Future of Workstyle(働き方の未来)に関する日米アンケート調査結果-IDC

IT専門調査会社のIDC Japanは、Future of Workstyle(働き方の未来、以降FoWと省略する)に関する企業ユーザー動向調査の日米比較を発表した。これによれば、新型コロナウイルス感染症のワクチン普及後には、勤務場所はオフィスを中心としながらも在宅勤務などのリモートワークも定着する、いわゆるハイブリッドワークが進むと予測されている。

在宅勤務(テレワーク)が「全国採用」など新しい企業の在り方をもたらした例もあり、興味深いアンケート結果である。

IDCでは、働く場の変化、リモートワークの課題、オフィスに戻る際に導入を検討するテクノロジーや設備、FoWの促進要因、FoWを牽引するテクノロジーの導入状況と今後の投資予定などに関するWebアンケート調査を日本と米国において2021年3月に実施。今回は、公開されているその一部を紹介する。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン普及後には、日米両国において7割弱の従業員が週に5日間オフィスで勤務すると予測されている。また、隔週以上の頻度で在宅勤務する従業員の割合は日本で約3割、米国では4割弱に達すると予測されている。
ワクチン接種の進む海外の先進国では、昨年後半からハイブリッドワークの進展が話題に上っていたが、この度、日本でも米国と同程度にハイブリッドワークが定着することが判明した。
ただし、米国においてはワクチン接種が日本よりかなり進んでいるため、ハイブリッドワークの定着時期も先行すると予測される。

ワクチン普及後に自宅とオフィスで勤務する従業員の割合:日米比較


Source: IDC Japan, 7/2021

ハイブリッドワークの課題として、コラボレーションと生産性、セキュリティ、HRとカルチャーといった多様な項目が上位に挙げられている。具体的には、チームワーク/仕事/コミュニケーションに関する効率性、慣れない最新ツールの使いこなし、新入社員のトレーニングとサポート、社内リソースアクセス時のセキュリティが日米において上位に挙げられている。
日本では、これら以外にもイノベーションや創造力の維持が、米国ではワークカルチャーの維持が懸念点として認識されている。
そして、これらの課題に取り組む方策の一環として、コラボレーションとコミュニケーション、セキュリティ、自動化、HRツールなどの最新ソリューションの導入が進んでいるといえよう。
また、ワクチン接種の普及後を見据えて、安全で健康的なオフィスの実現に向けた投資も計画されている。

IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション グループマネージャーの市川 和子氏はによれば「ハイブリッドワークが定着することを想定して、デジタルワークスペースと物理的なオフィスへの投資が今後益々重要となる」とのことである。

 

詳細はIDCが発行した2021 年 働き方の未来に関する企業ユーザー動向調査日米比較:ワクチン普及後を見据える に報告されている。

 


<編集後記>

米国では数年前からテレワークからオフィスワークへ回帰が始まっていた。
以前から社員の大半がテレワークを実施していたMozzillaやMySQLなどのIT企業があった一方で、テレワークを禁止に切り替えたIT企業もある。
まずはYahoo。2013年にテレワークを禁止し、従えない社員は退職するようにまで促している。
これに追従するように、世界最大の家電量販小売チェーンのBest Buyにおいても、それまでは社員が自由に選択できたテレワークを許可制とし、「在宅勤務プログラム」を終了した。
IBMも2017年には、米国だけでなく、ヨーロッパの拠点でもテレワークを禁止し、社員には拠点の近くに居住するか、退職するように促した。

これらの企業がテレワークを禁止したことには、理由がある。
これらの企業では、社内で社員同士が交流し、その中での他愛もない会話をきっかけに、新たなアイデアが生まれていたのだ。
故にテレワークはチーム構築の妨げになると考え、実施しなくなっていた。

国内でも東京オリンピックの混雑解消としてテレワーク/リモートワークが推奨されたが、新型コロナウィルス感染症対策としてテレワークが求められる以前、2019年9月末時点でのテレワーク実施率は約20%程度であったことを考えると日本でもオフィスワーク回帰となる可能性は大いにある。

しかしながら、企業もオフィスコストの削減という大きなメリットを実感し、従業員も通勤から解放され、時間の有効活用ができるなどこちらもメリットを実感したことだろう。そして、そのような状況を”手放したくない”と思うのが人間である。
また、環境も以前とは異なる。様々なテレワーク支援ツールが登場しており、さらに過去の事例からも学び、コミュニケーション不足を補うような活動も今は行うことができる。

このテレワークを今後どう取り扱うのか、各社の腕の見せ所なのかもしれない。

【編集Gp ハラダケンジ】


本レポートは、IDC Japan様のプレスリリースの内容を元に作成しております。
ソース:https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ48048421

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