中小企業向けテレワーク(在宅勤務)ツール14選~コラボ業務編~

新型コロナウイルス対策をきっかけにテレワーク(在宅勤務)が急増!でも、本当に使いやすいテレワークツールってどのように選べば良いの? 円滑なテレワークを実現する3か条に沿って厳選したツールを紹介します。

リモートワーク・テレワークの実施にあたっては、顔も作業状況もみえないことから、職場に出勤して作業している以上に自ら積極的な情報発信が必要となります。
「(上司やチームメンバーが)みてくれているだろう」ではなく、「これだけやったよ」と発信するマインドに切り替えられないとコミュニケーション不足により、誤解を招いたり、無駄な作業になる場合もあります。

ツール選びの前にまずはリモートワーク/テレワークを円滑に進めるためのポイントをおさらいしておきましょう。

 

リモートワーク/テレワークツールを選ぶときに重要な視点

Web会議システム・共有ストレージ・コミュニケーションツールは、テレワークの三種の神器と言っても過言ではありません。極端な話、電話とメール、ローカルストレージでやりくりしてできないかと言えばそんなこともありません。しかしながら、情報更新頻度やミスのリスク、セキュリティなどを考慮すると効率の良い方法とは言えません。
故に最低限、これらの役割を担うツールが揃っていないと今の時代のテレワークは成り立たないと思われます。
そして、これらのツールを比較検討するときに指標となるのが、次の「円滑なテレワークのための三つの視点」です。この三つの視点とはいったいどんなものなのでしょうか。

1.現状の可視化に役立つ

テレワークでは、お互いの顔や作業状況なども見えないため、オフィスでの作業と比べると在席中/離席中や業務の進捗状況が分かりにくいともいわれます。個人の業務状況を可視化して、チームの透明度を高められるツールの選択が求められます。

2.進捗状況が報告しやすく、見やすい

業務の進行中・完了というステータスを、簡単なアクションでチームに通知できるツールであることも重要です。
報告するという操作に手間がかかるツールは、“報連相:報告、連絡、相談”の遅れを招きます。
但し、ステータス管理は運用方法を工夫することで機能不足をカバーすることもできますので、業務全体の効率を考えて選択する必要があります。

3.テレワークしない社員も使いやすい

会社がテレワークを推奨したとしても、職種や自宅の環境によってはテレワークができない場合もあります。
理論上はオフィスや工場などあらゆる場所で使いやすいツールである必要があります。しかしながら、これについても運用面でケアできることもあり、全体最適と個別最適のバランスが求められます。

次項より、これら三つの視点で厳選したテレワークツールを紹介していきます。

 

仮想オフィス

在席・離席がわかるだけでなく、リモートワークでは失われてしまう、オフィスで自然とできていたコミュニケーションをヴァーチャルに実現するためのツールになります。
実際の作業は孤独なのかもしれませんが、そう感じさせないことは生産性向上のカギかもしれません。

Remotty


(画像出典:Remotty

「Remotty」は「納品のない受託開発」を展開するソニックガーデンが自社での利用の為に開発したツール。
同社はコロナ禍以前の2016年に本社オフィスを廃止、全社員がリモートワークで仕事をしています。また、最近になってワーケーションという言葉を目にする機会が増えましたが、同社では立ち上げ期から実施していた筋金入りのオンラインファーストな企業であり、その経験が本サービスに活かされています。

「Remotty」は自社の企業活動を最大化する目的に開発されており、使い勝手はなるほどと思う部分も多くある反面、その生い立ちゆえに同社の哲学を感じる部分もありますが、自社で実際に使い、改良されてきたという点では現場目線で作られたサービスです。

機能的な制限はありますが、10人まで使える無料版もあり、簡単に”まずは試す”ができるのもありがたいです。

  • 10名利用時:月額20,000円(ストレージ容量20GB、税別)
    ※以降10名単位で追加(51名以上は別途問い合わせ)

Sococo Team Space

(画像出典:株式会社テレワークマネジメント HPより)

「Sococo Team Space」は米国Sococo(Social Communications Company)が提供する、インターネット上でのソーシャルコミュニケーションサービスです。オフィスでも在宅勤務でも『一緒に仕事』ができることを目指して開発されています。
”同じ空間にいる”ことはアバターを介して知らせることができ、このアバターを操作することで、文字や声、映像で、場所が離れていても社員間で簡単にコミュニケーションをとることができます。

ヴァーチャル空間に構築されるオフィスレイアウトも30種類以上から選べるなどゲーム的な要素も加わっており、リアルなオフィス環境の雰囲気をヴァーチャルでも感じられるように作られています。

