国内クラウド需要調査(2021)-IDC
IT専門調査会社 IDC Japanは、国内クラウド需要調査の結果を発表しています。
この調査では、何らかのクラウドを利用中の国内企業(従業員規模100人以上)を対象としたアンケート調査を2021年10月に実施し、444社から有効回答を得た結果になります。
現在、国内市場ではクラウドを利用する企業が継続的に増加しており、複数のクラウドを利用するマルチクラウドも一般化しています。
そして、クラウドを利用中の企業の内、66.4%が「クラウドファースト戦略」を有しており、IT予算は「従来型IT」から、「クラウド」へと大きく移行しています。
そして利用中のクラウドについて、導入時(採用決定時期)の期待と実態(効果)に対する企業の評価を確認したところ、すべての配備モデルにおいて、概ね良好な結果となっています。(図参照)
Q. 利用中のクラウドについて、導入時(採用決定時期)の期待と実態(効果)を5段階で評価してください。
(配備モデル別/項目別)
Notes:
- HPC:ホスティング型のプライベートクラウド
- EPC:オンプレミス型プライベートクラウド
- 「良い」は「非常に良い」「良い」の合算値、「悪い」は「非常に悪い」「悪い」の合算値
Source: IDC Japan, 12/2021
その中でも、「導入のしやすさ」「運用のしやすさ」「機能」に対する評価が高く、導入検討時に「セキュリティ」に対して懸念を持つ企業は多いものの、セキュリティに対する評価も良好な結果でした。また、パブリッククラウドの方がプライベートクラウドと比較して、評価が高い傾向となっています。
一方、クラウドの利用に対しては「コスト削減」に高い期待を寄せる企業が多いものの、利用/導入後での評価では「コスト」に不満を持つ企業も見られました。
コスト以外では、SaaSでは「ユーザー部門の使い勝手」、IaaS/PaaSおよびHPCでは「過去資産の継承性」、EPCでは「障害」に対する評価に課題が見られました。
国内市場において、クラウドは広く普及しました。その一方で、オンプレミスからクラウドへ切り替わることで技術も変わりました。その結果、スキル不足によって、クラウドが使いこなせていないと考える企業も多く見られます。
IDC Japan ITサービスのリサーチディレクターである松本 聡氏はこの件に関して以下のように分析しています。
「ベンダーは、クラウドの満足度を高め、さらなる利用を促すためには、製品/サービスに関わる特徴の理解を促し、運用の効率化を支援する必要がある」
詳細のレポートはIDCが発行した2021 年 国内クラウド需要調査 にて確認することができます。
このレポートでは、クラウドの配備モデルごとに期待する効果や懸念事項、ベンダーの選定基準、クラウドの利用/導入後の評価などのアンケート調査結果を分析しています。
本レポートは、IDC Japan様のプレスリリースの内容を元に作成しております。