国内・ローコード/ノーコードプラットフォーム動向に関する調査-IDC

IT専門調査会社 IDC Japanは、国内のローコード/ノーコードプラットフォームの動向に関する調査結果を発表した。
IDCではローコード/ノーコードプラットフォームフォームを、アプリケーション開発におけるコーディングを最小限に抑え(あるいはコーディングせずに)、ドラッグ&ドロップによるビジュアルモデリングによってデータ、ロジック、フロー、UIなどを定義しながらアプリケーションを開発し、運用ができる環境を提供するソフトウェア製品またはクラウドサービスと定義している。

この調査は、国内企業485社に対してローコード/ノーコードプラットフォームの導入状況について調査を実施(2021年9月)。
その結果、ローコード/ノーコードプラットフォームを導入している企業は37.7%であった。
その内、導入している企業の54.1%は2年以内の導入となっており、近年のローコード/ノーコードブームが導入を後押ししていることが伺える。
また、導入に向けて実装/検証を行っている企業は12.8%、導入する計画のある企業は8.2%となっており、今後のさらなる導入も見込まれる結果となっている。

国内企業におけるローコード/ノーコードプラットフォームの導入状況

n = 485
Source: IDC Japan, 11/2021

そして、ローコード/ノーコードプラットフォームを導入している企業の62.3%は、IT部門以外の部門や職種でもアプリケーションを開発できる環境となっていた。
IDCでは、このようにアプリケーション開発がIT部門のエンジニアだけではなく様々な職種の従業員でも可能になることを「開発の民主化」と呼んでいる。
この調査結果から、まさにローコード/ノーコードプラットフォームが開発の民主化を促進させていることがうかがえます。

ローコード/ノーコードプラットフォームの導入理由としては、開発スピードの向上が37.7%で最も高い回答率となっている。さらに、開発コストの削減が30.1%となっている。
開発工程の中で最も時間のかかるコーディングを減らすことで、開発のスピード向上とコスト削減を実現したいと企業は考えているようである。
また、業務プロセスの自動化が30.6%で2番目に高い回答率になっていた。このことからも、ローコード/ノーコードで様々な業務プロセスやワークフローを自動化するためのアプリケーションを開発することが期待されていることが分かる。

IDC Japan ソフトウェア&セキュリティのグループマネージャーである入谷 光浩氏は”開発の民主化”について次のよう述べている。

「ローコード/ノーコードプラットフォームの導入後、いかに社内での活用度を高め、開発の民主化を推進していくかが重要となる。そのためには、開発スキルのトレーニング、勉強会や事例発表会の開催など、ローコード/ノーコード開発を社内に浸透させる組織や担当者が必要である。それと併せて、ローコード/ノーコード開発を安全に進めるための開発基準やデータ管理などの開発におけるガバナンスを策定することも忘れてはならない」

 

より詳細なレポートはIDCが発行した2021 年 国内 DevOps /開発プラットフォーム ユーザー動向調査 にその詳細が報告されている。

 


「開発の民主化」について

この活動自体が悪いとは思わない。コストをかけずに自分たちの業務にあったシステムを簡単に構築するすべがあるならそれを使うにこしたことはない。
しかしながら、注意すべきは「それがブラックボックス化しないこと」にある。
少し前に「業務における属人化」が問題になっていたのを覚えているだろうか。一歩間違うとこの危険性をはらんでいることを覚えておくべきである。

規模の大きくない会社や部署内で社内で閉じたサービスとして利用するのに便利なツールは、kintoneをはじめとして様々に存在する。
これらツールに共通して言えるのは、ある程度思いのままに作りこめるということであるが、裏を返せば設計書もなく作れることでもある。
例えば、どうしても修正が必要になった場合、”ビジュアルモデリング”で見たままに作業できるとは言え、名づけルールや入力の制限など、最初に作った人の考え方すべてを理解することはできない為、手を出しにくい気持ちになるのは誰もが感じるところであろう。
故にバージョン管理が必要となるようなサービスには不向きであり、サービス品質を求めるような使い方はやめておくのが賢明ではなかろうか。
(個人的には、「Excelを使うよりは便利だよね」の範囲にとどめておくのが良いのではないかと思う)

【編集Gp・ハラダケンジ】


本レポートは、IDC Japan様のプレスリリースの内容を元に作成しております。

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