ITインフラストラクチャサービス利用者調査:リモートアクセスがまだ必要?-IDC

IDC Japanは、国内企業および団体691社のCIO、IT部門マネージャーまたはそれに準ずる人を対象としてITインフストラクチャサービスへの投資動向に関する調査を行い、その結果を発表している。

2019年度のIT予算に占めるITインフラストラクチャ向け支出比率は、従業員規模が大きいほど高く、また産業分野別では、金融と通信/メディアを中心に高い傾向が見られる。しかし、支出金額における対前年度比推移を見ると、金融など一部の産業分野では、アプリケーション向けの支出拡大の影響でITインフラ向けの支出金額は縮小している。

また、ITインフラストラクチャ向け支出をテクノロジー領域の観点から見ると、2019年度に最も投資された領域はサイバーセキュリティ領域であった。
その一方、2020年度に投資を計画/検討中の領域を見ると、COVID-19の感染拡大に伴う在宅勤務導入に対する需要の拡大を背景に、リモートアクセスの回答率が上がっている。特に中堅企業では、14.9%(2019年度実績)から24.1%(2020年度計画/検討中)へと大幅に上昇している。

 

2020年に投資を計画/検討しているITインフラ分野テクノロジー領域(従業員規模別)

Notes:
・n=691
・複数回答
・全体で回答率が高い順に上位5項目を抜粋
Source: IDC Japan, 8/2020

クラウドインフラストラクチャサービス(IaaS型パブリッククラウド、オンプレミス型/ホステッド型プライベートクラウド)の利用状況を見ると、従業員規模に比例して「利用している」との回答率が高くなっている。
また、ハイブリッド/マルチクラウドの利用についても同様である。そのため大企業では、中堅企業/中小企業に比べて、これらに対するケイパビリティを重視する傾向が見られる。

現在、多くの企業/団体のIT部門では、サイバーセキュリティとコスト削減をITインフラストラクチャ領域における大きな課題と認識している。それらを背景に、ITインフラストラクチャ向け支出比率の高い企業では、クラウドや仮想化の活用による、ハードウェア機器やその保守/運用費用の縮小などによって、ITインフラストラクチャ領域のコスト削減を図っていると考えられる。

2020年度は、COVID-19の感染拡大を背景に、中堅/中小企業も含めリモートアクセスへの投資意欲が高まっており、それをトリガーとした新規顧客開拓のチャンスが訪れているともいえる。
但し、中堅/中小企業ではITインフラストラクチャ向けの要員や予算が少なく、ベンダー側にとっても中小規模の案件を数多く手掛けることになるため、効率的かつ低コストでサービスを提供できるようサービス設計をする必要がある。

「中小規模のITインフラ環境を包括的にサポートする、クラウドも活用した標準化/定型化されたメニューの充実が求められる」と、IDC Japan ITサービスのシニアマーケットアナリストである吉井 誠一郎氏は分析している。

 

今回の発表はIDCが発行した2020 年 国内 IT インフラストラクチャサービス利用者調査 にその詳細が報告されている。本レポートでは、ユーザー企業のITインフラストラクチャ領域におけるサービスへの支出動向、課題や取り組み、クラウドインフラストラクチャサービスの利用動向などに対する調査結果とそれに基づく分析をまとめている。


本レポートは、IDC Japan様のプレスリリースの内容を元に作成しております。
ソース:https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ46793020

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