自社ではどうしてる?マイクロソフトとパーソルがデジタル人材育成で協業

御社では情シス人材をどのように確保していますか?
情シスに限らず、クラウドや AI の知識を有し、DXを推進することができる”デジタル人材”は多くはないと言います。
そんな環境を変えるべく、日本マイクロソフトとパーソルグループのパーソルイノベーションが日本の DX 推進を目的にタッグを組み、リスキリング※の領域で協業を開始するという。
今回の協業の背景やサービスについて紹介する。

リスキリング (Re-Skilling)とは
個人においては「市場ニーズに適合するため、保有している専門性に新しい取り組みにも順応できるスキルを意図的に獲得し、自身の専門性を太く、変化に対応できるようにすること」、企業においては「従業員が社内で新たな業務に就けるようにするための再教育のこと」を指す。

 

日本で高まるデジタル人材の不足感と問題

日本では、労働人口が年々減少し 2030 年には 644 万人の労働力が不足すると言われており、結果として個人のはたらく期間は長くなり、「リスキリング」の必要性がこれまで以上に高まるといえる。
経済産業省は2019 年 4 月に、クラウドやAIの知識を有し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するデジタル人材は、需要の伸びが2~5%、リスキル率が2%と仮定した場合、45万人が不足すると「IT 人材需給に関する調査 (概要)」の中でレポートしています。
また、デジタル人材を育成するためには、構造的な課題・雇用環境に対する課題と並び、デジタル人材を育成するための機会の整備、能力評価やスキルの見える化の仕組みの整備が重要であると2021年3月のパーソル総合研究所「APAC 就業実態・成長意識調査 (2019 年)」でレポートされている。

企業では、新型コロナウィルスの影響を受け、急速に進むビジネス環境変化に対応するため、様々な企業でDXが喫緊の経営課題として大きな注目を集めています。
その一方、デジタル人材の不足感は強く、経済産業省 「第3回デジタル時代の人材政策に関する検討会」においても、推進組織は作ったが実際に DX化が進まない等の課題を抱える企業も多いと認識されている。
そのため、IT人材をリスキリングすることで、クラウドやAIの知識を有し、DXを推進するデジタル人材に育成することに期待が高まっていると言える。

では、何故このようなことになってしまっているのだろうか。
問題としては、以下二つがその理由に挙げられる。

  1. 企業における不十分な機会の整備
    旧来の人材育成のための研修やプログラムは、十分な機会の整備が行われているとは言えず、従業員個々のモチベーションにより学習継続、理解度などが大きく左右されるため、結果として、評価の軸となる資格取得が進まない状況となっている。
  2. 日本人の自律的な学びの不足
    パーソル総合研究所が日本の「はたらく意識」の特徴を国際比較調査したところ、日本ではたらく人の 46.3% が社外で自己研鑽していないことが明らかとなっている。 現代の日本の企業では、単なる研修の提供ではなく、自律的に継続するラーニングカルチャーの醸成が必要となっている。

このような状況を変えるために、日本マイクロソフトとパーソルイノベーションがタッグを組む。
マイクロソフトによれば、日本のデジタル人材育成に貢献するには、日本マイクロソフトの持つテクノロジーに関する豊富な知識、キャリアパス、プログラムを、多くの人に届けることが最も重要であるという。
その結果、リスキリングに着目、今回の「学びのコーチ」との協業スタートに踏み切った形だ。

「学びのコーチ」は、総合人材サービスを展開するパーソルグループのサービスであり、そのノウハウを活かし、技術者のリスキリングに特化したオンラインコーチングサービスであるという。需要の高まるオンラインでの研修に、パーソナライズされたキャリアコーチングとラーニングカリキュラムで、従業員個々に寄り添う “個別最適” の形を実現している。

これは、法人向けのエンジニア人材育成において非常に高い成果を出しており、今後は Microsoft Power Platform などをターゲットにしたビジネス系人材のデジタルスキル醸成にも取り組んでいく予定としている。

 

気になるその内容

「学びのコーチ」は、総合人材サービスを提供するパーソルグループのノウハウを活かした、リスキリングに特化したオンラインコーチングサービスであることは前述の通りだ。
コロナ禍ということもあり、需要の高まるオンライン研修において、パーソナライズされた「キャリアコーチング」と「ラーニングカリキュラム」という点では”本人任せ”とならず、結果につながる感もある。
「従業員個々に寄り添い、“個別最適”の形を実現する」という理想がどこまで達成できるのかが鍵であろう。

では、どのようなステップで寄り添ってくれるのだろうか?

「学びのコーチ」の特長 ~5 つの Step で「個別最適化」を実現、成果につながる学習へ~

【Step1: 準備期間】「カリキュラムプランナー」が研修を設計
企業の研修目的に沿った学習計画を設計し、学習者のレベル別に難易度調整が可能なカリキュラムパターンを構築

【Step2: 学習開始時】「キャリアコーチ」がキャリアにつながる目標設定を支援
はたらく個人に長年寄り添ってきたパーソルのキャリア支援ノウハウを元に、志向性や価値観を引き出しながら、キャリアと学習がリンクする目標設定を支援。モチベーションを高め、主体的な学習へ導く

【Step3: 学習期間中】「テクニカルコーチ」が、学びのつまずきを防ぐ
学ぶ内容を熟知した「テクニカルコーチ」が、週に一度の個別セッションで学びのつまずきを解決。モチベーションダウンや挫折を防ぐ

【Step4: 学習期間中】「仲間 (学習者)」同士が共に助け、励まし合う
学習者同士のチームを組成し、共に教え合う・励まし合う・刺激し合う環境を提供。「ラーニングカルチャー」の醸成にもつながる

【Step5: 学習終了時】「キャリアコーチ」が継続的な学習意欲を引き出す
学びを通じた意識変化も確認しながら、今後のキャリアを見据えた総括を実施。今後の自律学習への動機づけにも

果たしてその成果は

本格的なサービス展開に先駆け、クラウドスキル認定資格※ 取得を目指す学習において、学習継続効果の実証を行っている。
実証では、学習計画達成率 100%、合格率 70%、継続学習意欲 80% となり、過去に実施した集合研修と比較して合格人数当たりのコストパフォーマンスは 280% 良化している。

※Microsoft Azure Administrator (AZ-104) ならびに、AWS 認定 ソリューションアーキテクトーアソシエイト (AWS-SAA)

 

実証実験結果を見る限り、良好な結果と言えよう。
DXを推進する人材には、クラウドやAIなどのIT知識のみならず、事業戦略を考える能力も必要である。最終的にどのようなカリキュラムとなるのか、今後も注目していきたい。

 

【執筆:編集Gp ハラダケンジ】

 

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