【実践・情報セキュリティ講座】ハードディスクのデータはフォーマットしても消えない
古くなったPCをどうしていますか?
「そのまま残している」「速度は遅いけど、まだ使えるので知り合いにあげた」「オークションに出して売った」など、処分にはいろいろな方法があります。
では、古いPCを処分する場合、PCに入っていたデータはどうしましたか?
「必要なデータのバックアップをとってから、ハードディスク(HDD)をフォーマットしました!」。
いえいえ、それだけではまったく不十分なのです!
HDDはフォーマットしただけではデータは消えない
フォーマットしただけではPCに入っているデータは消えません。ハードディスクにはIDやパスワード、住所録や電子メールのアドレス帳がそのまま残っています。もし第三者の手に渡れば個人情報の漏えいになってしまいます。
ハードディスクは2つの部分から構成されています。
1つはファイルを管理している部分でファイル名やハードディスクのどこにデータが入っているかの位置情報、また作成日等の情報が入っています。ファイル管理部分はハードディスク全体のごくわずかな領域です。マイドキュメントでフォルダーを開けるとファイル一覧が出てきますが、このファイル管理部分の情報が表示されます。
もう1つが実際のデータが入っている部分で、ハードディスク全体のほとんどを占めます。ファイル名をダブルクリックするとファイル管理部分の情報を見てハードディスクのどこにファイルが格納されているかが分かるので、実際のデータを読み出し、ファイルの内容が表示されます。
「フォーマット」っていったい何をしているの?
いらなくなったファイルをゴミ箱に入れると、ファイル管理部分のファイル情報が書き換えられファイルの位置情報などが消されます。ただし、データはそのままハードディスクに残っています。
「フォーマット」っていったい何をしているの?
いらなくなったファイルをゴミ箱に入れると、ファイル管理部分のファイル情報が書き換えられファイルの位置情報などが消されます。ただし、データはそのままハードディスクに残っています。
フォーマットはこれを大々的に行っているだけで、ファイル管理部分を全てきれいにしますが、ファイルのデータはそのまま残っています。PCショップへ行くとファイル復元ソフトを売っていますが、これは誤ってフォーマットした時などに使うソフトで、ハードディスクに残っているデータを救い出して復旧しています。
つまり、フォーマットしてからPCを処分したとしても、ハードディスクに残っているデータは取り出せるのです。
古いPCはどう処分したらよいのか?
PCを処分する時はハードディスクのデータを完全に消す必要があります。ディスクの内容を完全に消去するソフトが販売されています。ハードディスクのデータ部分を含む、全ての領域にゼロなど意味のない文字を3回以上、書き込んでしまうソフトです。ハードディスク全体に書き込むので、時間はかかりますが消去は確実です。
もう1つの方法は物理的に壊すことです。PCからハードディスクを取りだして、叩き壊すのが一番です。しかし、PCを地面にたたきつけるだけではダメです。
完全消去にしろ、物理的に破壊するにしろ、専門業者に依頼したほうが安心かも知れません。
情報漏えい事件へと発展するケースも
市の水道局職員が個人で買ったノートPCを職場に持ち込んで使っていました。PCが古くなったので、妻に壊して捨てるように頼んでおいたところ、妻は夫に言われたとおり地面にPCを叩きつけてゴミとして出しました。
ところが、耐衝撃性が向上した現在のPCは少々のことでは壊れません。ゴミを拾った男性が立ち上げたところ無事に起動でき、情報漏えい事件へと発展してしまいました。これは、職員全員にPCの支給が行われていないため、私用PCを持ち込まざるをえなかったことが、そもそもの原因です。
怖いのは業績が悪化した企業です。倒産時のゴタゴタからデータ消去がうやむやになり、資産処分としてPCが格安で放出され、PCを買った人が個人情報を見つける事件も発生しています。
【教訓】 古いPCを処分する時は、できれば専門業者に依頼してハードディスクを完全消去か物理的に破壊すべし