いよいよ始まった「テレワーク・デイズ2019」

参院選から一夜明けた今日、テレワーク・デイズ2019が始まった。この取り組みについては以前にもご紹介(参考:ご存じですか?「テレワーク・デイズ2019」)しましたが、本日7月22日(月)から9月6日(金)までの約1ヶ月間の実施となる。
7月18日現在、特別協力団体参加数:159団体、実施団体参加数:1614団体という状況ですが、御社の取り組みはどうであろうか?

特別協力団体は各社で実施するテレワーク施策の効果測定までを行うことを明言している団体であるが、ここには多くの大企業が名を連ねていることから、その対象人数としてはかなりの規模の活動になる。

このテレワーク・デイズ2019実施に先立ち、7月1日にはプレイベントも開催。ここでは、特別協力団体における取り組みの紹介だけでなく、石田総務大臣のビデオメッセージに始まり、周知動画の主演女優である桜井日奈子さんのご挨拶、そして最後には小池都知事も駆けつけ、このテレワーク・デイズ2019への取り組みを熱く語られていた。

実際、オリンピック事前テストとしてはラストチャンスであり、今回の実施結果が混雑シミュレーションなどにも活用されることを考えると都知事の熱の入りようもうなづける。
では、参加団体ではどのような取り組みがされるのであろうか?

 

テレワーク・デイズ2019における各社の取り組み

プレイベントでは特別協力団体として参加されている企業からテレワーク・デイズ2019への取り組みについてプレゼンがあった。ここではすべてをお伝え出来ないので、興味深い取り組みについていくつか紹介する。

コアデーの4日間を終日在宅勤務とする「トヨタ自動車」

トヨタ自動車としては、オリンピック・パラリンピックWordlWideパートナーであること、またオリンピック・パラリンピック等経済界協議会会長企業であることからも、大会成功のために最大限の貢献することを目指している。そしてこの機会を好機と捉え、この活動を通じて「働き方改革」「従業員のチャレンジ・成長の機会」として最大限活用するという。
具体策としては、テレワーク・デイズ コアデーの7/24(水)を含む計4日間、原則として終日在宅勤務とするトライアルを実施する。7万人を超える従業員を抱えるトヨタ自動車ではあるが、その目的から対象は東京地区勤務者に絞っている。それでも約1600人が完全テレワークとなるのは、大きなインパクトとなることは間違いない。


また、来年のオリンピック期間中は、さらに期間を延ばし、17日間(稼働日10日間)、東京地区勤務者はすべてテレワークとする予定であるという。今回の取り組みが、関係先や取引先を巻き込み、来年はさらなる大きな渦となっていることを期待してやまない。

 

1週間の連続テレワークに挑む「富士通」

富士通では2010年から働き方改革を進めていたが、2017年に国内35,000人を対象にテレワークを導入。テレワーク実現に欠かせないセキュリティを担保する「ICT」の整備だけでなく、それを可能にする「制度」、「職場」の意識改革と三位一体となって推進を行ったという。その結果、現時点でも12,000名近くが週に一度はテレワークを実施しているという。
来年の東京オリンピック・パラリンピック期間中は当該エリアへの従業員流入を70%削減することを目指している。そのため、今回のトライアルでも、グループ全体では約5万人を超える従業員が参加する予定であるが、中でも重点取組エリアに勤務する約28,000人の社員には、1週間連続のテレワークを推進するという。そのためには取引先へ迷惑をかけないための周知徹底、そして今回のトライアル結果をレビューし、11月のテレワーク月間で再度予行演習を行い、来年の本番に向けた準備をしている。


また、この機会を単にオリンピック・パラリンピック対策とするのではなく、新しいことを推進する良い機会ととらえており、「Co-creation work style(必要な時に必要な場所でテレワークを活用)」を通じて、デジタルトランスフォーメーションの実現を目指している。

 

ワーケーションにも 挑む「三井住友海上」

MS&ADでは、東京2020大会のために約2万人の社員に向けてICTのみならず、制度面も含めた環境を整備。シンクライアントPCの導入、400拠点の無線LAN化、TV会議システムの全店導入、ビジネスチャットとしてのLINE WORKS導入、首都圏でのシェアオフィス、時間単位年休制度、そして卓上POPによるステイタス表示で周囲への通知などである。
テレワークはすべてをITで行う必要はなく、卓上POPなどは手軽に真似できる好例と言えよう。
そしてテレワーク・デイズ2019では、本社約5,000名をその対象とし、ここが選択する勤務パターンによる時差通勤を推進させる。


また、今回はワーケーションにもチャレンジ。MS&ADでは、徳島県と地方創生に関する包括連携協定を結んでおり、東京の社員が支店を活用したテレワークし、その後余暇を楽しむことで社員のリフレッシュを促す取り組みも行う。

