今から始めるテレワーク!#2 テレワークの環境に必要な要素

新型コロナウィルスが日本全国に広がりつつある今、国を挙げてテレワーク(在宅勤務)が求められています。
普及のきっかけが新型コロナウィルス(COVID-19)をきっかけにテレワークが加速するとは皮肉なものですが、治療薬・予防薬ができるまでは、企業としてもできることをやっておく必要があるでしょう。
そうは言ってもここにきて一気に実施を求められるようになり、何をしたらよいのかわからないといった方もいらっしゃるのではないでしょうか?

本シリーズでは、仮想の電気・計装設備工事会社における導入までのストーリーを例にこれからテレワークを導入するに必要なことを紹介します。
第2回は「テレワークの環境に必要な要素」です。

前回はテレワークを導入するにあたっての準備を行いました。現状の業務及びそれに用いているアプリケーションについて把握したことと思います。
今回はその把握した業務をどのようなツールを利用してテレワークを実現するのか見ていくことにしましょう。

おさらい

まずは前回のおさらいをしたいと思います。


会社:電気・計装設備工事会社 T社
対象:本社勤務者(約20名)
   ※現場事務所は対象外だが、現場事務所とのコミュニケーションには考慮
現状の業務利用アプリケーション:
 全社員共通:OUTLOOK(メール、スケジュール)、Microsoft Office Business(Excel、Word、PowerPoint)
 社長&顧問:なし
 工事部:Adobe Acrobat、電気図面用CAD、電気工事積算ソフト
 営業部:なし
 経理部:勘定奉行、給与奉行
 管理部:なし
 その他:ファイルサーバー(共有PC)


前回、このような業務内容の整理ができたと思います。では、次に何をすべきなのでしょうか?
それは業務で必要なアプリケーションと通信(ネットワーク)の関係性を知ることです。

クライアント&サーバー型のアプリケーションには要注意

ローカルにインストールされているアプリケーションは、基本的にスタンドアロンでも動作します。もちろんメールやWebブラウザのようにインターネットに接続していないと意味をなさないアプリケーションもありますが、ExcelやPowerPointなどはローカルに動作します。

しかしながら、クライアント&サーバー型のアプリケーションは社内に設置してあるサーバーと連携して動作するため、対応が必要となります。 その場合の選択肢としては以下の二つになります。

1)外部から社内ネットワークに接続できる環境を構築する
2)利用しているアプリケーションを他の方法に置き換える

その会社ごとに規模やネットワーク環境なども違いますので、どちらかが正解ということはありません。しかしながら、現状の使い勝手・セキュリティレベルを維持しつつ、外部接続環境を構築するにはそれなりに知識が必要です。
それであれば、いっそのこと既存のアプリケーションをクラウドベースのサービスに移行することの方が手っ取り早いかもしれません。

それではT社での対応を見ていくことにしましょう。

Aさん:「本社メンバーの業務についてはおおむね把握できましたね。」
Cさん:「この次は、何をどう決めればよいのでしょうか?」
Bさん:「まずは外にPCを持ち出すことで影響を受けるアプリケーションがあるかを調べるんだ。」
Cさん:「そうか! ローカルPCにインストールされているアプリケーションは単独で動作しますもんね。」
Bさん:「幸か不幸か、わが社で影響を受けるのはデータ共有の為のファイルサーバーくらいですかね。」
Aさん:「そのようですね。これならあまり大きな変更を要さずに導入できそうですね。」

このようにT社では、これまで紙&Excel中心に業務が構成されていたこともあり、業務のシステム化はほとんど進んでおらず、唯一は社内でデータを共有するためのファイルサーバだけがネックとなっています。
このようなシステム化されていない企業は少ないのではないかと思われるかもしれませんが、「平成30年度 中小企業実態調査(生産性向上の取組支援調査事業)」の結果からも、そうレアケースでないことが見て取れます。


<データ出典:平成30年度 中小企業実態調査(生産性向上の取組支援調査事業)

従業員数31人から300人までの企業を見るとインフラやPCサプライを除くと「財務・会計管理のパッケージソフト」、「給与のパッケージソフト」、「その他各種パッケージソフト・ライセンス」の比率が高い。
実際、T社のような中小の電気・設備工事会社などでは今回のようなケースも多いと思います。

では、現状のファイルサーバーをテレワークで使えるようにすればいいのでしょうか?
単純にファイルサーバーの代わりを探すだけではなく、テレワークをした場合の全体像を描きながら選定することが必要です。

テレワークのイメージを固める

オフィスでの使用状況と自宅での使用状況を考えてみましょう。

このT社では、テレワークを導入するためには共有ファイルサーバーの代わりになるサービスを導入することで、ほぼ通常業務は可能となります。先に述べたように、VPNを導入するなど社内ネットワークに外部から接続できるようにすることもできますが、構築費用と運用費用がかかりますし、管理メンテナンスの手間もっかります。故に今回のようなケースではデータ共有が可能なオンラインストレージサービスを利用することが望ましいかと思います。

社内のファイルサーバーはオンラインストレージに乗り換える

オンラインストレージとは、端末内や社内のファイルサーバーに保存していたデータやコンテンツを、外部のクラウド上に保存するためのサービスです。ユーザーはインターネット経由でサービスにアクセスして、IDとパスワードを入力することで自社(自分)専用のストレージ領域を利用することができます。
オンラインストレージは大抵の場合、個人向けと法人向けがあります。(もっと細かいプランを設定しているところもありますが)個人向けでも大量のファイルを保存するためのストレージ領域や、他のユーザーとファイル共有するための機能が備わっています。但し、法人向けでは個人向けに提供されるオンラインストレージと同様の機能以外に、チームと個人に分けて共有フォルダを作成したり、サービス上でワークフローを回したり、共同編集といったコラボレーションができるなど、よりビジネス利用に特化した機能を提供しています。
ですので、その利用にコストは発生してしまいますが、ビジネス向けのサービスの利用をお勧めします。

またオンラインストレージサービスにはBox、Dropbox Business、OneDrive(Microsoft)、Google Driveなど様々なクラウドサービスが存在します。機能や金額などに違いはありますが、まずは自分になじみが良いサービスを使ってみるとよいのではないでしょうか。「習うより慣れろ」がクラウドサービスには大事なポイントです。

その他に注意すべきこととは?

オンラインストレージサービスを使うことで社内のファイルサーバーと同じことができるのはご理解いただけたと思います。
しかしながら、テレワーク環境構築のためのサービス選定となると他にも気を付けるべき点があります。

  • セキュリティ
  • 社内コミュニケーション(Web会議ツール、チャット、スケジュール共有など)

少なくとも上記の二点には配慮しておく必要があります。 社内と同じ環境ではない自宅のネットワークを利用しても情報漏洩等が起きないようになっているのか、また、テレワークに重要と言われる社員間コミュニケーションをどうやってケアしていくのかということも大きなポイントになるでしょう。

 

次回は「テレワークでおさえておくべきセキュリティ」についてご紹介します。

 

【執筆:編集Gp ハラダケンジ】

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