国内代理店もあるので、海外サービスで直接の申し込みが苦手な方はそちらで調達することも可能です。

  • OFFICE SUITE(2-49人利用時):月額$13.49/ユーザー(参考:国内代理店経由 月額2500円(外税)/ユーザー)

Walkabout Workplace


画像出典:日立 HPより)

Sococo同様、米国Walkabout Collaborative社が提供するクラウドサービスです。
機能的にもSococoにとても近い部分はありますが、Walkabout Workplaceではアバターではなく、写真などのアイコンで仮想オフィス上に表示されます。アイコンにはステータスが表示されるので、今、話しかけて良いのか悪いのか一目でわかるようになっています。

また、会話の開始は”ドアノック”から始まったり、自分のオフィスルームは好きな風景や画像にアレンジすることもできるなど遊び要素も込められており、あたかもオフィスにいるような感覚となるように演出もされています。

国内では日立ソリューションズが代理店となっている。

  • 2-49人利用時:月額$18/ユーザー(国内価格はオープン)

 

Web会議システム

組織で働く以上、部門や業種に関わらず会議や打ち合わせは必要不可欠です。テレワークにおいて、会議室の役割を担うのがWeb会議システムです。

Zoomミーティング

(画像出典:Zoomミーティング

「Zoomミーティング」は、ビジネスだけではなくプライベートでも使用する人が多い有名なWeb会議ツールです。
Zoomアプリのインストールが必要なものの、Windows・MacOS・Android・iOSなど多くのOSに対応しているため、インストールできないデバイスはほぼありません。
招待者はアカウント登録をせずにWeb会議に参加することもでき、最近流行りのWebセミナー(ウェビナー)に最も使われているのではないでしょうか。
この「Zoomミーティング」でユニークなのが、ビデオブレイクアウトルーム機能です。
ビデオブレイクアウトルームは、ホストが参加者を小グループに分割できる機能で、例えば、20人で行っているオンライン研修中、5人ずつ4つのグループに分割して各グループ内だけで話ができるように設定できます。
Web会議では、発言者以外の参加者が、会議に集中しているのかが分かりにくくなりますが、このように会議の合間に小グループに分けたセッションも気軽に組み込めるため、会議参加者の参加態度も見やすくなります。
利用種別によりプロ、ビジネス、企業、教育向け、遠隔医療向けなど様々な料金プランが存在します。もちろん無料で使うことも可能ですがグループミーティングが40分に制限される、ユーザ管理ができないなどの制約もあります。

  • 「Zoomミーティング」プロ版:月額2,000円/IDごと(税別)

V-CUBE ミーティング

(画像出典:V-CUBE ミーティング

V-CUBEは、国産サービスとして高いセキュリティ、プライバシーポリシー、導入サポート、導入後の電話などによる24時間365日運用サポートなど背景に、企業や自治体で多くの導入実績があり、全国の知事が議論する会議のプラットフォームとしても利用されています。
このようなパッケージサービスを提供してきたブイキューブが提供するWeb会議(ウェブ会議)「V-CUBE ミーティング」は、PCやモバイルなど様々な環境で使用できる、HD対応の映像と高い接続性を誇る高品質のクラウド型サービスです。「V-CUBE ミーティング」は、IDごとの課金ではなく最大接続数(ポート)での課金です。IDの作成は必須ではなく、必要に応じて作成することができるという特徴があります。

クラウド型のシステムの多くは、利用者ごとにユーザIDを作成する必要がありますが、「V-CUBEミーティング」は、IDを作成せずとも招待用URLを発行すれば、IDがないユーザもブラウザから会議に参加でき、テレワークしない社員にも受け入れやすいツールではないでしょうか。

また、「V-CUBE ミーティング」は、Office365との連携が強化されています。Microsoft 365(旧Office 365 Business)を導入済みであれば、Azure AD連携でのシングルサインオンや、Outlookアドインを使い、Outlook予定表へWeb会議の予約登録ができます。IDの二重管理を避けたい企業や、スケジュール管理を簡略化したい企業には便利です。

  • 「V-CUBE ミーティング」ローカルプラン:月額11,000円/1ポート(=最大接続数:50名)(税抜)

 

共有ストレージ

開発部門やクリエイティブ部門などでは、開発資源や資料・制作物など大容量データを管理する必要があります。
フォルダ構成や運用は各部門に任せられるよう、シンプルで柔軟なシステムを選ぶことが肝心です。

Box

(画像出典:Box

モルガンスタンレー・イーライリリー・アストラゼネカなど海外でも大企業をはじめとし、政府機関にも採用されている「Box」。国内でもその信頼性から大手企業を中心に多数採用されています。
Boxはその数ある特徴の中でも、特にセキュリティ面の機能が評価されているといえます。外部からの攻撃はもちろん、7段階から選択できる権限設定・詳細に設定できるセキュリティポリシーなど、内部からの攻撃に備える機能が充実しています。

