開発だけじゃない!システムエンジニアの仕事内容
システムエンジニアは顧客の課題解決を図るため、システム開発のコアとなる役割を果たします。システムエンジニアが担う役割は多岐に渡り、活躍する領域はさまざまです。システム開発のプロジェクトを成功に導くためには専門的な知識だけでなく、幅広いスキルも必要です。本記事ではシステムエンジニアの具体的な仕事の内容や求められるスキルについて解説します。
1.開発エンジニアとは
まずはじめに、広義の開発エンジニアは大きく2つに大別されます。電気製品や車、機械などハードウェアを開発する「もの作り系」と、システムやアプリケーションなどソフトウェアの設計・開発を担う「IT系」です。本記事ではシステムを幅広く捉え、社会インフラを担うシステム、企業や自治体のシステム、身近なスマートフォンやSNSなど、ITを利用する仕組み全般を指しています。
開発エンジニアは作業内容や専任領域によって、さらに次のように細分化することができます。
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システムエンジニア(SE)
システムエンジニアは主にシステム開発の上流から下流のプロセスを担います。顧客の要求分析、要件定義、システム設計、開発、テストの一連の流れにおいて、プロジェクトの完遂を目指し、システム開発のプロセス全体をサポートする役割を果たします。
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プログラマー(PG)
プログラマーは、システムエンジニアが作成した設計書をベースに、プログラミング言語を使いながらプログラムをコーディングしていきます。また、設計段階で想定できなかったバグやエラーを見つけ、取り除くための修正(デバッグ作業)を行います。一般的に開発エンジニアといわれるのは、このプログラマーを指すことが多いです。
システムエンジニアとプログラマーについて、システム開発における役割の視点から説明しましたが、以下は開発する領域の視点から説明します。
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アプリケーションエンジニア
アプリケーションエンジニアとは業務系アプリ、ウェブアプリ、スマホアプリなどさまざまなアプリケーションを開発する職種を指します。
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フロントエンドエンジニア
フロントエンドエンジニアとは画面の見た目やアニメーションなどのUI(User Interface)に関わる領域を構築するエンジニアです。基本的に画面のデザインはデザイナーが行いますが、フロントエンドエンジニアがその開発の一部を担うケースもあります。
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サーバーサイドエンジニア
サーバーサイドエンジニアとは、サーバー側でデータ管理を行うプログラムを扱うエンジニアです。サーバーサイドエンジニアはフロントエンドエンジニアと共同作業でアプリケーションとデータベースの連携部分の開発を担います。なお、近しい種別としてバックエンドエンジニアがありますが、特に明確な境界線はないとされています。フロントエンドと対比した使われ方が多いようです。
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組み込み系エンジニア
組み込み系エンジニアは、家電などのハードウエアに組み込まれている各種機器を制御するシステムの設計開発を行います。
2.システムエンジニアの役割
それでは、システムエンジニアの役割についてみていきましょう。システムエンジニアは主にシステム開発の上流工程を担います。どのようなシステムを作るのかを考える「要求分析・要件定義」「基本設計」「詳細設計」業務をメインにおこないます。
システムエンジニアはクライアントの課題や要望をヒアリングし、必要な機能や仕様について要件を取りまとめ、その後、基本設計と詳細設計を行い、開発・テストの工程へ進みます。
コーディングしたプログラムがシステムの設計や仕様書の通りに稼働するかテストすることも大切な役割です。
3.システムエンジニアの仕事内容
システムエンジニアが関わる具体的な仕事内容を説明します。
以上の工程に加え、関係者とのさまざまな調整、納期に間に合わせるための進捗管理など、システム開発全体の管理を行うことがシステムエンジニアの仕事です。また案件によっては、システムエンジニアが自身でプログラミングを行うケースもあります。
4.システムエンジニアに求められるスキル
システムエンジニアはさまざまな条件のもと、クライアントが抱える課題を解決するシステム開発をしなくてはなりません。開発や設計に加えて求められるスキルについて説明します。
1.プログラミングスキル
プログラミングスキルとは、プログラミングに関する技術的なスキルのことです。システムエンジニアが果たす役割はシステム開発のため、プログラミングスキルは必須です。クライアントによってはプログラミング言語を指定する場合があります。
2.論理的思考能力
論理的思考能力は顧客の課題を正しく理解し、筋道を立てて解決に導くために必要なスキルです。プロジェクトが大きいほど、多くのステークホルダーとのコミニュケーションが必須となるため、重要な能力です。
3.ヒアリング能力
ヒアリング能力とは顧客の真の課題とは何か、どのような問題を解決したいのか、システムで実現したいことは何かなど、表面的な事象にとらわれず掘り下げる能力です。顧客が望むことを言語化し、第三者にも理解できるようにします。
4.提案力
顧客からヒアリングした要件をもとに、最適な課題解決の提案を行います。課題解決と開発工数やスケジュール、コストなど複数の要件を両立させるような提案力が求められます。
5.問題解決力
そもそもの顧客の課題解決のみならず、プロジェクトの過程でさまざまな問題が発生します。システムエンジニアはこれらの問題を都度解決し、プロジェクトを遅延なく前に進めていく能力が必要です。
6.マネジメント能力
システムエンジニアは人・時間・予算・開発環境などのリソースを管理しながら、プロジェクトを計画通りに遂行しなければなりません。さらにリスク管理・進捗管理・顧客との折衝や開発メンバーとの調整もあるため、高いマネジメント能力が必要となります。
7.コミュニケーション能力
コミュニケーションは極めて大切です。顧客との折衝やチームメンバーとの定期的なミーティングや日頃のやりとりのためは一定レベルのコミュニケーションスキルがないと、円滑にプロジェクトの進行に支障をきたしてしまいます。
5.システムエンジニアの主要な資格
システムエンジニアに必要な資格は、国家資格などの公的資格と民間資格の2つに大別されます。こうした資格は多数あり、求められる要件によって必要な資格は異なりますが、主なものについて説明します。
1.公的資格
1)基本情報技術者
情報処理に関する国家資格です。システム開発と運用、ネットワーク、セキュリティなど技術に関する知識から、経営戦略やシステム戦略、プロジェクトマネジメントまで多岐にわたって知識を問われます。
2)応用情報技術者
情報処理に関する国家資格で、基本情報技術者試験の合格者が次に目指す試験として位置づけられています。
3)情報処理安全確保支援士
情報セキュリティ分野の国家資格であり、取得すれば高度な知識や技能が認定されます。2016年に創設され、それ以前に実施されていた「情報セキュリティスペシャリスト」の後継資格として位置づけられています。
2.民間資格
民間資格は主に大手ベンダーである民間企業が実施する認定資格です。
1)AWS認定資格
AmazonのクラウドサービスであるAWSの技術認定を行います。AWSに関する知識とスキルを証明し、AWS クラウドのプロフェッショナルとしての信頼性を認定する資格です。
2)オラクル認定技術者制度
日本オラクルがOracle製品に関する技術者を認定する制度です。 オラクルに関する技術力に関してグローバルに通じる資格です。
6.まとめ
このコラムでは「開発だけじゃない!システムエンジニアの仕事内容」について解説しました。システムエンジニアが担う領域は広く、システム開発を成功に導く重要な役割を果たします。
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