考えている情シスの皆さんには大いに参考になるであろう。
テレワークの不安や課題を解決する
親会社であるアメリカのSYNNEX社がモバイル営業を導入したことを皮切りに始まった、同社のテレワーク運用。
様々な懸念材料のクリアとテストを重ねながら課題解決とインフラ基盤の整備を進め、企業側、利用者側、双方の不安を排除するところからはじまった。
<画像出典:SYNNEX・テレワークガイドブックより>
同社ではテレワーク導入に際し、社員へのアンケートを実施。社員からは「効率を落とさずに会社と同じ仕事が家でできるだろうか」という懸念。「仕事のOn/Offの切り替え」というメリハリの問題。「対面が減 ることでコミュニ ケーション不足に陥らないか」という懸念。管理職側からは、「仕事の様子が見えにくいため、部下はきっちり仕事をこなしているのだろうか」、「反対に長時間労働にならないか?」といった疑問があがったという。
これらの懸念材料、テレワークの不安を解消することが可能なツールやルール(制度)を同社では作り上げていった。
COVID-19対策として早急にテレワークを導入する必要がある企業にとって、このように丁寧に時間をかけて企業側、利用者側、双方の理解を高めていくことは難しいので、その部分はこのガイドブックにある実績を参考に自社内での理解を高めていくことが必要かもしれない。
シネックス流テレワークルール
シネックスではテレワークルールとして以下の3つを基本としている。
- テレワークの申請は前日までに実施
- 可視化ツールを立ち上げる
- 時間管理は自己責任とし、KPIによる評価の徹底
同社では「申請は前日までに上司に申請する」こととしている。これは、当日寝坊したから急にテレワークというようなことを防ぐためであるが、COVID-19対策という意味では原則、完全テレワークとなるので、これは不要である。しかしながら、日々の業務について”監督する人も自分”であるのがテレワーク、何事も計画的に実施するという意味では機能するルールかもしれない。
可視化ツールの立ち上げに関しては専用のツールを導入し、労働時間やPCの前に座る時間を管理者が可視化できる仕組みとしている。最近は会社側も”正しい勤務実態”を把握しておく必要があり、勤務状況が見えないテレワークだからこそ、社員にはサービス残業をさせない仕組みや制度が必要なのである。但し、これを管理目的で利用することはおススメしない。やりすぎは利用の妨げとなるからである。
管理職側の懸念である成果については、KPIを設け、上長と部下の定期的な面談により成果を示す仕組みにしている。 これは業務内容によって大きく異なるかもしれない。通常の業務報告(日・週・月)の方法によっては、それで代用できる場合もあるだろう。また、その人の成熟度や上司との信頼関係でも違ってくる。これについては、自社の状況にあった制度設計が必要であると考える。
また、同社では、業務上テレワークにすることが難し部署においては、時差出勤やシフト制にするなど対策を取っている。全社員への完全なテレワークの移行は課題が残るものの、Web会議システムなどの利用により、概ねテレワークの実施に成功しており、物流センターを除いたオフィスは閉鎖、雇用形態を問わず全社員が在宅勤務を実施している。
同社ではテレワーク制度の導入が、「自己管理は必要だが、働き方を見直すきっかけになった」と捉えており、今の働き方に対する意識改革を促すチャンスであると感じているという。
COVID-19に端を発するテレワークが、生産性向上を実現し、ある意味働き方改革となれば、会社としても嬉しいし、多様な働き方が実現できる社員にも嬉しい、Win-Winな取り組みになるのである。
<画像出典:SYNNEX・テレワークガイドブックより>
テレワークガイドブック』ダウンロード先はこちら
https://www.nexpect.jp/remote-work-guidebook/
また、シネックスジャパンは、資料公開に加え、複数イベントでも、テレワーク普及活動を実施している。
直近では、今回ガイドブックで各種ノウハウを紹介している「IT管理者兼テレワークエバンジェリスト」の小林氏が、オンラインセミナーにて事例も交えたテレワーク導入についての講演活動を定期的に開催している。
オンラインセミナーとなってイベントに参加しやすくなったという声も聞かれるが、「ピンチはチャンス」と考え、これを機にチャレンジしてみることも良いのではないだろうか。