国内データセンター延床面積予測(2021〜2025)-IDC
IT専門調査会社 IDC Japanは、国内事業者データセンター(DC)に関する少し面白い調査データとして、延床面積予測を発表している。
これは、ITベンダー、ITサービス事業者、通信事業者、クラウドサービス事業者などが国内に所有または賃借しているデータセンター建物の延床面積合計を調査したものである。ここから現在のデータセンター事情が垣間見れる。
2020年末時点の国内事業者データセンター延床面積の合計は、245万7,600平方メートル。その先も成長し、2025年には339万8,000平方メートルに増加すると、IDCでは予測している。これを年間平均成長率(2020年~2025年)に換算すると、年6.7%で増加することになる。
尚、今回の調査の結果、2021年から2025年までの期間が、事業者データセンターの新設ラッシュになる見込みであることもわかったという。この期間に新設される事業者データセンターは、延床面積ベースで毎年20万平方メートル前後の規模となる見込みである。
AWS、マイクロソフト、グーグルなどのクラウドサービス事業者が国内のデータセンターキャパシティを急ピッチで拡張していることを受けて、大規模データセンターの建設ブームが続いているためである。
国内ハイパースケールデータセンター 延床面積予測:2019年~2025年
Note: 2020年は実績値、2021年以降は予測。「ハイパースケールデータセンター」とはサーバー室面積5,000平方メートル以上かつ電力供給量が6キロボルトアンペア/ラック以上で、テナントがクラウドサービス事業者であるような事業者データセンターのこと。
Source: IDC Japan, 5/2021
クラウドサービス拠点としてのハイパースケールデータセンター建設需要は高水準で推移するとみられる。このため、ハイパースケールデータセンター(サーバー室面積5,000平方メートル以上かつ電力供給量が6キロボルトアンペア/ラック以上で、テナントがクラウドサービス事業者であるような事業者データセンター)の年間平均成長率(2020年~2025年)は、延床面積ベースで28.8%になるとIDCでは予測している。
またハイパースケールデータセンターでは消費電力も増加するため、電力キャパシティベースでの年間平均成長率は面積ベースよりも高い37.2%になるとみられます。
「ハイパースケールデータセンターの建設ラッシュで、広い土地と巨大な電力供給能力に対する需要が高まっている」とIDC Japan ITサービスのリサーチマネージャーである伊藤 未明氏は分析しています。
今回の発表はIDCが発行した国内データセンター数/延床面積/電力キャパシティ予測、 2021 年~ 2025 年 にその詳細が報告されている。本レポートでは、事業者DCだけでなく、企業内DCについても、サイト数、延床面積、電力キャパシティの予測を、所在地別、竣工年代別、電力密度別に掲載している。
2025年に向け、右肩上がりの成長曲線を描く国内データセンター事業であるが、その一方で、2021年2月をもって株式会社 データドックが長岡データセンターにて展開している寒冷地型データセンター事業は楽天株式会社及び楽天コミュニケーションズ株式会社に事業譲渡。また東北最大級のデータセンターを謳っていた青い森クラウドベース株式会社は2020年3月に民事再生法を適用を申請。ソフトウエア会社や物流業者など19社を傘下に置く持ち株会社「ナオヨシ」が引継ぎ、青い森データソリューションとして再スタートを切っている。
クラウドサービスなくして、もはやスマホは機能せず、単なる箱となってしまう。そう考えると、総論としての成長性は間違いない。
しかしながら、これだけの成長環境にありながら、「おらが村にもデータセンターを」というのは難しいことが上記の2社の事例からもよく分かる。しかも、この二つのデータセンターは共に「寒冷地型エクストリームデータセンター」を謳っており、雪氷冷房を実用化することで、夏場のクリーング用の電力がほとんどかからないというランニングコストが少ないはずのデータセンターなのである。
「アテがはずれた」と言えばそれまでなのであろうが、大手ではないデータセンターとして注目していただけにとても残念な結果である。
【編集Gp:ハラダケンジ】
本レポートは、IDC Japan様のプレスリリースの内容を元に作成しております。
ソース:https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ47646821