国内携帯電話端末出荷台数調査(FY2020)-MM総研

ICT市場調査コンサルティングのMM総研(MMRI)は、2020年度通期(2020年4月~2021年3月)の国内携帯電話端末の出荷台数を調査し、その結果を発表している。

サマリー
■20年度通期の携帯電話出荷台数は3511万台(前年度比12.3%増)
■スマートフォンは3275.7万台で過去最高
■5G対応スマートフォンは1101.1万台(5G比率33.6%)
■楽天MNO開始でSIMフリースマートフォンは428.7万台(前年度比42.4%増)で過去最高
■21年度通期スマートフォンは3444万台、うち5G対応は2271万台(5G比率65.9%)と予測

 

20年度通期スマートフォン出荷台数は過去最高を記録

2020年度通期(FY2020)の国内携帯電話端末の総出荷台数は前年度比12.3%増の3,511万台であった。
内訳としてはスマートフォン出荷台数が3275.7万台(16.9%増)、フィーチャーフォンは235.3万台(27.1%減)となっている。

スマートフォン出荷台数は2017年度(3258万台)を僅かながら上回り、年度別で過去最高を記録。特に、SIMフリースマートフォン出荷台数は428.7万台(42.4%増)で過去最高となり、スマートフォン出荷台数に占めるSIMフリー比率は13.1%(2.4ポイント増)に拡大している。

2020年4月にMNOサービスを開始した楽天モバイルが1年間無料サービスを展開するなど、後発ならではの戦略が奏功したとMMRIでは分析している。
一方、フィーチャーフォン出荷台数は昨年に引き続き2000年度以降で過去最少となった。高齢者や業務利用の特定層などもスマートフォンへシフトしており、今後各キャリアが3Gサービスを終了すると共に更に減少していくことであろう。
また、2020年度通期5Gスマートフォン出荷台数は1101.1万台で2019年度(26.9万台)から約41倍に。スマートフォン出荷台数に占める5G比率は33.6%(32.6ポイント増)となった。これは2020年10月と11月に発売されたiPhone12シリーズ4モデルが全て5G対応となったことで、下期の5G対応出荷台数が急増した形だ。

 

Appleが9年連続で1位を獲得

2020年度のメーカー別出荷台数シェア1位はAppleで、9年連続で1位を獲得した。
以下、2位シャープ、3位Samsung、4位富士通コネクテッドテクノロジーズ、5位京セラ、6位ソニーモバイルコミュニケーションズの順となっている。
スマートフォン市場(SIMフリー含む)の出荷台数シェアは1位がAppleとなった。以下、2位シャープ、3位Samsung、4位富士通コネクテッドテクノロジーズ、5位ソニーモバイルコミュニケーションズとなった。


<出典:MM総研>

 

21年度スマートフォンは3,444万台、5G対応は2,271万台(65.9%)と予測

2021年度の総出荷台数予測は前年度比4.3%増の3,662万台、うちスマートフォン出荷台数は2021年度3,444万台(スマートフォン比率94%)と予測している。
5Gスマートフォン出荷数は2,271万台と2020年度から倍増し、スマートフォン市場に占める5G比率も65.9%にまで拡大する見通しである。
5G比率の急増は前述したようにiPhoneシリーズの5G対応が牽引していると言えよう。

今後は3Gサービスが各社順次終了に向かっていく。まずはauが2022年3月末でサービスを終了するが、21年度は3G停波に向けたスマートフォンへの乗り換え促進も強化されることが想定される。
スタートダッシュに成功した楽天モバイルが2021年度以降も引き続き好調を維持して競争を促進できるかが、スマートフォン出荷台数の変動にも大きく影響していくだろう。既に初期の契約者は無料期間が終了しつつあり、契約者を維持し続ける為の魅力をどう打ち出せるのかが見物である。

過去最高を記録した2020年度を上回る規模が期待できる2021年度スマートフォン市場であるが、一つ懸念されることがある。世界的な半導体の供給不足である。新型コロナの影響もあり、メーカーは半導体調達が滞ることで生産スケジュールの見通しが立ちにくい状況となってしまっている。(自動車業界もコネクテッドカーやMaaSなどへの対応で一部のデバイス取り合いに)

2020年度は楽天のMNOサービス開始で始まった。加えて年度末に登場した大手キャリアのオンライン契約プランは新たな競争環境の幕開けを予感させるには十分である。今後もMNO・サブブランド・MVNO各社の戦略とスマートフォンを展開するメーカーの動向から目が離せない。


■携帯電話出荷台数に含まれる端末
① 従来型携帯電話(以下、フィーチャーフォン。Android OSの二つ折り端末を含む)
② スマートフォン
・回線ブランド別(7分類):NTTドコモ、au、ソフトバンク、ワイモバイル(Y!mobile)、UQ、楽天、その他SIMフリー
・SIMロックフリー:UQ、楽天、その他SIMフリー(メーカー直販やMVNO・量販店・代理店等を経由して販売)が含まれる。以下、SIMフリーと記載
③ 総出荷台数(①+②)

■スマートフォンの定義】以下を条件としてMM総研による分類
①以下OSを搭載 (Android、iOS、Windows)
②音声通話が可能 (画面7インチ以上でヘッドセット利用を想定した端末は含まない)
③アプリやソフトウェア等のカスタマイズが可能
④OS環境として(アプリ)開発仕様が公開されていること
⑤キャリア及びメーカーがスマートフォンと位置づけている製品
※調査時点のため、今後の端末発売状況等に応じて予告なしに変更する可能性があります

 

■MM総研について
株式会社MM総研は、ICT分野専門の市場調査コンサルティング会社。日本におけるデジタル産業の健全な発展と市場拡大を支援することを目的として1996年に設立し、四半世紀近くにわたって経験と実績を重ねている。
ICT市場の現状と先行きを的確に把握する調査データに加えて、新製品・新サービスを開発するためのコンサルティングサービスも提供している。


本レポートは、MM総研様のプレスリリースの内容を元に作成しております。
ソース:https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=489

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