また、Businessプラン以上はどのプランでも容量無制限と、容量を気にせずに使えることも安心できます。

尚、従来は米国内の3カ所のデータセンターを利用してデータを保管していましたが、Box Zone Japanのサービスを利用することにより、(国内法が適用される)日本国内のデータセンターにデータを保管できるのも魅力の一つではないでしょうか。

  • Box(Business Plus:容量上限なし):月額2,850円

Dropbox Business

(画像出典:Dropbox Business

クラウドストレージの草分けであり、5億人以上のユーザーがいるとされる「Dropbox」。米国では「フォーチュン500社」のうち、5割以上がいずれかの部門でオンラインストレージに「Dropbox」を利用していると言われています。そのDropboxの法人向けクラウドストレージサービスが「Dropbox Business」です。

法人向けの「Dropbox」の特徴は、他のオンラインストレージサービスと比較し、情報共有が簡単にできるということではないでしょうか。同期が高速、マルチデバイスによるアクセスが可能、このようなベースがあり情報共有がスムーズかつ簡単に行なえるといえます。また、他の多くのアプリと連動することができ、さまざまなアプリとシームレスに使えることで、作業効率の向上にもつながります。

さらに付け加えるのであれば、情報のセキュリティ管理や削除ファイル復元などのファイルの保守性も充実しています。
例えば、管理者はメンバー全員に2段階認証を設定させることができまし、紛失したデバイスから「Dropbox Business」を自動的に削除する遠隔削除機能も用意されています。

  • Dropbox Business(Standard:2TB):月額1,250円

Adobe Document Cloud

(画像出典:Adobe Document Cloud

テレワーク環境を実現するため、紙文化から抜け出すために企画書・契約書・請求書などの文書をPDF化するのにPDFフォーマットを利用している企業も多いのではないでしょうか?

このPDF形式のファイルは様々な方法で作成できますが、PDFファイルの編集や電子サインの利用目的でAcrobat Pro DCを採用している企業もあるでしょう。このサービスに含まれる、「Adobe Document Cloud」を共有ストレージとして活用することも一つの方法です。

例えば、Acrobat Pro DCで文書をPDF化した後、ワンクリックでそのPDFをAdobe Document Cloudへ保存できるため、PDFの文書が多いチームであれば効率アップに繋がります。少しレアな使い方かもしれませんが。

  • Acrobat Pro DC:月額1,580 円(税別)

Handbook


(画像出典:Handbook

「Handbook」は”スマートでない場所もスマートにする”というコンセプトの共有ストレージです。
文書・画像・動画などをクラウドで集中管理して、タブレットやスマートフォンで活用できます。
テレワーク中の社員はもちろん、緊急で工場に出社している社員などパソコンがない環境でっても使いやすいことに注力したツールです。

  • 「Handbook」Standard標準(1GB):月額25,000円/50ユーザ(税別)

DirectCloud-BOX

(画像出典:DirectCloud-BOX

一瞬、Boxと勘違いしてしまいそうな「DirectCloud-BOX」ですが、ファイル転送サービスという役割も担えるサービスです。
文書以外の様々なファイルも共有可能なのはもちろんのこと、ユーザ数が無制限であるため、社内でのファイル共有のみならず、社外とのやりとりにも使い勝手の良い共有ストレージとして定評があります。

大きな特徴は、33種類のファイルに対応したプレビュー機能です。動画や音声をダウンロードすることなく「DirectCloud-BOX」上でプレビューできます。常時Syncをしていない限り、クラウドストレージを使いこむとこのプレビュー機能のありがたみを感じることでしょう。

  • 「DirectCloud-BOX」ベーシック(100GB):月額10,000円
  • 「DirectCloud-BOX」ビジネス(2TB):月額90,000円

 

コミュニケーションツール

プロジェクトの管理やチーム内でのコミュニケーションに使用するツールです。
会議のようなフォーマルな話ではなく、オフィスでの立ち話やちょっとした会話の代わりとなるやりとりを担うのが「コミュニケーションツール」です。
しかしながら、昨今はメールに変わるスピード感のあるコミュニケーションの為に利用され、社外とはメール/社内はコミュニケーションツールという使い分けをされているところもあります。

Slack(スラック)

(画像出典:Slack

チーム別・プロジェクト別・顧客別など、個別にグループトークできる空間を作る「Slack」。
グループトークはChatWorkやLINEにも機能がありますが、Slackは“単なるチャットツールではなく、ビジネスコラボレーションハブ”という位置づけを目指しています。
これは他社サービスと連携することで、Slackから離れることなく、Slack内でアクションを実行し、Slackだけで完結することができるのです。