 

サテライトオフィスの無料トライアルを実施する「WeWork」

シェアオフィス事業を手掛ける、WeWork。同社ではテレワーク・デイズ2019に合わせ、7月22日~8月30日の期間、横浜:オーシャンゲートみなとみらい・池袋:メトロポリタンプラザビル・大阪:御堂筋フロンティア、なんばスカイオの4拠点で無料トライアルを実施する。※無料トライアルの申し込みはすでに終了しております。

テレワークだけでなく、サテライトオフィスを利用することにより、通勤の分散や都市部への流入回避にもつながるだけでなく、サテライトオフィス利用によるコミュニティ形成により、新しいアイデアの創出やビジネスコラボレーションなどにも好影響をもたらすという。

同社は「個人や企業の仕事のあり方を大きく変え、WeWorkに幅広く集まった多様性溢れるメンバーが、企業の垣根を超えて互いに刺激しあうことで、イノベーションがより推進される」ことを目指しており、そのためにそこで働く人々が喜ぶような素晴らしいエクスペリエンスを提供しながらも、高いビジネス効率を損ねないオフィス環境づくりに徹底的にこだわっている。

環境が変われば、脳が活性化され、新しいアイデアも浮かぶかもしれませんよね。テレワークだけでなく、サテライトオフィスの有効活用も効率化を目指すのであれば、検討の余地があるかもしれない。

 

オフピークの移動を導く環境づくり「東京急行電鉄」

テレワーク・デイズ2019では、テレワークや鉄道利用者のオフピーク乗車など環境面からの支援を実施する。
東横線・田園都市線では、「時差ビズライナー・時差ビズ特急」という臨時列車を運行。また、これに合わせて専用アプリを通じて「時差Biz応援クーポン」を配布し、ピークシフトでの利用者に”リワード”を提供する。
※「グッチョイモーニング」の取り組みについてはこちら

その他にもサテライトオフィス「NewWork」の利用促進や二子玉川での「朝活講座」を仕掛けるなどで、環境面からテレワーク・デイズ2019を支援する。

自社の取り組みとしても、7時30分始業の「アーリーワーク」推奨に加え、連続休暇取得や部署型ワーケーション+延泊休暇といった休暇取得も推奨する。そのために、会議・イベントの削減を各部門に直接依頼するなど社内調整も行う。

働き方を変える、日本を変えるきっかけになる「小池都知事」

最後に議会を終えたばかりの小池都知事が駆け付け、その意気込みを語った。
東京オリンピック・パラリンピックの事前競技なども行われ、準備は総仕上げの段階。その一環として、円滑な大会輸送の実現と経済活動の両立を目指し「スムーズビズ」を展開する。具体的には企業に対してテレワークやオフピーク通勤/配送を依頼依頼する。スムーズビズは時差ビズとテレワークからなり、大会前の最後のチャンスである今年は、7/24をコア日とし、最初の1週間をチャレンジウィークとして集中的に実施する。
お願いばかりでなく、都としても来年に向け、アクションプラン作成のためのコンサルタント派遣やテレワーク導入時の補助制度なども整備しているという。これを機に社内インフラの整備を進めることも考えてよいかもしれない。

また、都庁としてはお願いするばかりではなく、約1万人の都庁(本庁舎)職員も3つの取り組みを行うという。
1)完全オフピーク通勤(8:00~10:00は交通機関を利用しない)
2)出勤の徹底抑制(集中取り組み期間中、本庁舎の出勤者数を1/3とする日を設定)
3)全員テレワーク(コア日を含め4日間テレワークを実施)

「(ご出席いただいている方々を見ても)環境大臣時代に取り組んだクールビズが、14年経って定着を感じている。クールビズは気候変動(温暖化)という大義・共感を得て、サラリーマンの制服ともいうべきスーツ姿を変えることができた。」と小池都知事は語った。さらには「スムーズビズは(クールビズに続く)第二弾の取り組みであり、東京オリンピック・パラリンピックの成功、経済活動の円滑な実施を大義として、共感を得られる形で推進したい。」と述べていた。

 

効果測定結果が気になるテレワーク・デイズ2019

今年ほどの規模は過去にはなく、東京オリンピック・パラリンピック期間中の混雑緩和がきっかけかもしれないが、これが機能するのであれば、潜在労働人口の掘り起こしにつながる可能性がある。当然ながら、それができる会社できない会社は存在するであろう。しかしながら、そんな傾向も今回の取り組みを通じて見えてくるのではないかと思う。
「東京オリンピック・パラリンピックで日本のワークスタイルは変わったよね。」そんなことが言われるようになることを期待する。

 

【執筆:編集Gp ハラダケンジ】

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