ビジネスパーソンに求められる新たな資質「Di-Lite」
コロナ禍が未だ収まりきらぬ状況にあるものの、私たちは、この苦難を契機に明らかになった様々な課題に向き合い、その先の時代を見据えて行動を起こしていかなければなりません。
また、内閣府が策定した「AI戦略2019」においては、AI時代に対応した人材育成や、それを持続的に実現する仕組みの構築が戦略目標に挙げられているとおり、デジタル時代の人材育成は国全体としての重要な課題であります。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進には、これまでの「デジタルを作る人材」だけでなく、「デジタルを使う人材」も含めた両輪の育成が必要であることから、全てのビジネスパーソンがデジタル時代の”コア・リテラシー”を身につけていくことが求められていると言えるでしょう。
現代を生きる誰にとっても「デジタル」は不可欠な存在であるにもかかわらず、場合によっては少し近づきにくい、そんな存在であることも事実です。デジタル化推進は、単なるITシステムの社会実装に留まるものではなく、それらを正しく理解して使いこなし、新しい社会を構想できる人材の育成も伴っている必要があります。
このような問題意識から、この変化の時代の多様な必須デジタルリテラシーとそのラーニングパスを明らかにする活動として、ITの利活用を推進するIPA、データサイエンティストのスキル定義や人材育成を支援するDSS、ディープラーニング技術の産業活用を推進するJDLAが連携し、IT・データサイエンス・AIの三方面からデジタルリテラシーの向上を目指し、新たな協議会「デジタルリテラシー協議会」として発足しています。
ビジネスパーソンが、最新の専門的なリテラシーを総合的に学び、「デジタル」の全体像を理解できるようにすること、それが「Di-Lite」なのです。
全てのビジネスパーソンが持つべきデジタルリテラシー「Di-Lite」とは
「Di-Lite」とは、”全てのビジネスパーソンが持つべきデジタル時代の共通リテラシー”と前述のデジタルリテラシー協議会では説明しています。
これだとかなりざっくりとした内容に感じますが、裏を返せばそれだけITの進化は早く、必要となるITスキルや知識は変化していくことから、毎年その領域定義をアップデートしていく必要があります。このような前提をもとに以下の領域を「Di-Lite」として定義しています。
IT・ソフトウェア領域に、デジタル時代、産業界において重要さが高まる「データ×AI」活用に関連した数理・データサイエンス、AI・ディープラーニング領域を加えた領域の基礎領域から、共通リテラシー領域を定義
また、デジタル変革の推進による、より良い社会(Society5.0)の創出に向け、ビジネスパーソンが身につけるべきデジタルリテラシー領域「Di-Lite」を示すために、デジタルに関連して習得すべきスキルや知識・マインドを構造的に全体像として表すと以下のようになります。
では、これらのスキル・知識はどのようにして学んでいくのでしょうか?
「Di-Lite」の習得
Di-Liteがどのようなものかは、なんとなくでもイメージできたと思います。では、これらのナレッジはどのように取得していくべきなのでしょうか。
デジタルリテラシー協議会では「Di-Lite」の習得に関して、以下の検定・試験の受験を推奨しています。
現状はスキルセットとして必要な内容を定義するフェーズにあり、”Di-Lite認定試験”のようなものが存在するわけではありません。
しかしながら、これらの試験や検定を指標とすることで、これから求められる”Di-Lite”人材になれることは明確になっています。
「Di-Lite」の今後
デジタルリテラシー協議会の第1回は、2021年夏に開催される予定です。
日本がグローバルで戦うための競争力の源泉となる人材の育成を目標に、「データ×AI」活用に関する教育環境を整え、デジタルリテラシーの見える化と、すべてのビジネスパーソンが共通言語としてデジタルリテラシーを身につけた状態を達成すべく、活動が行われます。
また、協議結果を構成する各団体が実施する検定や試験(ITパスポート試験、データサイエンティスト検定リテラシーレベル、G検定)のシラバスにも反映されるようになり、「Di-Lite」人材としての評価が今後確立されてくることでしょう。
見切り発車になる場合もありますが、一足先に勉強を始めておくのも良いかも知れません。
【執筆:編集Gp ハラダケンジ】
<参考>
IPA:プレス発表 「デジタルリテラシー協議会」設立のお知らせ
デジタルリテラシー協議会