例えば、勤怠管理。無料の勤怠管理システムIEYASUは「slack打刻」機能があり、SlackのワークスペースにSlackApp「IEYASU勤怠管理」をインストールすることで、Slackから出勤・退勤・休憩開始・休憩終了の打刻を行うことができます。


(画像出典:IEYASU勤怠管理 HP より)

ワークフローの一部として機能することができるのもSlackならではかもしれません。

またSlackでは、アカウントが管理者であれば、すべてのメンバーのプライベートメッセージをダウンロードできます。理由は、Slackはビジネス用途を前提としたツールであるため、管理者権限ですべてのアカウントの情報が閲覧できるようにし、万が一のトラブルに備えられるよう設計されています。チームの可視化という点で秀でたコミュニケーションツールです。

  • 「Slack」スタンダード:月額960円/1名(月払いの場合)

LINE WORKS(ラインワークス)


(画像出典:LINE WORKS

「LINE WORKS」は、多くの人が使っているLINEにビジネス機能を付加したツールと考えて相違ありません。
それ故、ツールを使いこなすための研修などが一切不要で、プライベートのLINEを使う感覚で、企業内でのコミュニケーションができるのが、「LINE WORKS」の一番のメリットと言えるでしょう。

“了解”や”承知”、”完了”など使い慣れたスタンプで、プライベートのLINEのときと同じように、気軽に進行中や完了を連絡できるため、報告が滞りにくい環境にできるかもしれません。

  • 「LINE WORKS」ライト:月額360円/1ユーザ(月払いの場合)(税別)
  • 「LINE WORKS」ベーシック:月額600円/1ユーザ(月払いの場合)(税別)

Chatwork(チャットワーク)

(画像出典:Chatwork

「Chatwork」もビジネスに特化したコミュニケーションツールですが、機能が豊富でビデオ通話・音声通話機能やファイル共有機能があり、Web会議システム・共有ストレージとしても活用できるツールです。
「Chatwork」では、チャット画面と同じ画面にタスク管理が配置されているため、進行中や完了などの進捗管理をメッセージと共に行うことができます。

  • 「Chatwork」ビジネス:月額600円/1ユーザ(月払いの場合)

 

コラボレーションツールをまとめて1つのシステムで

Web会議システム・共有ストレージ・コミュニケーションツールをまとめて最速で導入したいなら「Microsoft 365」という選択もあります。

Microsoft 365


(画像出典:一般法人向けMicrosoft 365

Web会議・共有ストレージ・コミュニケーションツールのいずれも導入したことがなく、これからすべて準備したいという企業であれば、“ビジネスアプリケーションの全部入り”である「Microsoft 365」を採用するのがおすすめです。
統合ソフト故の自社のワークスタイルへのマッチという点では多少「我慢」する部分もあるかもしれませんが、この機会にプチDXではありませんが、Microsoft 365の効果を最大化するワークスタイルに変えてしまうのも一つの手かもしれません。

また、Excel、Word、PowerPointというビジネス定番アプリを使っていないという方は”G Suite派”なのかもしれませんが、これまでOfficeアプリケーションを使われてきた方々にはOffice 365 Business Premium改め、「Microsoft 365 Business Standard」がおススメです。

「Microsoft 365」では、共有ストレージとして、ファイルの保存と共有ができる1TBの”OneDriveクラウドストレージ”を含んでいますし、ローカル環境にデータを保存しないように運用することもでき、PC紛失時のデータ流出問題も解決できます。(但し、通信環境によっては動作に支障がでることも)

OneDriveクラウドストレージでは、社外の取引先とファイル共有するためのダウンロードリンクの生成も可能です。

また、Web会議機能として、最大250ユーザでオンライン会議ができる”Microsoft Teams”が含まれています。さらにこのMicrosoft Teamsには、コミュニケーションツールとして使える、チャット機能も含んでいるのです。

そして昨今のテレワーク(在宅勤務)を考慮し、より高度なセキュリティやデバイス管理が可能な「Microsoft 365 Business Premium」とう選択肢もあります。

  • Microsoft 365 Business Standard:月額1,360円/1ユーザ(年間契約)

 

 

テレワークツールの選択に迷ったら、現状の可視化に役立つ・進行中/完了が報告しやすく見やすい・テレワークしない社員も使いやすいという3つの視点から選べば間違いありません。
また、頭で考えるだけでなく、まずは使って様子を見るというのも大事な要素だと思いますので、無料版の有無、トライアル期間の有無まで含めて吟味することが必要です。

次回は、テレワークの勤怠管理やリモートデスクトップなど、テレワークツール~バックオフィス編~をお送りします。

 

【執筆:編集Gp 近藤真理】

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