プロビジョニングとは?活用事例を交えて分かりやすく解説!

IT業界に従事している方であれば、プロビジョニングという用語を耳にする機会も多いかと思います。ただし、まだ経験の浅い新米エンジニアの中には「聞いたことはあるけど詳細な意味は分からない」という方もいるのではないでしょうか?
そこで本記事では、プロビジョニングについて詳しく解説します。基本的な概要はもちろん、代表的な種類もご紹介。具体的にイメージしやすいよう事例を交えての解説も行いますので、ぜひ参考にしてください。

 

プロビジョニングとは

IT業界におけるプロビジョニングとは、ユーザーに設備やサービスを迅速に提供するための準備を指す言葉です。供給や準備、対策などの意味を持つ「provision」が語源といわれています。
もともとプロビジョニングは、通信事業者が加入者の要望に応じて、ネット回線を開通するまでの一通りの作業工程を指していました。その後、他分野でも資源の割り当てや初期設定の工程を指す用語として使われ始めたようです。
現在、IT業界でも幅広い領域・分野でプロビジョニングが行われており、サーバーやストレージなどに深く関連する用語としても認知されています。
本来の準備や供給といった言葉の意味合いは変わりませんが、用途の拡大に伴って、プロビジョニングの概念にもさまざまな意味合いが含まれるようになりました。

 

代表的なプロビジョニングの種類

プロビジョニングには、下記のような種類が存在します。

  • シンプロビジョニング
  • ユーザープロビジョニング
  • サービスプロビジョニング
  • サーバープロビジョニング

それぞれ対象となるサービスが異なるだけでなく、本来とは多少意味合いの異なるケースもあります。プロビジョニングへの理解を深めるためにも、各種類の詳細を把握しておきましょう。

シンプロビジョニング

シンプロビジョニングとは、本来の準備や用意といった意味から少し離れ、システム導入手法の一種を指す用語です。
具体的には、ハードディスクやSSDといったストレージを個別管理するのではなく、仮想化ソフトによって、複数の記憶装置をまとめ一つの記憶領域(ストレージプール)として扱う方法を指します。
コンピューター内の記憶領域を必要な時に必要な分だけ割り当てられるため、柔軟かつ効率的なシステム管理が可能です。また、容量の拡張も容易にできる点も、便利なポイントといえます。
シンプロビジョニングはクラウドストレージなどに活用されており、代表的な例として「iCloud」や「Googleドライブ」が該当します。
なお、シンプロビジョニングを採用する場合、システム導入の準備=プロビジョニングがほとんど必要ありません。そのためプロビジョニングに「薄い」という意味を持つ「Thin(シン)」を合わせて、「準備の必要が薄い手法」であることを表しています。

ユーザープロビジョニング

ユーザープロビジョニングとは、サービス内のアカウントを利用するまでに発生する一連の準備工程のことです。サービス利用に伴って、会員登録が必要なシステムやアプリには、必要な作業となります。
具体的な作業内容として、アカウント情報の登録やIDの設定などを行うため「アカウントプロビジョニング」や「IDプロビジョニング」とも呼ばれます。
また、アカウントのセキュリティ設定もユーザープロビジョニングに含まれる業務です。パスワードの設定や時限式パスワードを使用した2段階認証の設定など、ユーザーの個人情報を守るためにアカウントのセキュリティ強化を行います。

サービスプロビジョニング

サービスプロビジョニングとは、サーバー開設準備や設定作業のことです。ISPと呼ばれるインターネット接続事業者が提供するサービスの多くは、サービスプロビジョニングに該当します。
具体的な作業内容としては、以下のようなものが挙げられます。

  • インターネット回線の構築
  • DNSサーバーの設定
  • FTPの設定
  • SSLの設定
  • メールアドレスの発行・設定 など

現在では、生活や仕事になくてはならないものとなっているインターネットを活用するために、必須の作業といえるでしょう。

サーバープロビジョニング

システム導入に伴う、サーバー開設準備や設定作業をサーバープロビジョニングといいます。
具体的な作業内容としては、以下のようなものが挙げられます。

  • OS・ソフトウェアのインストール
  • サーバーの割り当て
  • 各種ハードウェアの認識・設定
  • アプリ開発環境の設定 など

また、システム導入時だけでなく、メインサーバーのメンテナンスに伴う予備サーバーへの切り替えやシステム障害発生時の復旧作業なども該当します。

 

プロビジョニングの活用事例

プロビジョニングへの理解をより深めるために、IT業界における活用事例をご紹介します。
「Amazon」が提供する事例や、多くの方がお使いのスマートフォンに関係する事例などイメージしやすい身近な事例をピックアップしたので、ぜひ、参考にしてください。

AWSのプロビジョニング

Amazonが提供するクラウドサービス「AWS(Amazon Web Service)」では、シンプロビジョニングが活用されています。
その結果、AWSではサーバーやストレージ、ネットワークなどシステムを構築するためのリソースを、必要に応じて流動的に提供するサービスを実現しました。従来におけるシステム導入準備の際、発生していたコストや時間の削減に成功しました。
多機能なサービスの提供やハイレベルなパフォーマンスだけでなく、その柔軟性や拡張性も評価され、AWSはクラウドサービスとして、世界トップクラスのシェアを誇っています。

SIMカードに関するプロビジョニング

携帯電話やスマホに活用される「SIMカード」に契約者情報を書き込み使用できる状態にする作業もプロビジョニングの一種です。
実際、スマホの機種変更や通信キャリアの乗り換え(MNP)直後に「プロビジョニングされていないSIM」という警告文が表示された経験のある方もいるのではないでしょうか?
このエラーメッセージが表示された場合、なにかしらの不具合によってSIMカードが確認できず、通信できない状況に陥っています。なお、具体的な原因としては、以下のようなものが挙げられます。

  • プランが解約状態になっている
  • 乗り換え手続きが完了していない
  • SIMカードの初期設定ができていない
  • カードスロットやSIMカードの物理的な破損
  • SIMカードが正常に挿入されていない など

とくに自身で設定しなければならない格安SIMでは、プロビジョニング関連のエラーが発生しやすいです。どうしてもエラーが直らない場合は、契約しているキャリアに相談しましょう。

 

まとめ

プロビジョニングとは、ユーザーに設備やサービスを迅速に提供するための準備工程を指す用語です。
プロビジョニングと一言でいっても、準備する対象や作業内容の違いから種類が分かれています。とくに、クラウドサービスに活用されているシンプロビジョニングは従来の概念を覆す新たな技術です。
世界シェアトップクラスのクラウドサービス「AWS」やスマホ・携帯電話の「SIMカード」にも使われていることからも、プロビジョニングは私たちの生活や仕事と密接に関係している概念といえるでしょう。

 

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