【医師監修】情シスのための「残業メシ」第10回 疲れたときこそ意識したい。カラダに良い糖分のとり方
疲れてきたら糖分補給。デスクの周りにお菓子があると安心……そんなあなたは、メタボや糖尿病の不安がないでしょうか? 糖分はエネルギー源として知られていますが、とり方によっては、リスクもあります。今回も、栄養療法に詳しい小池先生に、上手な糖分のとり方をお聞きしました。
糖分の種類と、効果を知ろう
脳のエネルギー源として、糖分は必要だ! 確かにその通りですが、とりすぎはやっぱり気になります。糖分といえば、チョコレートや飴(あめ)といったお菓子類を想像しますが、実はそうではありません。糖分にもカラダに負担の大きなものと少ないものがあるんですって。小池先生、教えてくださいー!
小池先生:「糖分といえば、砂糖を想像する方も多いのですが、実は、主食となるご飯やパン、麺類も分類上では糖に当たります。糖分の種類は大きく3つ。ブドウ糖や果糖などの単糖類、砂糖やはちみつなどの二糖類、ご飯やイモ類などの多糖類があります。」
小池先生:「このうち、単糖類に近いほど、即効性がある糖分です。ブドウ糖の飴や甘い果物がそうですね。真ん中の二糖類も、どちらかというと単糖類に近く、チョコレートをはじめとする一般的なお菓子には、この2つが多く含まれています」
なるほど、では、エネルギー源としてお菓子を食べるのは、あながち間違いではないということですね!
小池先生:「ですが、即効性がある分、効果が短いのも特徴です。血糖値の乱高下が起こるので、瞬間的なやる気につながりますが、すぐに疲れたり、眠くなったりします。こうした乱れは、気分や体調の浮き沈みの原因にも。甘いものを摂る機会が増えるほど身体を壊す原因になりますし、続けて食べていると血糖値を下げるときに出るインスリンが出すぎてしまい、かえって血糖値が下がりやすくなるのです。疲れているときほど、ゆっくりと効果を上げる多糖類をとるようにしたいですね」
なんと、食べ続けると、かえって血糖値が下がるなんて! それは困りますね。確かに飴やチョコレートを食べても、食べ終わったら、またすぐに食べたくなってしまいます。とはいえ、甘いものが食べられないのも、なんとなく寂しいような気がします。先生、どうしたらいいのでしょうか?
ほっこり癒されるなら、チョコレートより「干し芋」
小池先生:「甘いものが手放せない人は、チョコレートよりも、多糖類で甘みのある『干し芋』がおすすめです。チョコレートには、砂糖とカフェインが多く含まれているため、常食すると、心身に負担をかけやすくなります。その点、蒸したサツマイモを切って干しただけというシンプルな『干し芋』は栄養価も抜群! 古臭いように感じますが、ビタミンミネラルも多く、むくみ解消につながるカリウムも含まれています」
干し芋!! 懐かしい響きですね。田舎のおばあちゃんを思い出します……。ナチュラル志向の人が増えているなか、今ではコンビニでも干し芋を扱っているところも多いようです。おやつコーナーで見つけたら、即ゲットしてみましょう!
果物ならベリー系をチョイス
【医師監修】情シスのための「残業メシ」第6回 眼精疲労をやっつけろ! 夜食で補う目に良い食材とは干し芋もいいけれど、もっとさっぱりしたものが食べたい気もしますね。小池先生、ほかにおススメはありませんか?
小池先生:「さっぱりしたものがお好きなら、自然派の食材として果物はいかがでしょうか? 単糖類ではありますが、食物繊維やビタミンミネラルを含んで栄養価が豊富です。定番のバナナはもちろん、スーパーで販売されているようなカットフルーツもお手軽ですよ」
果物が良いなら、選択肢は広がりそうですね。春ならイチゴ、夏にはスイカ、秋になればいろいろ楽しめそうです。
小池先生:「そうですね。種類が豊富という点では果物は選択肢が広がります。ただし、食べすぎは禁物。実は果物に含まれる果糖は、肝臓への負担が大きいといわれています。果物は直接肝臓で代謝されるため、食べすぎると脂肪肝になるリスクも大きくなるのです」
ガーン! 果物の食べすぎで脂肪肝になるとは、かなりショックです。酒を飲まないのに肝臓が弱っているのは、もしかして糖分が影響しているのでしょうか……。
小池先生:「果物に限らず、アイスやジュースにも果糖が含まれています。肝臓に負担をかけてしまうので、摂りすぎには注意してください。果物のなかでも果糖が少ないのがベリー系です。イチゴやクランベリー、ブルーベリーなどを適量食べるのは良いですね」
目に良いとされるブルーベリーはOKなのですね。眼精疲労に悩む情シスにとっては朗報です。生のブルーベリーで糖分補給を楽しみます。
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無理なくおいしく、カラダに負担をかけない糖分を
糖分の摂りすぎは、肥満や糖尿病、脂肪肝などのリスクが高まります。チョコレートのバカ食いや、舌が切れるほど飴をなめる人は要注意。糖分が脳に必要なエネルギーとはいえ、上手な摂り方を意識して、健康意識も高めたいですね!
監修:小池雅美(こいけ診療所 漢方専門医)
こいけ診療所院長、日本医学放射線学会放射線診断専門医、検診マンモグラフィ読影医、漢方専門医。1994年に東海大学医学部を卒業。漢方を中心に栄養、食事の指導を重視した診療を行っている。
文:みのうかなこ