2022年までのウェアラブルデバイスの世界/国内出荷台数予測-IDC

IDC Japanは、ウェアラブルデバイスの2022年までの世界/国内出荷台数予測を発表。
IDCが発行するWorldwide Quarterly Wearable Device Tracker 2018Q2の最新の予測によると、2018年は前年比6.2%増の1億2,256万台の出荷が見込まれている。この成長率は2017年が10.3%であったのに比べ低下しているが、2019年から2022年まではスマートウォッチや他のウェアラブルデバイスがよりポピュラーな存在になると見込まれるため、2022年は1億9,039万台の出荷と予測しており、2018年~2022年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は11.6%としている。

・2022年の世界ウェアラブルデバイス出荷台数は1億9,039万台
・世界ウェアラブル市場はスマートウォッチ中心の市場へと推移するが、リストバンド型も健在
・国内市場も腕時計型中心の市場が続き、2022年は全体で合計119.6万台と予測

「ウェアラブル市場の世界的減速は、市場そのものの減速ではなく、マーケットの移行に伴うものである」と米国IDC ウェアラブルデバイスチーム リサーチマネージャーのレイモン・リャマスは言う。これに続けて、「ベンダーは第1世代の製品と経験から先へと動いており、単なる歩数計を超える機能によってユーザー体験を向上させるためにパートナー企業やアプリケーション開発者などのエコシステムを構築しようとしている。これからのウェアラブルデバイスは、コミュニケーションやデジタルヘルスケア、ホームIoTおよび企業での生産活動などで重要な役割を果たすことになる。そして、これまでのウェアラブルデバイスはより一層陳腐なものになってしまうだろう」と述べている。

「ベーシックタイプのウェアラブルデバイスからスマートタイプへの市場の移行は順調に進んでいる」と米国IDC Mobile Device Tracker シニアリサーチアナリスト ジテシュ・ウブラニは述べている。そして「スマートタイプのウェアラブルデバイスはデザインや機能、ブランド、そして何よりも価格の多様性がこれまで以上に高くなると我々は予想している。FitbitのVersaは200ドル以下の価格帯をターゲットとした最初のマス市場向け製品だが、今後1年以内に登場するであろう製品ではより多くの機能を同価格、あるいはより安価に手にすることができると期待される」と述べています。また、これに続けて、「スマートウォッチ以外にも、子供向けブランドやファッションブランドおよびスポーツブランドなどが新製品を発売することになると我々は予測している。子供向けウェアラブル製品はこれまではアジア太平洋地域向けの製品だったが、北米市場に続き、欧州と南米市場でもこのカテゴリーの市場が立ち上がりつつある。その一方、WearOSの第3世代のスマートウォッチは今年のクリスマス商戦に最初の製品が投入され、2019年には成長が見込まれる」と述べている。

「このような変化を通じてもなお、ベーシックタイプのウェアラブルデバイスに対するニーズは依然として存在している」とレイモン・リャマスは述べている。「リストバンド型デバイスは引き続きウェアラブルデバイス市場において重要な役割を担い続けるだろう。これはリストバンド型デバイスのシンプルかつ安価なソリューションによるものである。我々はこの種のデバイスがより一層スマートウォッチ的なユーザー体験をより有益な形で提供することになると期待している。一方、靴・衣類型や耳掛け型はウェアラブルデバイスならではの機能を利用するユースケースのおかげで、市場全体を上回る速度で成長することになるだろう」と述べている。

また、Worldwide Quarterly Wearable Device Trackerでは、国内のウェアラブルデバイスの出荷予測も提供。同Trackerによると、国内市場の2018年の年間出荷台数は合計80.3万台、2022年は119.6万台と予測。タイプ別で見ると、腕時計型が2022年は合計81.3万台と市場の大半を占める他、リストバンド型も法人需要に支えられ33.3万台と安定的なプレゼンスを維持するとみられ、全体としては10.5%のCAGRが見込まれている。

「スマートウォッチはコンシューマー向け製品の一つとして社会的認知を得つつあり、リストバンドは法人顧客での活用が広がるなど、地道ではあるが日本のウェアラブル市場も広がりを見せつつある。しかしながら、若年層のこれらのデバイスに対する興味関心をいかにして喚起するかが、このマーケットが本格的な離陸を遂げるための必要不可欠の条件である」とIDC Japan PC, 携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストである菅原 啓はコメントしている。

 

<商品タイプ別の動向(世界)>

腕時計型:

ウェアラブルデバイスで主流となっている腕時計型の出荷台数は2018年に7,239万台となり、2022年まではCAGR 13.7%で成長して2022年は1億2,110万台に達します。短期的には、スマートウォッチ市場へのFitbitの参入やWearOSによる市場の活性化などがドライバーになると期待されている。また、アップルの新しいApple WatchはFDA(アメリカ食品医薬品局)とAHA(アメリカ心臓協会)の認証を受けたことで心機能に問題を抱える患者へのアピールをしており、最新のWatchOS 5は古いバージョンのモデルを使用するユーザーがOSをアップグレードする機会にもなる。

 

リストバンド型:

このデバイスの市場は2022年までの予測期間中、ほぼ横ばいで推移するとみられている。直近の数四半期には多くのベンダーがリストバンド事業から撤退しており、今後もその傾向は続くとみられますが、単なる歩数計以上の機能を持つリストバンドは、ヘルスケアやフィットネスに適したデバイスである。スマートウォッチと比較してシンプルな使用価値と低価格(平均価格はそれぞれ289ドルと44ドル)により、リストバンドはウェアラブル市場で今後も重要な役割を果たすことになると考えられる。

 

耳掛け型:

このカテゴリーは対象ウェアラブル製品の中で最も高い成長率が見込まれている。このカテゴリーにはヘッドフォンといったオーディオ機器にプラスする機能を搭載したデバイスを含んでいる。既にフィットネストラッキングやコーチング、リアルタイム翻訳機能を搭載した耳掛け型ウェアラブルデバイスが登場しており、今後数年のうちにスマートアシスタント機能を搭載した製品がユーザーの「耳」に届くことが見込まれている。


本レポートは、IDC Japan様のプレスリリースの内容を元に作成しております。
ソース:https://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/201810171Apr.html

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