デジタル時代のスキル変革等に関する調査報告-IPA

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、「デジタル時代のスキル変革等に関する調査報告書」を公開。

IPAでは第4次産業革命への対応に向けて求められるIT人材の役割や能力を明確化し、スキル変革や人材育成を促進することを目的として、2018年度に「DX推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」、2019年度に「DX 推進に向けた企業とIT人材の実態調査」を実施している。
これらの調査を通じて、第4次産業革命の実現には、デジタル技術の有効活用のみならず、それを推進する基盤となる人材や組織のマネジメントそのものの変革も重要なポイントであることが明らかになった。

そこで2020年度は、変革を推進するための組織や人材マネジメントのあり方の深掘りを目的に、国内企業1857社、国内企業に所属するIT人材1545人、海外企業に所属するIT人材616人へのアンケート調査を実施した。
アンケート調査にあわせてインタビュー調査や文献調査も実施し、スキル変革の促進要因、阻害要因などについても分析している。

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URL:https://www.ipa.go.jp/ikc/reports/20210422.html
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本調査の結果、DXに取り組んでいる企業は昨年度調査より増加し(図1)、そのうちDXで成果が出ていないと自己認識している企業では人材不足感が強いものの(図2)、人材要件が明確になっておらず、人材の処遇制度なども整備できていない(図3)ことが明らかになったと言える。
また、個人側については、広く人材市場の中で自身の相対的な価値が把握できていない(図4)ことに加え、競争力についての自信も持っていない(図5)ことも分かった。主なポイントは以下のとおりである。

1. DXに取り組んでいる企業は全体で53.2%と昨年度調査より10ポイント増加

従業員1000名以下から100名以下の各企業規模層で満遍なく増加しており、従業員1001名以上の企業層が取り組みの中心であった2019年度調査時点と比べ、企業規模によるDXへの取り組み格差が解消しつつある傾向が見られた。 (回答数=1857社)

図1: 「DXに取り組んでいますか」

2.DXで成果が出ていないと自己認識している企業ではIT人材不足と感じている

DXで成果が出ていないと自己認識している企業(事業会社)では、IT人材が「大幅に不足している」という回答が52.9%と人材不足感が強いものの(回答数=289社)、「採用したい人のスペックを明確にできない」という回答が33.5%あり、成果あり企業に比べて多い。
また、「魅力的な処遇が提示できない」の割合も40.8%と高く、制度面での整備も遅れていることが伺える。(回答数=272社)

図2: 「事業戦略上必要なIT人材の「量」を十分確保できていますか」

図3:「IT人材を新たに採用するにあたっての阻害要因は何ですか(複数選択)」

3.人材市場における自身のスキルレベルが不明

人材市場における自身のスキルレベルが「分からない」とする比率が日本では34.3%(回答数=1347人)と、アメリカ2.7%(回答数=219人)、ドイツ6.1%(回答数=277人)に比べて非常に多い。

図4:「ご自身の人材市場におけるスキルレベルを見極める際に特に気にかけていることは以下のうちどれに該当しますか(3つまで選択)」

4.自身のスキルレベルを低く見積もる日本のIT人材

現在のスキルレベルが人材市場において十分競争力があるとする比率が日本は21.5%(回答数=1347人)と、アメリカ69.4%(回答数=219人)、ドイツ65%(回答数=277人)に比べて非常に低い。

図5:「ご自身の現在のスキルレベルは人材市場においてどの程度競争力があると思いますか」

6.内部人材の育成

IT人材に新たなスキルを習得させる上での阻害要因として挙げられているのはほぼ同様であるものの、成果なし企業では、『育成
戦略や方針が不明確』とする比率が高いことが特徴。IT人材の学びの方針も『ない』とする比率が高い。
また、社内にIT人材を評価・把握するための基準も『ない・わからない』とする比率も高い。


図6:内部人材育成に関するアンケート結果

このようにDXの成否はIT人材に依存するとも考えられるが、そもそもIT人材に求められるスキルが不明確な状況であることもこれに拍車をかけていると言えよう。
”全てのビジネスパーソンが持つべきデジタル時代の共通リテラシー”である「Di-Lite」などを参考にIT人材創出へ企業も舵取りしなければならないであろう。

ビジネスパーソンに求められる新たな資質「Di-Lite」

上記の調査結果の他、学びや人材流動の状況、組織に求められる要件に関する企業側と個人側のギャップ、先端領域への転換に対する意識や経験により人材を5つの「転換タイプ」に分類した分析など、多数の結果を本編には掲載している。
(報告書の全文は、IPAウェブサイト:デジタル時代のスキル変革等に関する調査からダウンロードが可能)

IPAでは調査報告書の公開により、個人の学びの動機づけに加えて、企業が人材育成や採用基準、組織・人材マネジメントの改善のために調査内容を参照することで、産業界におけるデジタル化推進や必要な人材育成等につながることを期待している。

■調査概要:

  • 調査期間: 2020年8月~2021年3月
  • 個人アンケート調査:
    • 調査期間:2020年11月~2021年2月
    • 調査先:国内企業に所属するIT人材1545人、ITフリーランス703人(試行)
      アメリカ・ドイツの企業に所属するIT人材616人
  • 企業アンケート調査:
    • 調査期間:2020年12月~2021年2月
    • 調査先:IT企業については人事部門、デジタルビジネス推進部門など 979社
      事業会社については情報システム部門、デジタルビジネス推進部門、人事部門など 878社
  • 文献調査:海外(アメリカ、ドイツ、カナダ)の状況についてWeb上の公開情報、文献情報等を収集・整理
  • インタビュー調査:個人11人、企業8社へのインタビューを実施

<補足>

「IT人材」とは、従来のIT人材(IT企業や事業会社の情報システム部門等に所属している人)に加えて、 ITを活用して事業創造や製品・サービスの付加価値向上、業務のQCD 向上等を行う人も含んでいる


本内容は、IPA様のプレス発表内容を元に作成しております。
ソース:https://www.ipa.go.jp/about/press/20210422.html

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